犬を飼うということ

Withdog 犬と飼い主の絆について

【口腔内腫瘍】飼い主さんでないと、気づけない病気があります。~例えば口の中~

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ここは『ハナちゃんの動物病院』(犬版)です。

今日はワンちゃんの、口の中の病気、口腔内腫瘍についてのお話です。

口の中は、いつも見ている飼い主さんでもなかなか気が付かなかったりします。
注意してみてあげてくださいね。

(注:記事中に、手術の写真が含まれます)

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撮影&文|ハナちゃんママ

 口腔内腫瘍の診察

動物病院での診察で、時々遭遇する口腔内の腫瘍です。
よだれや口臭・出血・口腔粘膜の潰瘍などで気付くことがあります。
扁桃や舌根部にあるとなかなか発見されないこともあります。

先日、口の中からかなりの出血があったと、柴犬のAくんがやってきました。

もともと体を触られるのが苦手で、ワクチン接種がなんとかできる程度のワンちゃんです。
飼い主さんの希望で麻酔をかけての診察となりました。

歯槽膿漏で奥歯が抜けたのかなぁ~と、麻酔下のAくんの口の中をみたところ、顎の一番奥の臼歯を包みこむように歯肉部に腫瘍がありました。

患部の図解

以下、患部の写真と、手術の写真が載っています。苦手な方は、閲覧にご注意を。

 

患部の写真

患部の写真

ちょっと傷がつくと出血しますので、電気メスで切除することにしました。

下の写真では腫瘍が取れて、先端しかみえなかった奥歯が見えています。

 

患部の写真

赤く腫れている部分は粘膜が炎症を起こしているようですが触ると硬く盛り上がっていますので、転移もあるのかもしれません。

口腔内腫瘍は悪性のものが多く、転移も高頻度で起こります。

数日後検査の結果が届きました。
悪性でした。

検査の結果

Aくんは、高齢なので、抗がん剤や放射線治療はせずに様子をみていくことになりました。

口の中は、なかなか確認できないかもしれませんが、あくびをした時とかに、できるだけ覗きこんでみて下さい

ペットの異常を見付けてあげられるのは、飼い主さんなのですから。

口腔内腫瘍の代表的な症状は

口腔内悪性腫瘍は悪性メラノーマ、扁平上皮癌、線維肉腫が約8割を占めます。
症状は、口臭、よだれ、出血、食べ方の変化(食べ辛い仕草)、嚥下困難などです。

 読者の方とのQ&A

■ 読者からの質問1:
うちの子はエプーリスで2度程切除したことがあり、獣医師さんに月1お口の中も診てもらっています。
今は腫れもなく安定してますよ。
簡単でも毎日の歯磨きでチェックしてますがエプーリスとメラノーマは別物と認識して大丈夫ですか?
痛いのは可哀想ですね(>人<;)
■ハナちゃんママからの回答:
コメントありがとうございます。
エプリスは、歯肉炎などが原因でおきる過形成ですが、メラノーマは、悪性の腫瘍です。
見ただけで判別できないものもあります。
定期的にみてもらっているなら、安心ですね。

■ 読者からの質問2:
ありがとうございます!
口腔内、意識しないと見ないですもんね(>人<;)
気をつけるようにします!
■ハナちゃんママからの回答:
コメントありがとうございます。
腫瘍は、少しでも早く見つけるのが原則ですが、悪性度や転移性が強いものは、どうすることもできない場合もあります。
外科手術・抗がん剤・放射線療法・免疫療法など組み合わせてどうするかになります。
一番は、ならないようにできればいいですね。

ハナちゃんママからアドバイス

口内腫瘍は、外部から確認できる部分なら早期に見つかりますが、奥の方だったりするとなかなか発見ができません。

食事が食べずらそうだったり、飲み込みにくそうだったり、よだれや出血・口臭がみられたら要注意です。

口内腫瘍は悪性のものが多いですが、歯肉炎から起こる良性の過形成もあります。心配な症状があれば早めに診察を受けて下さいね。 

【Withdogより】ここでご紹介したのは、病気を疑ってみる初歩的な知識です。もしもご家庭のワンちゃん、ネコちゃんに該当する症状があったら、すぐに動物病院を受診なさってください。

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こちらをどうぞ
【獣医師が犬を飼うということ】ハナがうちにうちにくるまで

 ▶ハナちゃんママ:犬 の診察記のご紹介
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――次話――

【乳腺腫瘍】
高齢になるとできやすくなります

うちの子は体質からか、乳腺種がよくできました。
すぐ気付いて2度手術。幸い2度とも良性。
その後、3つ目、4つ目も出来たましたが、高齢だからもう手術はしませんでした。

――前話(初回の記事です)――

【尿石症】
膀胱炎や、尿経路の結石による痛み

膀胱炎などの症状から、発覚します。
場合によっては手術が必要になり、命にかかわることもある怖い病気。
意外に多いし、予兆もあるので、気を付けてあげてください。

まとめ読み|【犬版】ハナちゃんの動物病院 ①
この記事は、まとめ読みでも読むことが出来ます。

 

 ペットの闘病についてのヒント

闘病の奇跡は呼び込むもの

闘病記を読むと、奇跡的に治るという表現に時々出会います。
しかし奇跡は、待っていて起きるものではありません。
奇跡が起きる確率は、努力で上げることができます。

医師まかせにせず、とにかく情報を集めて分析する事です。
その中に、もしかすると答えがあるかもしれません。

 出典

※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。

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