数字が語る犬の闘病:おしよせる孤独感、しかし――
愛犬の看病や、介護をしている飼主さんは孤立しがちです。
全く同じ境遇の人たちが身近にいれば別でしょうが、なかなか自分の口からは、自分の苦しい状況は言い出しにくいもので、また周囲の人たちも、敢えてそのことに触れようとはしません。
結局、誰にも相談できず、孤独感にさいなまれるといいことは、よく耳にする話です。
中には、自分が世界で一番不幸だという気持ちになる方も……
それはまるで、人間の看護・介護ノイローゼと同じです。そんな袋小路に入ってしまう前に、自分が孤独じゃないって、気付くことが大切だと思います。
【目次】
- 数字が語る犬の闘病:おしよせる孤独感、しかし――
- 闘病に感じる孤独感
- 愛犬闘病ブログとは?
- どれくらいの飼い主が、闘病をしているのか?
- あなたは一人ぼっちではない
- 関連の記事はこちらに テーマ:闘病における視点
闘病に感じる孤独感
闘病の際、当然ながら犬は口をきくことができません。したがって飼い主は、獣医師が提案した治療法の中なら、自分の愛犬に良かれと思われる方法を1つだけ選んで、その成果に掛けることになります。
犬を飼った瞬間から飼い主が負っている、 ”愛犬の命を預かる” という、責務の重みを、このときほど実感することはないでしょう。
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「自分の判断と選択が誤っていれば、愛犬の命を奪うかもしれない」
そのとてつもない重圧が、飼い主と家族の心に重くのし掛かります。
「誰にも相談が出来ない。自分で決断するしかない」
そう思いながら、飼い主は孤独感にさいなまれることになるのです。
その事実を実感させられるのが、 ”愛犬闘病ブログ” です。
愛犬闘病ブログとは?
数あるブログの中には、 ”愛犬闘病ブログ” というカテゴリーが存在します。言うまでもなく、飼い主が自分の愛犬が闘病をするさまを、綴ったものです。
第1話で触れた統計から導かれる数字、8.3世帯に1世帯が犬を飼っているという現実は、8.3世帯に1世帯がいつかは、愛犬の闘病に立ち会うことを意味します。
これだけ件数が多ければ、1つのカテゴリーが生まれるのも当然と言えます。
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それでは ”愛犬闘病ブログ” の全てが、悲壮感や孤独感に満ちているかというと、そういう訳ではありません。しかしかなりの高確率で、そこからは飼い主たちの、悲痛な心の叫びを感じ取ることができます。
どれくらいの飼い主が、闘病をしているのか?
”愛犬闘病ブログ” の登録数を使って、世に中にどれくらの飼い主が、愛犬の病気に立ち向かっているのかを推定してみましょう。
参考になるのは、ブログのランキングサイトです。
ここには数多くのブログが登録されており、数千のカテゴリー分けがされています。人気順にランキングされているので、目的のブログを見つけるためには便利なサイトです。
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犬のカテゴリーでの登録数が多いのが、にほんブログ村 の56,101サイト(2015年当時)です。
この中から犬の闘病に関連があるものを、多い順に抜き出してみると、犬 闘病生活 344サイト、犬 思い出・ペットロス 218サイト、犬 健康 204サイト、犬 介護 93サイト、犬 闘病記(永眠)45サイト、犬 闘病生活(がん)24サイト、アレルギー犬 19サイト、犬 闘病生活(リンパ腫・肉腫)10サイト、犬 リハビリ 3サイト。
合計をすると1,325サイト。
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犬関連のブログ全体の実に2.26% が、犬の病気(死を含む)と健康について語っていることになります。これは自らがブログを書いてまで、愛犬の情報を”発信する” 、 前向きな飼い主がそれと同数いるということです。
”にほんブログ村”に登録していない登録していないブログは、少なくともその数倍はあるでしょうし、ブログを書いていない飼い主さんは、更に圧倒的に多い数に及ぶでしょう。
これだけでも、相当数の犬が闘病している実態が想像されるわけです。
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少々乱暴な方法ですが、前述の日本ブログ村に於ける2.26%の割合を、犬の全登録数である6,737,992頭に掛けると、全国で約159,000頭の犬たちが、深刻な病気を抱えている可能性が浮かび上がってきます。
そしてこの数字は、全国の動物病院数11,259施設(農林水産省)から考えても、妥当なように思えます。(動物病院1箇所につき、約14頭が通う計算)
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――各種データの出典元は下記です――
あなたは一人ぼっちではない
愛犬の闘病で、飼い主に襲い掛かる孤独感。
それは経験をしたものでなければ分かりません。
しかし、その孤独感に絶望することはありません。
このコラムをご覧になった方は、もうお分かりだと思います。
孤立無援で闘っていると感じる自分の周囲では、実数としては思った以上に多くの飼い主さんたちが、同時に同じ悩みを抱えているのです。
あなたは一人ぼっちなどではありません。
どうか、沢山の仲間がいることを忘れないで下さい。
―― 数字が語る犬の闘病(3/3)おわり ――
文:高栖匡躬
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――前話――
時間は時に無情であるけれど、実は優しいものでもある。
愛犬との別れを意識したとき、残された時間を知ることは、とても大事だと思う。
出来ることをやりきるために――、後悔しないために――
そして何より――、”その時間”を楽しむために。
今は、いい思い出を作っている最中。
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――連載の1話目です――
愛犬が重い病気を患った時、飼い主は孤独感と絶望感に満たされるものです。
獣医師から病気に告げられた瞬間に、床の底が抜けて、暗闇に落ちていくような感覚です。
さて、どうやって気持ちを立て直すのか?
踏みとどまらなければ――
愛犬のために。
そして――
あなたのために。
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関連の記事はこちらに
テーマ:闘病における視点
少しだけ視点を変えれば、闘病が違うものに見えてきます。
愛犬の闘病で悩む飼い主さんは多い。
それは見えない不安が、心にのしかかるから。
これからどうなる? いつまで続く? 医療費は?
見えないものは仕方ない。しかし、見えているものはある。
不安に怯えるのではく、どうか前向きに。
闘病の悩みは、やがて悲しみに変わり、悲しみは時が癒すもの。
しかし、こじらせてしまった悩みは、そう簡単には消えません。