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【劇症肝炎】8月20日|夕方 ~思いもよらぬ言葉、退院できるの?~【闘病記】

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ピーチーの闘病記:劇症肝炎編  f:id:masami_takasu:20171217082340j:plain

撮影&文|高栖 匡躬
 
当時を振り返り

快方に向かっていたピーチーですが、この日の夕方面会に行くと、担当医から”退院”の可能性を告げられました。

正直いって驚きました。4日前には死の淵にあった子です。
別れを覚悟で、ステロイドの大量投与を決断したのは3日前でした。

それが、思ってもみなかった回復――
この時の喜びは、今も忘れません。
そして、犬は強いなあとしみじみと思いました。

しかし、まだ安心はできないぞと、気を引き締め直したことも覚えています。

こんな方に:
愛犬が劇症肝炎|愛犬が急性の炎症性疾患|免疫疾患の可能性もある|治療方針の決断を迫られている|選択肢が乏しい|かかりつけの医師に任せるのが良いのか?|経験者の体験談を聞いてみたい

 8月20日、夕方 歩いているよ

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先ほどまでDVMsに行っていたのですが、今日は信じられないことが起きました。

僕たちが病院につくと、受付のカウンターにいた看護師さんが、とても明るい笑顔で「ピーチーちゃんのご面会ですね」と声を掛けてくださいました。
もうこれだけで、ピーチーの具合が良いのだなと分かります。

今日は待合室で15分ほど待っただけで、すぐに声が掛かって、面会に使う処置室の部屋番号が告げられます。

僕たちが立ち上がろうとしたときでした。
処置室の扉が勝手に開きました。

何事かと思ったら、なんとピーチーその扉を鼻先で開いて、自分から待合室に出てきてしまったのです。
僕も奥さんも、もうびっくりです。足元は多少おぼつかないところはありますが、とても力強くて、前日までのヨロヨロと歩くような弱々しさは感じません。

 

 撫でてあげよう

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ピ一チーには大型犬用の緑色の太いリードがつながっており、ピーチーに引かれるように若い看護師さんが現れました。

ピーチーは僕と奥さんに愛想をしてきたので、奥さんがピーチーを撫でてやりました。僕も撫でてやろうとした手を伸ばしたのですが、ピーチーはくるりと踵を返して、元来た処置室に帰っていってしまいました。

気まぐれで落ち着かないところは、元気なころのピーチーそのままです。

僕たちはピーチーを追いかけて処置室に入り、そこでゆっくりとピーチーを観察しました。

 

 家に帰れるの?

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ピーチーは昨日よりも長く、自分の力だけで動き回わります。

でもやっぱりすぐに疲れるようで、床にべたり。
しかし、またすぐに起き上がって歩こうとします。

面会というよりも、ピーチーの遊び相手をしているうちに、担当の先生が部屋に来てくださいました。
「黄疸の値はかなり下がっています。総ビリルビンももう一歩のところ。炎症の値は高いままですが、これは回復に向かっていてもそう簡単に下がるものではありません」
医師の言葉からは、ピーチーがかなり良くなってるのが明らかです。

僕たちはホッとしました。
――そして、医師の次の言葉に耳を疑いました。

「今はステロイドと抗生物質を与えて様子を見ているだけです。このまま経過が良いようであれば、明日にでもお宅に連れて帰りますか?」

完治しての退院というわけではありませんが、自宅で療養しながら、病院に通うことが許されたのです。

「もちろん、連れて帰ります」
そう僕たちは答えました。

信じられますか?
僅か4日前には自力で立つこともできず、瀕死の状態だった子です。

 

 良好な検査結果

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検査の結果ももらいました。
まだざっとしか見ていませんが、確かに気にしていた総ビリルビンの値は、もうすぐに標準値まで下がりそうになっています。

今夜何事もなければ、明日にはピーチーがうちに帰ってきます。
それは、思ってもみなかったことです。
医師の言葉が、今でも信じられません。

「良く頑張ったな、ピーチー」
ピーチーの頭を撫でながら、声を掛けてやりました。

でも喜ぶのはまだ早いかもしれません。
明日、ピーチーが本当に返ってこれたら、その時こそ本当のお祝いです。
ピーチーの誕生日には少しだけ早いけれど、前祝いで、少しだけウニをたべさせてやろうかな。

本当に帰ってこいよ、ピーチー。

――解説――

うちのピーチーはウニが大好物なのです。いつもは食べさせないでのですが、誕生日のお祝いはウニと決まっていました。

 

――【劇症肝炎】闘病記・つづく――

文:高栖匡躬
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――次話――

退院の日の朝を迎えました。
退院前の経過観察の1日は、どうやら何事もなかったようでした。
半分は安堵していながらも、半分はまだ喜べない複雑な思い。
まだ喜ぶのが怖い――

――前話――

愛犬が危機から生還するときは、何か特別な力が働いているように感じます。
症状が現れるタイミングや、検査の順番や、データの読み取り方など、ちょっとしたことで医師の診立ては変わってきます。

助かるのか? それとも助からないのか?
それを分けるのは、ほんの些細な出来事のように思えます。

まとめ読み|劇症肝炎闘病記 ②
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――本連載の第1話です――

この日早朝6時、愛犬ピーチーは救命救急に駆け込みました。
40度を越える高熱。ぐったりとして動けない。
主治医からは、安楽死を勧められるほどの状態。
この日から、命を賭けた闘病が始まったのでした。

 ペットの闘病についてのヒント

闘病の奇跡は呼び込むもの

闘病記を読むと、奇跡的に治るという表現に時々出会います。
しかし奇跡は、待っていて起きるものではありません。
奇跡が起きる確率は、努力で上げることができます。

医師まかせにせず、とにかく情報を集めて分析する事です。
その中に、もしかすると答えがあるかもしれません。

セカンドオピニオンと二次診療

街の獣医師の技術と経験には大きな差があります。知識にも差があります。
なぜなら街の獣医師は、内科医であり、外科医であり、犬や猫だけでなく、ネズミも鳥も診察するのが役割です。病気ごとの専門医ではないのです。

セカンドオピニオンと二次診療は、街の獣医師の足りない部分を埋める、重要な手段と言えます。

高度医療という選択肢

動物にも高度医療があります。
それは人間で実績のある治療を、いち早く動物医療に転用するものです。

医療は日進月歩。昨日治らなかった病気が、今日は直るかもしれません。
高度医療は病気を治す手段としては有効な選択肢です。

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