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【胆管閉塞】急性膵炎から胆管閉塞の併発 ~急変、危機的な状況~

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ピーチーの闘病記:奇跡と強運の正体(2/4) f:id:masami_takasu:20180303231826j:plain

撮影&文|高栖 匡躬
 
当時を振り返り

前話で 4つの幸運を得て、膵炎から回復したピーチー。
ほっとしたのもつかの間でした。

実はその後に、闘病の本番が待ち受けていたのです。
それこそが、ピーチーが命を賭ける事になった病気、胆管閉塞です。
膵炎による内臓の炎症(発熱)が、胆嚢と胆管にダメージを与えていたのです。

しかしここからも、ピーチーの幸運は続きます。

 

【目次】

 危機的状況 - 安楽死か?

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退院から2、3日後の夕方。
僕は仕事で家におらず、たまたまその日だけは、いつも仕事で外に出ているはずの、うちの奥さんが家にいました。そしてピーチーが元気がなさそうなので、観察してみると、お腹周りが黄色いことに気が付きました。明らかに汚れではありません。

時計を見ると、幸いにも主治医の診療時間ぎりぎり。すぐに電話をして待機してもらい、時間外に診てもらうことができました。

やはり黄色かったのは病的なもの。つまり黄疸でした。膵炎のときのデータがあるので、病名の確定は通常よりも迅速です。主治医の診断は、膵炎に端を発する胆管閉塞。
すぐにバイタルを上げる点滴が始まりました。1日違っていたら大変なことになっていました。これが5つ目の幸運です。

しかし、その後がよろしくありません。主治医の元にある治療用の薬剤にピーチーの体は反応せず、病状は悪化の一途です。主治医からは、危険な状態であることを告げられ、自然に見送ってやるのも一つの選択だと言われました。そして安楽死の提案も。

主治医からはこの時、もしもこれ以上に手を尽くそうとするならば、設備の整った大きな病院に移るしかないと告げられました。

実はこれが6つめの幸運です。

 

 胆管閉塞 - 選択したのは二次診療

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当時は、街の動物病院が大病院と連携する二次診療を、積極的に勧める獣医があまりいなかった頃です。そんな中で最も順位の低い選択肢ながらも、主治医からそれが示されたことで、ピーチーの運命が変わります。

僕と奥さんは、自然な看取りも安楽死も選択せず、大病院への転院を希望しました。
我が家の近くで大病院といえば『DVMsどうぶつ医療センター横浜』、『日本動物高度医療センター -JARMeC-』、『麻布獣医大学 獣医学部』がそれにあたります。
どの病院も、主治医からの紹介状による、二次診療しか受け付けていません。

すぐに主治医に当たってもらいましたが、どこも予約が一杯で、最短でも2週間待ちでした。しかしそんなに待てません。どんなに待ったとしても、数日。1週間はとても待てない状態です。

こんな困った状態の時、僕には持論がありました。
いよいよ困った時は、とにかく関係者にお願いをしてみるのです。
状況がどうにもならなくても、お願いだけはできます。

仕事を休んで、色々なことをしました。
最初にピーチーを診てくれた近所の動物病院の院長先生が、麻布獣医大学の出身であると事を調べ、お菓子をもって押し掛けました。
「先生の担当だった教授にお願いして、なんとか診てらえないか」
という無謀なものでした。

主治医の動物病院には、入院中のピーチーに毎日面会に行って、その都度空いている病院を探してほしいとお願いをしました。もちろん、お菓子を持参です。
そうしながらも、我が家からは遠い、日本大学や東海大学などにも可能性を広げていきました。

そんなさ中に、また幸運が舞い込みます。7つ目です。

 

 急遽受診可能に - 胆嚢破裂の手前で

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一番待ち時間の長かった『日本動物高度医療センター -JARMeC-』に、なんと突如空きが出ました。

『JARMeC』の待ち時間は、確か1か月以上、恐らく2か月近くはあったはずです。それは恐らく、その日受診する予定だったどこかの家庭の愛犬に、受診ができない何か(恐らく良くないこと)が起きてしまった事を意味しています。

後で分かった話ですが、実はこの時、ピーチーのキャンセル待ちの順位は1番になっていたのです。主治医が毎日何度も、キャンセルの状態を確認してくれていたおかげでした。

僕は、この日に受診することができなかった、一度も会ったこともないワンちゃんに手を合わせて、主治医が運転する車で、ピーチーを連れて『JARMEC』に飛び込みました。

余談ですが、その時僕は『JARMEC』の待ち時間が1か月以上もある理由がわかりました。駐車場に駐まっている車のナンバープレートは、長野、山梨、群馬、静岡などの県外ナンバーが大半です。最後の望みに掛けて、近県中から患者が集まっているのです。

一通りの検査後、ピーチーはすぐに集中治療室に入りました。
もう胆嚢破裂の一歩手前だったのです。

 

――闘病の奇跡、強運の正体(2/4)・つづく――

 急性膵炎をもっと知るために

急性膵炎の詳しい解説記事は、下記をご覧ください。
専門性はありながら、分かりやすく書かれた記事です。

下記の急性膵炎闘病記も参考になります。
突如発症した急性膵炎。入院した愛犬を待つ家族の気持ちは?

文:高栖匡躬
 ▶プロフィール
 ▶ 作者の一言
 ▶ 高栖 匡躬:犬の記事 ご紹介
 ▶ 高栖 匡躬:猫の記事 ご紹介

――次話――

ピーチーの強運は続きます。
死の一歩手前を、ことごとく綱渡りのように切り抜けていくのです。
手術で勝負をするか? 内科的な治療に賭けるか?
最後の決断も、ピーチーの運が見方をしたとしか思えない判断を、ギリギリのタイミング行なったのでした。

――前話――

ある日突然、我が家のピーチーを襲ったのは急性膵炎
危険な状態でしたが、幾つも幸運が重なって無事回復しました。
「良かった」と胸を撫でおろす飼い主。
――しかし、そうではありませんでした。
それは本当の闘病の始まりだったのです。

まとめ読み|急性膵炎・胆管閉塞 闘病記
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。

 

 闘病に関する心構え

努力は、奇跡の確率を上げるもの

闘病記を読むと、奇跡的に治るという表現に時々出会います。
しかし奇跡は、待っていて起きるものではありません。
奇跡が起きる確率は、努力で上げることができます。

医師まかせにせず、とにかく情報を集めて分析する事です。
その中に、もしかすると答えがあるかもしれません。

考え方を変えれば、飼い主が愛犬や愛猫の闘病で出来ることは、それ以外には無いのかもしれません。

医学書や論文を読むよりも現実的な情報源

犬が病気になった時、幾ら探しても、役に立つ医療情報が見つかりませんでした。
通り一辺倒だったり、逆に専門的過ぎたり。
どれもこれも、現実的ではないのです。
そんな中、飼い主が書いた闘病記に行き当りました。
動物医療の専門家ではない、普通の飼い主が書いた闘病記です。
そこからは、本当に色々な事を教わりました。

 ピーチーの他の闘病記です

劇症肝炎編――

筆者の愛犬ピーチーは2014年8月16日の早朝6時、救命救急に駆け込みました。
40度を越える高熱。ぐったりとして動けない。
ただごとではないと思いました。

振り返ると、異常を感じたのは8月10日の夜。
突然の体の震えと、食欲不振が恐らく前兆だったのでしょう。
このときは、掛かりつけの病院で、熱中症と診断。
その時には、肝臓の諸数値は正常値でした。

そして6日たち、16日の朝を迎えます。
この日から、命を賭けた闘病が始まったのでした。

 

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