ピーチーの闘病記:劇症肝炎編 
急に発症した劇症肝炎のため、筆者はその日、2つの病院(救命救急と主治医)を行き来することになりました。非常に悪い状態ということだけは見ただけでわかり、しかもそれが刻一刻と、悪い方向に進んで行きます。
しかし、それ以外の事はまったく分かりません。
担当医の顔つきから、深刻な状況である事は明らか。
肝臓の数値、炎症をが非常に悪い事から、病名で言うと劇症肝炎であろうことが分かってきます。
その時の筆者の頭の中は、不安で満たされているのですが、こういう時に出来るのは、ただ一つだけ。冷静でいるということだけです。
何が起きようと、最後の判断は飼い主に委ねられます。その判断を間違えないようにしたい。後悔のない判断をしたいという気持ちだけが、筆者の心を支えていました。
こんな方に:愛犬が劇症肝炎|愛犬が急性の炎症性疾患|免疫疾患の可能性もある|治療方針の決断を迫られている|選択肢が乏しい|かかりつけの医師に任せるのが良いのか?|経験者の体験談を聞いてみたい
8月16日、朝、 今後の見通し
ピーチーの症状からして、劇症肝炎であるのは確かなようですが、今後は症状を軽減する対処療法に加えて、その原因を探る必要があります。
インターネットで検索をすると、肝炎の原因はウイルスや細菌、熱中症、膵炎、自己免疫不全、癌などがあるようです。ピーチーは本日の時点で行った、レントゲンとエコーの検査から、肝臓がんである疑いは払しょくされています。
ピーチーの場合、今の時点で2つ思い当たることがあります。
1つ目の可能性 自己免疫不全
まずは、ピーチーはこのところ闘っているてんかんのですが、その原因が、自己免疫不全に起因する脳炎である可能性が指摘されています。MRIではその種の脳炎は映らないため、現在受診中の脳神経科では、来週以降に試験的にその自己免疫不全に対する治療を、行ってみるかどうか話し合うことになっていました。
今回はその矢先のことなので、自己免疫不全の可能性が高いように思えます。そして幸運なことにそれには治療法があるのです。最も理想的なケースは、自己免疫不全の治療によって、肝炎とてんかんの両方が改善されることです。
2つ目の可能性 膵炎
もう一つ疑われるのは膵炎です。ピーチーは3年前に一度、膵炎から胆管閉塞を併発して、九死に一生を得た経験があります。今回はその膵炎の時と症状が似ています。
とにかく、何にしても、今の劇症肝炎の危険な状態を切り抜けてからの事です。
現段階では素人考えの域を出ません。
明日の総合内科の診断を待つことにします。
今日の行ったり来たりのまとめ
朝7時
DVMsのER(救命救急)に到着。良く晴れて暑い日でした。
朝9時15分
大倉山動物病院(主治医)です。いつもお世話になっています。
今日は押しかけておいて、「紹介状だけ書いてくれ」と言う失礼なお願いをしてしまいました。
大倉山動物病院では、皆さんが心配してくださり、診察の順番を譲ってくださったり、タクシーを待つ間に、体を冷やす濡れタオルを掛けてくださいました。ありがとうございました。
朝9時45分
もう一度DVMsに向かいました。
ピーチーはこれまで、幾度も危険な状態を切り抜けてきました。
とても運の強い子です。
そして、8月26日はピーチーの14回目の誕生日。年に1回だけ、大好物のウニ(注)を食べられる日です。
どうか、もう一回だけ、切り抜けさせて。
神様、おねがい。
(注)筆者の愛犬ピーチーは、おかしなことにウニが大好物でした。
高いので、年に1回だけ、誕生日に食べさせていました。
――【劇症肝炎】闘病記・つづく――
文:高栖匡躬
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――次話――
夜、集中治療室のピーチーに面会に。
会っておかなければ、最後になるかもしれないと思いました。
高濃度の酸素と肝機能を保護するための点滴
それは治療ではなく、現状を維持するためのもの
早急に、治療方針を決める必要がありました。
――前話――
この日早朝6時、愛犬ピーチーは救命救急に駆け込みました。
40度を越える高熱。ぐったりとして動けない。
主治医からは、安楽死を勧められるほどの状態。
この日から、命を賭けた闘病が始まったのでした。
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この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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ペットの闘病についてのヒント
闘病の奇跡は呼び込むもの
闘病記を読むと、奇跡的に治るという表現に時々出会います。
しかし奇跡は、待っていて起きるものではありません。
奇跡が起きる確率は、努力で上げることができます。
医師まかせにせず、とにかく情報を集めて分析する事です。
その中に、もしかすると答えがあるかもしれません。
セカンドオピニオンと二次診療
街の獣医師の技術と経験には大きな差があります。知識にも差があります。
なぜなら街の獣医師は、内科医であり、外科医であり、犬や猫だけでなく、ネズミも鳥も診察するのが役割です。病気ごとの専門医ではないのです。
セカンドオピニオンと二次診療は、街の獣医師の足りない部分を埋める、重要な手段と言えます。
高度医療という選択肢
動物にも高度医療があります。
それは人間で実績のある治療を、いち早く動物医療に転用するものです。
医療は日進月歩。昨日治らなかった病気が、今日は直るかもしれません。
高度医療は病気を治す手段としては有効な選択肢です。