ルイの闘病記:低アルブミン血症
ルイのこの病気で、私が学んだことがあります。
どんなに小さなことでも、愛犬が普段と違っていたり、どこか違和感を感じて、「あれ? おかしいな?」っと思った時は、何かしら体の異変を知らせているサインなのかもしれません。
なにかで読んだのですが、犬は体の不調を飼い主に隠そうとするそうです。
そして痛みに強いから、はっきりと症状が現れたときは、ギリギリの限界にきていることがあるのだと。
些細なことでも、おかしいと感じたら、すぐに動物病院を受診することが、大切なことのように思いました。
『治療のタイミング』は、逃してしまうと、取り返しがつかないかもしれないのです。
当時のブログより - 後悔
――8時前――
ルイは再び何度か移動して、私の横に来てこたつに入りたそうにしたので、いれてあげました。
私の足ものに、ルイは伏せて寝ました。
1度だけパタンと動いたので、横になって寝たのだなと思いました。
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――そして9時――
ルイがあまりに動かないので、気になりこたつの布団をめくりました。
「ルイ?」
と声をかけます。
しかし――、反応がない。
お腹の上下の動きが、感じられない。
私は慌てて、こたつのなかに頭を入れて、ルイの呼吸を耳をあてて確かめました。
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息をしてない!
「ルイ!ルイ!」
私はルイを抱き上げ、何度も呼びかけました。
しかし、動きません。
そんな――
死んでしまったの?!
こんな突然、気づかないうちにそんなそんな――
何度も何度も「ルイ!」と声をあげても、反応がありません。
「嫌だ!」
ルイを抱きながら、病院に電話しました。
「すぐに来て下さい」
そう言われ、泣きながら病院に駆け込み、診察台にのせました。
先生がルイを見ながら、こうおっしゃいました。
「死後硬直が始まっているので、おそらく30分はたってますね。残念です……」
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30分……
そんなに気づかなかったなんて……
ルイの亡き顔は、苦しんだ様子が感じられないくらい、穏やかな表情なんです。
「ルイは苦しまなかったんでしょうか?」
私の問いに先生は、「たぶんそうだと思います」と仰いました。
「おうちで、安心して亡くなったのでしょう」と。
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先生は、こうも仰いました。
「病院で亡くなる可能性もあったのだから、おうちでお母さんのそばで安心して逝けたのが救いだと思いますよ」
――でも、私は後悔でいっぱいです。
先生からの電話で、あのとき病院に来て点滴をしてもらっていたら、もしかしたら、また回復していたのかもしれないと――
あのとき、大丈夫ですと判断したのは私。
あの判断が間違いだったのでは……
腹水を抜いたことで、呼吸は楽になったけど、それも正しかったのか?
そして――、ルイの息がこときれる最後に、気づいてやれなかった私。
自責と後悔――
自分があまりにも愚かで悔しい――
ルイの容態については、「ステロイドを増やしても、腹水が増えているから厳しいね」と、病院では、他の先生とも話をしていたそうす。
しかし、病院にいるときも反応があり、すぐに逝くとは思わなかったようです。
先生も驚くくらい、本当に突然の死でした。
昨日ルイの告別式をして、荼毘に付しました。
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病院で紹介していただいた、火葬をしてくれるセレモニーのご夫婦は、たくさんの保護犬と保護猫の面倒をみていて、とても手厚く愛情を込めて、ルイをお見送りをしてくださいました。
そして私にこう言ってくださいました。
「犬って最後に亡くなる前は、家族に心配させまいと元気に見せるんですよ。そして家族に泣かれるのがわかってるから、気づかれないように静かに逝ってしまうんです」
ルイは確かに、前日とその前の夕方の散歩を、「こんなに歩いて大丈夫なの?」って思うくらい、30~40分も元気に歩いていました。
朝も今までより、良いウンチをして。
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何匹も看取ってきた、おふたりの言葉には説得力がありました。
「ルイちゃんのお顔はやすらかですよ。苦しまずにお母さんのそばで逝くことができたのだから、よかったのですよ」
と言われました。
私は再び涙が溢れて、止まりませんでした。
ルイ、可愛くて可愛くて、愛しいルイ。
もっといっしょに過ごしたかった。
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ごめんね、そしてうちに来てくれてありがとう。
あなたと過ごせた7年は、大切な思いでです。
火葬の前日。
レオはルイの亡骸に寄り添って、寝ていました。
それが最初の写真です。
お別れがわかったのかな。
――【低アルブミン血症】闘病記・おわり――
文:まる
▶ 作者の一言
▶ まる:犬の記事 ご紹介
――次話はあとがきです――
16話続いた『ルイの闘病記』のあとがきです。
作者のまあさんは、自身の経験をもとに、闘病に大切なのはタイミングと選択肢だと語ります。
動物は口がきけないから、飼い主に全てが委ねられますね。
まあさんは、しっかり闘いました。
――前話――
そのまま続くと思われた闘病は、突如終わりを告げます。
まるさんの愛犬ルイは、突然に天国へ。
――まるさんの言葉――
この日のことは今も鮮明に思い出します。
そして思い出すと涙が溢れてしまいます。
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この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――この連載の1話目です――
まだ7歳の、元気な愛犬でした――
ちょっとしたことで受診した、動物病院。
そこで告げられたのは、受け入れがたい深刻な病名と余命でした――
もの言わぬ愛犬の病気は、多くの場合、ある日突然に判明します。
その時の飼い主の動揺は、計り知れません。
ここから、飼い主のまるさんと、大切な愛犬ルイの闘病が始まります。
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死のイメージ
愛犬の『死』をイメージしたことはありますか?
経験して感じたことは、月日が経つほど『死』の印象は柔らかくなるということ。
実は『死』は、優しいものなのかもしれないな?
そんなお話です。
犬の寿命は人間よりずっと短いですね。それを、はかないと感じますか?
犬は何をやるのも一生懸命。
きっとその一生を、全力で駆け抜けていくのだと思います。
だから、別れの言葉も、それにふさわしいものを送りたい。
筆者が愛犬に送った別れの言葉。
それは『またね』でした。
愛犬はきっと、『またね』と言って去っていくと思ったのです。
別れの言葉なのに、なんだか再会が期待できそうな言葉『またね』
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まるさんの家に、愛犬ルイがやってきたときのお話
娘さんの犬が、事情があって愛犬に。
手が掛かかる子。世話が大変な子。
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それに気付いたのは、お別れの後でした――
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出典
※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。