犬を飼うということ

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【投薬】【食事】【療法食】大好物が嫌いになる瞬間 ~闘病中は、大好物を守らなきゃ(前編)~

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撮影&文:高栖匡躬

皆さんは、愛犬に薬を飲ませる際にどうしていますか?
我が家ではかつて、色々な食品に、“挟む”“包む”“差し込む”などして、愛犬のピーチーにあげていました。
同じようにされている飼い主さんも、多いのではないでしょうか?

しかし、この方法で薬を与えるのは、少し考えた方がいいかもしれません。
特に、犬の好物を使って薬を与える事は――

犬と言う生き物はどうやら、簡単に好きな食べ物が、嫌いになってしまうようです。それは筆者が、我が家での失敗から学んだことです。

この連載では、筆者自身の反省を踏まえながら、闘病中の愛犬に、好きな食べ物を嫌いにさせない方法について、全般的に考えてみたいと思います。これから闘病を経験される方がそうならないような予備知識となることが、本記事の狙いです。

 (扉の写真は、バナナが大好物だったピーチー。その後ピーチーは、バナナが嫌いになりました)

 ※本記事は、癲癇闘病記として書いた記事から抜き出したものです。

 

 なぜ大好きな食べ物が嫌いになるの?

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犬の楽しみは、ご飯→散歩の順だそうです。
つまりご飯こそが、生きる楽しみの最大のものということです。

一方で闘病はその対極にあり、発作が苦しい、体がきつい、薬が不味いなどの嫌な思い出がつきまといます。

ここに書くのは、筆者が実際にピーチーで経験したことですが、(犬にとって)嫌な記憶というのは、どうやら相当に強いもののようです。意識の中で好きな食べ物と繋がってしまうと、”容易に” 好きな食べ物が嫌な記憶にとりこまれてしまうようなのです。

その結果として好きな食べ物は、嫌いになります。そして飼い主側がそれを分かっていないと、段々と嫌いな食べ物が増えていきます。

好きだったはずの食べ物が、意志に反して急に嫌いになる。
それは愛犬にとっては、我が身に降りかかった災難のようなものです。そして同時にそれは、飼い主にとってもショッキングな出来事でもあります。

それまで、「この食べ物は鉄板」と思っていた大好物をあげたのに、目の前で愛犬が、そっぽをむいてしまう――

自分の経験を言えば、それは積み上げてきた確かなものが、一瞬のうちに足元から崩れたような出来事です。大げさなように思われるかもしれませんが、経験された方ならば、絶対に分かると思います。
その瞬間は、まさに飼い主にとって悪夢です。

 

 大好物を温存する切実な理由

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大好物を温存するのは、闘病を長期の視点で見たらこその話です。
すぐに治る病気ならば良いのですが、長期に渡る慢性疾患や、重い病気だと犬の体調は悪化していきます。

上記に書いたような、嫌な記憶と結びつかなくても、食べられなくなっていくのです。
これは我々が病気になったことを考えて見れば、よく分かるでしょう。

やがて看護から介護の段階に入ると、本当に食べさせるもの(食べてくれるもの)が減っていきます。

犬が食べ物を欲しがらないことは、全てが悪い事ではありません(これは別の記事で書きます)。しかし、介護の終盤になると、口からものを食べるという行為が、残された命の指標になってきます。

食べてくれれば、あと少し生きられるかもしれないという状況では、大好物のオプションは1つでも多いに越したことはありません。

筆者の愛犬、ピーチーの場合は、次々と大好物が食べられなくなる中で、最高の大好物の”ウニ”を温存することができました。今もピーチーが、美味しそうにペロリを舌を出したことを思い出します。

縁起でもないと思われるかもしれませんが、”最期に食べさせてやる美味しいもの”が無かったとしたら、どんなに寂しい思いをしたことだろうと、今も思うのです。

 

