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皆、ひとりぼっじゃないんだよ ~数字が語る犬の闘病(3/3)~【闘病に感じる孤独感】

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数字が語る犬の闘病:おしよせる孤独感、しかし――
数字が語る犬の闘病

文|高栖 匡躬 表紙|老犬アルバム No.98 しるばーさん
 

愛犬の看病や、介護をしている飼主さんは孤立しがちです。

全く同じ境遇の人たちが身近にいれば別でしょうが、なかなか自分の口からは、自分の苦しい状況は言い出しにくいもので、また周囲の人たちも、敢えてそのことに触れようとはしません。

結局、誰にも相談できず、孤独感にさいなまれるといいことは、よく耳にする話です。

中には、自分が世界で一番不幸だという気持ちになる方も……
それはまるで、人間の看護・介護ノイローゼと同じです。そんな袋小路に入ってしまう前に、自分が孤独じゃないって、気付くことが大切だと思います。

【目次】

 

 闘病に感じる孤独感

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闘病の際、当然ながら犬は口をきくことができません。したがって飼い主は、獣医師が提案した治療法の中なら、自分の愛犬に良かれと思われる方法を1つだけ選んで、その成果に掛けることになります。

犬を飼った瞬間から飼い主が負っている、 ”愛犬の命を預かる” という、責務の重みを、このときほど実感することはないでしょう。

「自分の判断と選択が誤っていれば、愛犬の命を奪うかもしれない」
そのとてつもない重圧が、飼い主と家族の心に重くのし掛かります。

 「誰にも相談が出来ない。自分で決断するしかない」
そう思いながら、飼い主は孤独感にさいなまれることになるのです。
その事実を実感させられるのが、 ”愛犬闘病ブログ” です。

 

 愛犬闘病ブログとは?

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数あるブログの中には、 ”愛犬闘病ブログ” というカテゴリーが存在します。言うまでもなく、飼い主が自分の愛犬が闘病をするさまを、綴ったものです。

第1話で触れた統計から導かれる数字、8.3世帯に1世帯が犬を飼っているという現実は、8.3世帯に1世帯がいつかは、愛犬の闘病に立ち会うことを意味します。
これだけ件数が多ければ、1つのカテゴリーが生まれるのも当然と言えます。

それでは ”愛犬闘病ブログ” の全てが、悲壮感や孤独感に満ちているかというと、そういう訳ではありません。しかしかなりの高確率で、そこからは飼い主たちの、悲痛な心の叫びを感じ取ることができます。

 

 どれくらいの飼い主が、闘病をしているのか?

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 ”愛犬闘病ブログ” の登録数を使って、世に中にどれくらの飼い主が、愛犬の病気に立ち向かっているのかを推定してみましょう。

参考になるのは、ブログのランキングサイトです。
ここには数多くのブログが登録されており、数千のカテゴリー分けがされています。人気順にランキングされているので、目的のブログを見つけるためには便利なサイトです。

犬のカテゴリーでの登録数が多いのが、にほんブログ村 の56,101サイト(2015年当時)です。
この中から犬の闘病に関連があるものを、多い順に抜き出してみると、犬 闘病生活 344サイト、犬 思い出・ペットロス 218サイト、犬 健康 204サイト、犬 介護 93サイト、犬 闘病記(永眠)45サイト、犬 闘病生活(がん)24サイト、アレルギー犬 19サイト、犬 闘病生活(リンパ腫・肉腫)10サイト、犬 リハビリ 3サイト。

合計をすると1,325サイト

犬関連のブログ全体の実に2.26% が、犬の病気(死を含む)と健康について語っていることになります。これは自らがブログを書いてまで、愛犬の情報を”発信する” 、 前向きな飼い主がそれと同数いるということです。

”にほんブログ村”に登録していない登録していないブログは、少なくともその数倍はあるでしょうし、ブログを書いていない飼い主さんは、更に圧倒的に多い数に及ぶでしょう。

これだけでも、相当数の犬が闘病している実態が想像されるわけです。

少々乱暴な方法ですが、前述の日本ブログ村に於ける2.26%の割合を、犬の全登録数である6,737,992頭に掛けると、全国で約159,000頭の犬たちが、深刻な病気を抱えている可能性が浮かび上がってきます。

そしてこの数字は、全国の動物病院数11,259施設(農林水産省)から考えても、妥当なように思えます。(動物病院1箇所につき、約14頭が通う計算)

――各種データの出典元は下記です――

 

あなたは一人ぼっちではない

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愛犬の闘病で、飼い主に襲い掛かる孤独感。
それは経験をしたものでなければ分かりません。

しかし、その孤独感に絶望することはありません。

このコラムをご覧になった方は、もうお分かりだと思います。
孤立無援で闘っていると感じる自分の周囲では、実数としては思った以上に多くの飼い主さんたちが、同時に同じ悩みを抱えているのです。

あなたは一人ぼっちなどではありません。

どうか、沢山の仲間がいることを忘れないで下さい。

 

―― 数字が語る犬の闘病(3/3)おわり ――

文:高栖匡躬
 ▶プロフィール
 ▶ 作者の一言
 ▶ 高栖 匡躬:犬の記事 ご紹介
 ▶ 高栖 匡躬:猫の記事 ご紹介

――前話――

時間は時に無情であるけれど、実は優しいものでもある。
愛犬との別れを意識したとき、残された時間を知ることは、とても大事だと思う。
出来ることをやりきるために――、後悔しないために――
そして何より――、”その時間”を楽しむために。
今は、いい思い出を作っている最中。

まとめ読み|数字が語る犬の闘病・血の涙に至る飼い主の思い
この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――連載の1話目です――

愛犬が重い病気を患った時、飼い主は孤独感と絶望感に満たされるものです。
獣医師から病気に告げられた瞬間に、床の底が抜けて、暗闇に落ちていくような感覚です。
さて、どうやって気持ちを立て直すのか?
踏みとどまらなければ――
愛犬のために。
そして――
あなたのために。

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 テーマ:闘病における視点

 少しだけ視点を変えれば、闘病が違うものに見えてきます。

愛犬の闘病で悩む飼い主さんは多い。
それは見えない不安が、心にのしかかるから。
これからどうなる? いつまで続く? 医療費は?
見えないものは仕方ない。しかし、見えているものはある。
不安に怯えるのではく、どうか前向きに。

闘病の悩みは、やがて悲しみに変わり、悲しみは時が癒すもの。
しかし、こじらせてしまった悩みは、そう簡単には消えません。

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