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【看取り・心境の変化】これもペットロスなのかな?【飼い主の心の中は】

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ペットロスは一人一人が違っている

撮影&文|奥村 來未(本記事は2017年に執筆されたものです)
 

私は今年(2017年)の10月20日に、18歳4か月で愛犬Mackを亡くしました。
Mackはハイシニアになってから沢山の病気をしましたが、最後は老衰で、私に抱かれながら旅立ちました。

今、約二か月が経ちますが、私の心は思ったより落ち込んだり暗くなったりしていません。今は寂しい気持ちはもちろんあるけれど、Mackと暮らせた日々を思い出しては幸せを感じています。

以下、刻々と変わっていった心境を、時系列で振り返ろうと思います。
今、ペットロスで悩んでいらっしゃる方の参考になると嬉しいです。

 

こんな方へ向けた記事です
ペットロスで悩んでいる|ペットロスを乗り越えたい|ペットを亡くした飼い主さんは、どんな思いでいるのだろう?|悩んでいるのは自分だけ?|経験者の話が聞きたい

 

 火葬前から直後の心境

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Mackが亡くなって、翌日には夫と「カッコイイ犬生だったよね」と笑いながらMackの一生を話すことができましたが、目の前のMackの姿はいつも通りの寝姿で、信じられない・信じたくない気持ちも共生していました。
じーっと見つめていると、動いた気がして触ってみても、その身体は冷たく、固くーー
また亡くなってからの肉体の変化は、私に現実を突きつけてくるのでした。

葬儀の日、「戻ってきたらお骨になっているんだ」と思い、家を出るのがすごく辛かったです。
葬儀場に着いて、葬儀中は涙が止まらず、いつまでもいつまでも、永遠にキスをしたり身体に触っていたかったけれど、最後にMackが寝かせられた炉の上は、暖かくて……
これ以上肉体の変化する様を見たくないと、「お願いします」と離れましたが、Mackの小さな身体が炉に入っていくのは、今思い出しても心が締め付けられるほどで、Mackを亡くしてから一番辛かった瞬間です。

しかし、不思議なもので。
お骨を見ると、Mackの頑張りを目で見て知ることができました。
そして、頭蓋骨はまさにMackの顔……骨までも愛おしかったのです。
一つ一つ、骨壺に家族で納める度、Mackの頑張りを、犬生を、自慢に思う気持ちに変わっていきました。

 

 月命日までの心境

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火葬してから初七日までは、コタツや布団をめくり、「Mack~どこなのよ~」と泣きながら家中を探し続けました。
半月が過ぎるまで、夜眠るのが嫌でした。介護中は夜眠れないのが当たり前だったのに、亡くなったからとグッスリ夜眠るのが嫌だったからです。
やっと眠れても、何度も何度も目が覚めました。

そして目が覚める度、Mackの姿を探しました。
亡くなると若い身体に戻ると聞いていたので、今は歩けているのかなと思い、耳を澄ませたりしましたが、聞こえるのは時計の秒針の音だけで、余計に寂しくなるのでした。

 

 まるでお告げに導かれるように旅行へ

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私はMackを亡くして10日もたたないうちに、まるで何かに操られているかのように京都への旅行を決めてしまいました。その時の心境は、宿やバスの予約を取りながら、ワクワクする気持ちと、今はそんな気分じゃないのにどうしてしまったんだろうという、不思議な気持ちをの両方が混じったものです。

月命日が過ぎ、旅行に行ってみると、行く先々で不思議なことが起こりました。
行きのバスでは最後尾の角、そして隣は唯一の空席。
天気も移動中は雨になっても、外に出ると自分の見渡せる範囲のみ雲が無かったり、晴れ間がのぞいたり。

旅行先で会った犬が、私の右横の空間を丹念にチェックしだし、その鼻の高さがMackの頭の高さだったこと。
そして、Mackを亡くしてから、初日に旅行先の宿で初めてMackの夢を見ました。

この旅以来、私はMackを探すことをやめました。
Mackは見えなくても私のそばに居てくれているんだ。そう実感を得ることができたのです。

それ以来、出かけると足元にMackの姿を想像しては話しかけ、地面に向かって私を見上げるMackを想像して微笑んだりしています。

 

 四十九日を迎えた頃の心境

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四十九日の夜は、Mackの亡くなった23時5分の30分前から部屋の電気を消し、カーテンを開けて夫婦で夜空を見上げました。月も見えないのほど分厚い曇り空でしたが不思議と自宅の真上の空は雲が切れ、空が見えて居ました。

Mackが昇っていく。そうしたら転生してまた戻ってきてくれる。
そう思って、笑顔で「気を付けてね、またね!」と空に手を振りました。

今、四十九日が過ぎ、寂しい気持ちはありますが、戻ってきてくれる日を……再会できる日を思うと、楽しみで胸が躍ります。

帰ってきたら、何をしよう?どこへ行こう?
そんなことを考えながら、今日もMackの遺骨の箱を撫でながら写真に声をかけます。

おはよう!
おやすみ!
姉ちゃんMackのこと大好きだよ!
早く戻っておいでね!

 

――了――

文:奥村 來未
 ▶ 作者の一言
 ▶ 奥村 來未:他の記事のご紹介

 ペットロスを前向きに考える

ペットを亡くした飼い主に訪れるのが、ペットロスです。
重い/軽い、或いは、短い./長引くの差はあれど、例外なく誰もが経験するものです。
ペットとの別れを、もっと前向きに考えてみてはどうでしょうか?
或いは、死のイメージを変えてみたら、悲しみの形は変わるのでは?
そんな記事をあつめたまとめ読みです。

体験談やエッセイもご紹介しています。

悲しみは、自分なりに味わえば良い
ペットロスは、ペットを亡くした誰にも訪れるものです。重い軽いの違いは人それぞれですが、それが愛情の深さと一致するものでもないようです。
ペットロスで悩んでいらっしゃる方の中には、ペットロスが悪いものであるかのように思われている方もいます。しかし誰もが必ず陥るその感情に、良い悪いもないように思います。良く感じるか、悪く感じるかの差があるだけです。
このように書くと、ペットロスを”良く感じる”飼い主がいるのかと思われる方もいるでしょう。しかし、良く感じる方は確実にいらっしゃいます。本作の作者のように。
あなたの悲しみは、他の方と同じものではありません。だから自分なりの悲しみ方をして、自分なりの心の収めどころを探せばよいのだと思います。
ペットロスは早く克服する必要もなく、自分なりの悲しみ方で、自分なりの時間を過ごせばそれで良いのだと思います。
――Withdog――

まとめ読み|私たちは犬に育てられている
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。

 

 奥村來未さんの記事 - 老犬を失って思うこと

私の自慢の弟でした 
~いつでも、戻っておいでよ、Mack~

自慢したくなる別れ
犬猫たちは、常に生きる事に一生懸命ですね。
闘病の際、ゆらゆら揺れ動く飼い主の心とは裏腹に、彼らはいつも前向きです。
だから我々は、彼らとの別れの時、
悲しみと同時に、別の感覚を覚えるのかもしれません。

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