 実例1:ピーチーはこうしてアイスクリームが嫌いになった

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好きな食べ物が嫌いになった瞬間の出来事を、お知らせしましょう。
この実例1では、病気の発作の記憶と、食べ物が結びついたために起きたことです。
(実例2、実例3では、薬と食べ物が結びついた例を挙げます)

かつてアイスクリームはピーチーにとって、ウニ(魚介類の)と並ぶ大好物の頂点。鉄板中の鉄板でした。
まずはどんなに大好きだったかをお知らせします。

【こんなに好きだった】


筆者がリビングのソファーで、アイスクリームを食べ始めると、ピーチーは別の部屋で寝ていても、必ず匂いを嗅ぎつけて飛び出してきました。
それは野生を失ったピーチーが、犬の嗅覚を存分に発揮する、数少ない瞬間です。
そして大ジャンプでソファーに飛び乗り、筆者の横にぴったりと張り付きます。

我が家では人の食べ物は(基本)ピーチーにはあげません。どんなに欲しがってもです。ピーチーもその事はよく分かっています。
ですから、筆者のすぐ横にいて、もうアイスクリームに鼻が付きそうになるまで近づいて、匂いを嗅ぐのです。

舌をチョロッと出せばアイスクリームに届くのですが、それもしません。
じっと筆者の横で、筆者がアイスクリームを食べるのを見ています。

最後まで我慢が出来たら、一口分だけ残してやって、「ハウス」と号令を掛けました。アイスがもらえるのは、ハウスの中。それがうちの決まりでした。
ご飯の器に、アイスのカップごと置いてやると、たった一口分しかないので一瞬でなくなります。それでもピーチーはカップを、ずっと舐め続けました。

アイスクリームを食べた日のピーチーは、夜中寝ている最中に、突然起きだすことが良くありました。散々舐めつくしたはずのカップを、更に舐めに行くためです。
ピーチーはそれほどアイスクリームが好きだったんです。
【しかし、こんなに簡単に嫌いになった】

ピーチーがアイスクリームを嫌いになったのは、忘れもしない2015年5月4日です。
この日はピーチーが、2回目のてんかん発作を起こした日でした。
(詳しくは、ピーチーの癲癇闘病記の方に書きます)

この日は午後に1度目の発作。夕方に2度目の発作が来ていました。

発作の後のピーチーは、自分でも何が起きたのか分かりません。
怖い何かが、突然に自分を襲ってきたくらいに思っているのです。
何度も家の中をパトロールし、安全な部屋の奥に行ってじっと壁をみつめています。
とても自信なさそうに。

そのとき、うちの奥さんが「アイスクリームを食べさせてあげよう」と言いました。
それはとても良いアイデアだと思いました。

アイスクリームを食べた瞬間に、ピーチーの顔は輝きました。
無くした自信を一気に取り戻したようで、足取りもしっかりしました。
たった一口のアイスクリームが、ピーチーを元の姿に戻してくれたのです。

夜になって、この日3度目の発作。
救急救命に電話をするも、「家で様子をみるしかありません」との事。
このときも、ピーチーはまたアイスクリームで元気になりました。

日が変わった翌日深夜に4度目、未明に5度目、早朝に6度目の発作。
このときもアイスクリームでリカバー。最早アイスが気付け薬の状態。

そして主治医の病院が開く9時がもうすぐやってくるというところで、7度目の発作。
それは――、これまでで一番大きい発作でした。

この7度目の発作の後――
ピーチーは、もうアイスクリームを食べようとしませんでした。
これがピーチーがアイスクリームを嫌いになった経緯です。

その後ピーチーは、アイスクリームの側には近寄ろうとはしませんでした。
それは「犬ってこんなに簡単に、大好物が嫌いになってしまうのだ」と、身を持って知った瞬間でした。

● ● ●

――次回は――

次回記事では、ピーチーが大好物だった豆腐が嫌いになり、鰹節がきらいになり、ずっと食べ続けていたドッグフードが、嫌いになった理由に触れます。

 

――闘病中は、大好物を守らなきゃ(前編)・つづく――

(ライター)高栖匡躬

――次話です――

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