ピーチーの闘病記:劇症肝炎編
結局この日、DVMs(動物医療センター横浜)からは、何の連絡はありませんでした。ということは、ピーチーは経過観察中に、何の異常もなかったという事です。
「きっと、大丈夫」
そう思っていたのですが、予定の時間が来るまで気が気ではありませんでした。
うちには車が無いので、迎えに行くためにタクシーを呼びました。
病院につくまで、そわそわした気持ちでした。
愛犬が劇症肝炎|愛犬が急性の炎症性疾患|免疫疾患の可能性もある|治療方針の決断を迫られている|選択肢が乏しい|かかりつけの医師に任せるのが良いのか?|経験者の体験談を聞いてみたい
8月21日、夕方
先程、DVMsに行ってきました。
昨夜のピーチーは何の異常なく過ごしたそうで、今朝は食欲もあり、体調も安定していたそうです。
担当医師からは、「今日から帰宅して、家で様子見てもらって大丈夫でしょう」とのお言葉がありました。
退院が決まった瞬間です。
本当に信じられません。肝炎を発症した4日前には、ピーチーが元気な姿で病院を出ることなど、誰が想像できたでしょうか?
DVMsでタクシー呼んでもらい、病院でタオルを借りて体をくるみ、しっかりと抱いて乗り込みました。まだ本調子ではないのでしょう。暴れん坊のピーチーがじっとおとなしくしています。
この日のタクシーの運転手さんはとても親切で、ピーチーのことを心配して沢山声を掛けてくださいました。本当に犬好きの方で、最後の方(我が家に着く直前)では、ピーチーのことはそっちのけで、御自分の家の犬の話を、楽しそうになさっていたほど。
(とても面白いので、この運転手さんのお話は、後日、別のエッセイにしました)
――よかったらこちらもどうぞ――
家に帰り、玄関のドアを開けたとたんに、ピーチーは小走りで中に飛び込んでいきました。
「あ、走った」
と、思いました。
足腰がおぼつかなかなくなったピーチーが、最後に走ったのは、救急でDVMsに飛び込む日の1週間ほど前。
まさか、もう一度ピーチーが走る姿が見れるとは、思ってもみませんでした。
ピーチーを追いかけていくと、お風呂場でじっとこちらを見上げています。
これは、水道から新鮮な水を出してくれというサインです。
洗面器に水を注いでやると、蛇口に口を当てて、ガブ飲みです。
細かいところまで、元気なころのピーチーに戻ってきています。
今はまだ疲れやすく、少し動いただけで、肩で息をする感じです。
ピーチーの肝臓は、まだ炎症が治まっていません。
人間の場合、肝臓を悪くすると、立っているのも座っているのもつらいと聞きます。
動けるだけ、まだ良いということでしょう。
本調子ではないからでしょうか。ひとしきり家の中を確認したら、すぐに暗いお風呂に引っ込みます。そこはピーチーが具合が悪い時の定位置です。
少し心配だったので、おやつを使っておおびき出してみたところ、小走りで駆け寄ってきます。
おやつにピーチーの視線が集中して、せわしなく動き回るので、写真を撮ろうとするのに、カメラの焦点が合いません。
どうやら問題はなさそうなので、今は好きにさせるて、お風呂場にいさせてやることにしましょう。
肝炎が治まってくれば、自然に外に出てくるようになるはずです。
今日は晩ごはんの前に、ピーチーの大好きなウニが待っています。
どんな顔をして食べるか、今から楽しみです。
今のところは、とり急ぎ、退院のご挨拶まで。
ウニを食べる様子や、今後の治療方針などは、改めてまたご報告します。
皆さんからの応援は、随分と心の支えになりました。
本当にありがとうございました。
――【劇症肝炎】闘病記・つづく――
文:高栖匡躬
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――次話――
家に帰ってきたピーチーは、頭の上にパッと電球が点いたように、家の中に飛び込みました。本人は、家に帰れると思っていなかったかもしれせん。
一通り家の中をパトロールして、安心したのか寝てしまいました。
その夜には、大好物のウニが待っていました。
――前話――
退院の日の朝を迎えました。
退院前の経過観察の1日は、どうやら何事もなかったようでした。
半分は安堵していながらも、半分はまだ喜べない複雑な思い。
まだ喜ぶのが怖い――
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この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――本連載の第1話です――
この日早朝6時、愛犬ピーチーは救命救急に駆け込みました。
40度を越える高熱。ぐったりとして動けない。
主治医からは、安楽死を勧められるほどの状態。
この日から、命を賭けた闘病が始まったのでした。
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ペットの闘病についてのヒント
闘病の奇跡は呼び込むもの
闘病記を読むと、奇跡的に治るという表現に時々出会います。
しかし奇跡は、待っていて起きるものではありません。
奇跡が起きる確率は、努力で上げることができます。
医師まかせにせず、とにかく情報を集めて分析する事です。
その中に、もしかすると答えがあるかもしれません。
セカンドオピニオンと二次診療
街の獣医師の技術と経験には大きな差があります。知識にも差があります。
なぜなら街の獣医師は、内科医であり、外科医であり、犬や猫だけでなく、ネズミも鳥も診察するのが役割です。病気ごとの専門医ではないのです。
セカンドオピニオンと二次診療は、街の獣医師の足りない部分を埋める、重要な手段と言えます。
高度医療という選択肢
動物にも高度医療があります。
それは人間で実績のある治療を、いち早く動物医療に転用するものです。
医療は日進月歩。昨日治らなかった病気が、今日は直るかもしれません。
高度医療は病気を治す手段としては有効な選択肢です。