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【胆管閉塞】はじまりは急性膵炎 ~一週間で治癒したはずが~

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ピーチーの闘病記:急性膵炎+胆管閉塞編(1/4)f:id:masami_takasu:20180303231242j:plain

撮影&文|高栖 匡躬
 
当時を振り返り

本話から4話連続で、我が家の愛犬ピーチーが生まれて初めて罹った重病、膵炎と胆管閉塞について書きます。

膵炎は大変痛みを伴う重い病気です。特にはショックにより、死に至る事もあるそうです。しかしながら、膵炎(我が家の場合は急性膵炎)はそれほど珍しいものではなく、飼い主が早く気が付けば治る病気です。ネット上には、膵炎から回復した例が沢山見つかります。

我が家の場合は、膵炎は早くに対処したものの、そこからの日を置いて胆管閉塞を併発し、非常に深刻な状況に陥りました。

この記事は当時の体験をまとめた闘病記です。

 

当時の事を振り返ると、この時の闘病は、治療の選択肢を増やし、そして決断(選択)することの繰り返しでした。

今思えば、その都度々々が、もしも選択肢を増やしていなければ、或いは選択を誤っていれば、死に直結したことばかりです。我ながら、良く乗り越えることができたものだと感心してしまいます。

しかし、当時はそんなことなど思っても見ません。ただ1歩先だけを見て、必死にもがいていたように思います。

以下、過去に書いたブログからの転載となりますので、筆者の呼称は”僕”となっています。

【目次】

 

 突然の急性膵炎

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――ここからは、ブログからの転載です――

ピーチーは驚くほどの強運の持ち主です。
今日はそれについて書こうと思います。

今でも信じられないなと思うことがあります。それはピーチーが11歳になったばかりの2012年のこと。膵炎から胆管閉塞を併発した際に、ざっと考えただけでも9つの幸運が重なり、明日をもしれぬ状態から、ー命を取り留めたばかりか、病気をする以前のような元気一杯の状態にまで回復したのです。

始まりは、ピーチーのちょっとした体の変調からでした。

その日ピーチーは元気が無く、食欲がありませんでした。
喜ぶだろうと思って、大好きなアイスを上げてみたのに、それも食べないのです。おかしいぞと思っていた矢先に、うちの奥さんが前の日に料理で使った、アボカドの種がどこにも見当たらないことに気が付きました。
ごみ箱をひっくり返しても見つかりません。僕たちは、食いしん坊のピーチーが誤って食べたのだと思い、家のすぐ近所の動物病院に連れて行きました。

 

 ぎりぎりの局面 - 最初の幸運

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今振り返ると、これが最初の幸運でした。

実はピーチーはこのとき既に、急性膵炎を発症していたのです。
ピーチーはブルテリアという犬種の特徴として、痛みにとても強いため、人間だったらのた打ち回るはずの激痛を、じっとこらえていたようです。

理由もなく食欲が無いという程度のことは、それまでにも何度もあったことです。アボカドの誤飲を疑わなければ、もう1日か2日様子を見ていたでしょう。
もしもそうであれば、病院に行くタイミングを逸しています。その後の経過を考えれば、ここは大変な局面でした。

緊急と思い、掛かり付けの病院ではなく、家のすぐ近所の動物病院へ――

そこで、バリウム造影でレントゲンを撮ると、胃にそれらしい影がありました。医師は腸までいって閉塞させるとやっかいなので、手術をしましょうと言いました。
人間であれば、次は内視鏡で確認をするところですが、犬用の内視鏡を持っている病院は少ないのです。

しかし、手術は胃を開くことになるために、そう簡単なものではありません。麻酔のリスクもあります。診てもらった医師には申し訳ないのですが、念のためにこの動物病院ではない、罹りつけの主治医に連絡を取ってもらいました。

するとなんと、内視鏡を持っているとの事。それで取り出すことができるかもしれないと言うので、急いで病院を移動しました。 

 

