ピーチーの闘病記:劇症肝炎編
目前にあった危機が去ると、それとは別の問題も浮上してきます。
慢性的な傾向の強い肝臓疾患と、長期で付き合っていかなければなりません。それに加えてピーチーには癲癇の発作もあります。
薬の時間を守らなければならず、食事制限も厳しいです。健康な時と違い、いい加減に済ませる事はできません。
しかし、ピーチーのオトボケな顔を見ていると、「仕方ないか」という気になってきます。諦めではなく、前向きに付き合っていこうという気になってくるのです。
こんな方に:愛犬が劇症肝炎|愛犬が急性の炎症性疾患|免疫疾患の可能性もある|治療方針の決断を迫られている|選択肢が乏しい|かかりつけの医師に任せるのが良いのか?|経験者の体験談を聞いてみたい
8月22日、朝 まだ楽観はできないけれど
まずは退院ができて一安心のピーチーですが、まだ楽観はできませんん。
冷静に考えれば、当面の危機ともいうべき、劇症肝炎の重症状態を乗り切ったにすぎず、肝炎はまだ継続をしています。
もう一つの課題である、てんかんとの兼ね合いもあり、今後の治療方針はまだ確定していません。
薬の量がすごい
現在ピーチーが飲んでいる薬の量がとにかく半端ではありません。それがピーチーの現状を物語っています。
※実はこの少し後に、もっと薬は増えるのです。
劇症肝炎はDVMsの総合内科で治療を行っていますが、てんかんは脳神経科。明日23日は劇症肝炎の発症前から、脳神経科の外来の予約が入っているため、予定通り同科で、今後の診療方針を話し合うことになります。
その結果をもって、総合内科との連携により、今後の治療方針が決定することになるはずです。
症状(病気)ごとに現状を整理すると
現状を整理すると、下記のようになります。
■劇症肝炎
【病状と経過】
・胆管閉塞(或いは胆管狭窄)の状態を脱し、最も緊急度の高かった
胆嚢破裂の危機を乗り切った。
・全体の状況(体調と検査データ)は上向いている。
・とは言え、肝臓の炎症はまだ治ったわけではない。
→GPTが下降傾向とはいえまだ210 (標準値10~125)
→ALPが計測可能値の上限突破 >2000 (標準値23~212)
→C-反応性蛋白が計測可能値の上限突破 >20 (標準値0.00~1.00)
・恐らくは、膵炎も治まってはいない。
【現在の状態】
・元気に動き回るが、すぐに疲れて息が荒くなる。
・お風呂で寝ている時間が長い。これはピーチーが体調が悪いときの特徴。
【改善傾向】
・持久力はに日に日に増してきている。
・お風呂で寝る時間が、少しずつ減って、リビングでも寝るように
なってきている。
■てんかん(癲癇)
【病状と経過】
・大発作は7月26日を最後に起きていない。
・しかしながら、小さな発作を疑う現象が数度あり。
・8月16日以降は、緊急度の高い劇症肝炎への対応が中心
→ゾニサミドの投薬は途切れがち。
→臭化カリウムは中断中
→最も効果が期待できるイーケプラのみは欠かさず投与
【現在の状態】
・そもそものてんかんの原因として、自己免疫不全も疑われている。
・劇症肝炎の免疫治療に相乗りする形で、てんかんに対する免疫系の関与も
調べていくことになると思われる。
■ヘルニア(馬尾症候群)
【病状と経過】
・7月以降になって急激に悪化。
・入院直前の状態は、極度の歩行困難。
【現在の状態】
・5か所の関節からウイルス性でない炎症反応が検出。
・自己免疫性の多発性関節炎と診断。
・ステロイド治療の後、歩行困難は解消。
・ヘルニアに起因すると思われた歩行困難は、自己免疫不全が原因であった
可能性が強まる。
・レントゲンの所見からは、ヘルニアがあるのは明らか。
・しかし現在は、ヘルニアらの不具合は発生していない可能性あり。
今後の治療方針|ステロイドから免疫抑制剤へ
ピーチーに自己免疫系の疾患があることは最早疑いようがなく、それが癲癇までを包含した大きな問題なのか、それとも肝臓だけのものなのかを、今後は見極めなければなりません。
まずは肝臓に注目し、現在はステロイドの投与で対応をしていますが、肝炎に一定の見通しが立った段階で、その後は免疫抑制剤に切り替えていくことが予想されます。
その場合、飼い主として気になるのが食事制限です。
感染症の可能性を減らすため、恐らくは今後、生ものは禁じられると思われます。せっかく生肉にも慣れて、その効果を実感していただけに残念でなりません。
ピーチーの大好物ウニをどうするかについても考え物です。元気が無い時にはウニ、記念日にはウニ。大好物で釣ってピーチーの気持ちを盛り立てようと思っていたのに……
でも、それは今後の成り行きで考えることにしましょう。
今日の時点のピーチーの様子はというと、まだ肝臓は本調子ではないので、暗いお風呂に行って寝ていることが多いです。しかし段々と元気になってきているので、飼い主の動きが気になって、何かにつけてお風呂から様子を見に来ます。
しかし、少しそうしているだけで疲れるようで、すぐにお風呂に帰っていってしまいます。
あんまり先の事や、大きなことを考えても答えが見つからないので、まずは肝臓とてんかんに的を絞って、対処をしていこうと思っています。
――【劇症肝炎】闘病記・つづく――
文:高栖匡躬
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――次話――
病院からの電話で、2日前の血液検査の結果を聞きました。
数値はとても良くて、ほっと胸をなで下ろしました。
見た目は、何歳か若返ったような元気さです。
ここに至って、はじめて病気からの回復を喜ぶことができました。
――前話――
家に帰ってきたピーチーは、頭の上にパッと電球が点いたように、家の中に飛び込みました。本人は、家に帰れると思っていなかったかもしれせん。
一通り家の中をパトロールして、安心したのか寝てしまいました。
その夜には、大好物のウニが待っていました。
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この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――本連載の第1話です――
この日早朝6時、愛犬ピーチーは救命救急に駆け込みました。
40度を越える高熱。ぐったりとして動けない。
主治医からは、安楽死を勧められるほどの状態。
この日から、命を賭けた闘病が始まったのでした。
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ペットの闘病についてのヒント
闘病の奇跡は呼び込むもの
闘病記を読むと、奇跡的に治るという表現に時々出会います。
しかし奇跡は、待っていて起きるものではありません。
奇跡が起きる確率は、努力で上げることができます。
医師まかせにせず、とにかく情報を集めて分析する事です。
その中に、もしかすると答えがあるかもしれません。
セカンドオピニオンと二次診療
街の獣医師の技術と経験には大きな差があります。知識にも差があります。
なぜなら街の獣医師は、内科医であり、外科医であり、犬や猫だけでなく、ネズミも鳥も診察するのが役割です。病気ごとの専門医ではないのです。
セカンドオピニオンと二次診療は、街の獣医師の足りない部分を埋める、重要な手段と言えます。
高度医療という選択肢
動物にも高度医療があります。
それは人間で実績のある治療を、いち早く動物医療に転用するものです。
医療は日進月歩。昨日治らなかった病気が、今日は直るかもしれません。
高度医療は病気を治す手段としては有効な選択肢です。