 獣医師の連携 - 立て続けの幸運

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ここで2つ目と3つ目、4つ目の幸運が起きています。

まず2つ目の幸運は、最初に診てくれた近所の医師が、快く主治医と連携してくれたことです。このようなケースでは、患者を奪われると思う獣医も多いのだそうです。
一緒に行ったうちの奥さんは今でも、「よくあそこで、あっけらかんとあんなお願いができたものね」と言います。よくよく考えれば、随分と失礼なことをしたなと自分でも思うのですが、あの時は必死でした。

3つめの幸運は言うまでもありません。主治医が内視鏡を持っていたことです。もしも膵炎の中で手術をしていたら、間違いなく命が失われていたはずです。

4つめの幸運は、最初の病院でいち早く、血液検査をしていたことです。
実はここで、既に膵炎の兆候が少しだけ出ていたのですが、このデータが後に主治医が膵炎を特定する切り札になりました。病院を移動する僅かの時間の間に、膵炎を示す値が進行していたからです。

結局主治医のところでは、内視鏡で見ても、胃にも腸への出口付近にもアボカドの種は見つかりませんでした。そしてピーチーは膵炎に的を絞った治療が迅速に行われました。

1週間ほどの入院で膵炎が回復したピーチーは、すっかり元気になって家に帰りました。それで全て解決したと、僕も奥さんも思っていました。

――しかしそれでは終わりませんでした。

それは試練の始まりだったのです。

 

――闘病の奇跡、強運の正体(1/4)・つづく――

 急性膵炎をもっと知るために

急性膵炎の詳しい解説記事は、下記をご覧ください。
専門性はありながら、分かりやすく書かれた記事です。

下記の急性膵炎闘病記も参考になります。
突如発症した急性膵炎。入院した愛犬を待つ家族の気持ちは?

文:高栖匡躬
 ▶プロフィール
 ▶ 作者の一言
 ▶ 高栖 匡躬:犬の記事 ご紹介
 ▶ 高栖 匡躬:猫の記事 ご紹介

――次話――

急性膵炎の炎症は、胆嚢と胆管にダメージを与えていました。
胆管閉塞を併発していたのです。
主治医は安楽死を仄めかしました。
しかし、そこからが本当の闘いです。
対応できそうな病院は、どこも予約が一杯。
さて、どうするかーー

まとめ読み|急性膵炎・胆管閉塞 闘病記
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。

 

 闘病に関する心構え

努力は、奇跡の確率を上げるもの

闘病記を読むと、奇跡的に治るという表現に時々出会います。
しかし奇跡は、待っていて起きるものではありません。
奇跡が起きる確率は、努力で上げることができます。

医師まかせにせず、とにかく情報を集めて分析する事です。
その中に、もしかすると答えがあるかもしれません。

考え方を変えれば、飼い主が愛犬や愛猫の闘病で出来ることは、それ以外には無いのかもしれません。

医学書や論文を読むよりも現実的な情報源

犬が病気になった時、幾ら探しても、役に立つ医療情報が見つかりませんでした。
通り一辺倒だったり、逆に専門的過ぎたり。
どれもこれも、現実的ではないのです。
そんな中、飼い主が書いた闘病記に行き当りました。
動物医療の専門家ではない、普通の飼い主が書いた闘病記です。
そこからは、本当に色々な事を教わりました。

 ピーチーの他の闘病記です

劇症肝炎編――

筆者の愛犬ピーチーは2014年8月16日の早朝6時、救命救急に駆け込みました。
40度を越える高熱。ぐったりとして動けない。
ただごとではないと思いました。

振り返ると、異常を感じたのは8月10日の夜。
突然の体の震えと、食欲不振が恐らく前兆だったのでしょう。
このときは、掛かりつけの病院で、熱中症と診断。
その時には、肝臓の諸数値は正常値でした。

そして6日たち、16日の朝を迎えます。
この日から、命を賭けた闘病が始まったのでした。

 

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