ピーチーの闘病記:劇症肝炎編
退院の翌々日。またピーチーを連れてDVMsに行きました。
劇症肝炎を発症する前から、この日は癲癇(てんかん)の治療のために脳神経科の予約が入れてあったのです。
二次診療、高度医療は街の動物病院と違い、受診する科が専門分野で別れています。当然ながら各分野の専門医が担当するために、わずか2日の違いで、もまとめて診てもらうわけにはいきません。
しかし文句は言えません。こういう医療体制が整っていて良かったし、その恩恵に預かれる場所に住んでいたのも幸運でした。
地域ごとに、医療格差は随分とあるようです。
二次診療、高度医療を、どこにいる子も受けられる環境になれば良いと思っています。
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8月23日、夜 一週間を振り返り
今日はピーチーを連れて、DVMsに行ってきました。
劇症肝炎の治療のためではなく、1か月前から予約が入っていた、脳神経科を受診するためです。1か月前には、この数日でピーチーに起きた一大事のことなど、予想もしていませんでした。
更に言えば1週間前には、ピーチーがこんな形で――
曲がりなりにも自分の足で歩いて、DVMsの外来に来ることができるなどとは、思いもしませんでした。
全ては、丁度1週間前の今日の未明――
ピーチーが発熱して動けない状態であることに気付き、DVMsの救命救急に飛び込んだことが始まりでした。
そこから僕と奥さん、ピーチーにとっての、長い長い1週間が動き始めたのです。
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当直医からピーチーが危険な状態であることを知らされ、入院先を求めて右往左往したのが1日目。幸いにもDVMsの救命救急が再度受け入れてくれ、緊急入院後の2日目は、朝から担当医との面談。
「難しい状況になってきました」
が、その担当医の第一声です。
僕も奥さんも、その一言だけでピーチーが置かれている状況を察しました。
これが1週間前にDVMsに来た時のピーチー
その日、偶然にDVMsの待合室で会った、罹りつけの動物病院の院長先生も、僕たちから様子を聞いて、瞬時に顔が曇りました。この時点では誰もが、ピーチーの最期の時は近いと予感していたのです。
しかし、こんな状況だからこそ、僕と奥さんの覚悟は決まりました。
ピーチーの命を預かって、最後まで戦う覚悟です。
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思えば、ほとんど勝ち目の無い戦いでした。
頼るものはたった一つだけ。ピーチーが生まれながらに持っている、恐ろしいほどの強運だけです。僕と奥さんは、ただその強運を信じ、その運の流れの邪魔をしないよう動いだだけでした。
この時のことは、もう少しだけピーチーの状態が安定したら、気持ちを整理をして書かせていただこうと思っています。
ご機嫌な闘病記録
入院中の看護記録です。『ごきげん』の言葉が素敵です。
病院で大切に診ていただいたことが良く分かります。
さて、まだピーチーは闘病中です。
肝炎の値はまだ下がっていませんし、今日の脳神経科でのお話では、てんかんの治療もまだ続けなければなりません。
ひょっとすると病状が急変し、また危機的な状況に陥ることも十分に考えられます。しかしそれでも、今の小康状態を勝ち取ったことを、素直に喜びたく思っています。
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今、僕がしみじみと思うのは、このブログを書いていて良かったという事です。
書くことによって、冷静に状況を捉えることができましたし、何よりも応援をしてくださる皆さんの励ましは、心の支えでした。
はじめのうちは、ピーチーが闘っている経過を皆さんにお伝えすることが、いつか誰かの役にたつのだと思っていました。しかしそれは最初の頃だけの話です。誰かの役に立つどころか、実は僕の方が助けられていたのです。
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ひとまずは、ここまでの感謝を皆さんにお伝えしたく思います。
暖かい応援、励まし、ありがとうございました。
ピーチーが本当に良くなったら、また改めてお礼を申し上げたく思っています。
――【劇症肝炎】闘病記・つづく――
文:高栖匡躬
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――次話――
この闘病記の最終話です。
家に帰って3日目のピーチー。薬が多い事を除けば平穏な日々が戻ってきました。
劇症肝炎発症から、ジェットコースターのような1週間。
今振り返ると、3か月はあったような感覚です。
ピーチーを救ってくれたのは、二次診療と高度医療でした。
――前話――
重篤な状態を脱すると、今後のことが気になってきます。
肝臓は急性の重篤な状態を脱しただけで、まだ炎症は続いている。
既往症であるてんかんとも、付き合っていかなけえばならない。
薬の量が、状況の難しさを物語っていました。
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この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。
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――本連載の第1話です――
この日早朝6時、愛犬ピーチーは救命救急に駆け込みました。
40度を越える高熱。ぐったりとして動けない。
主治医からは、安楽死を勧められるほどの状態。
この日から、命を賭けた闘病が始まったのでした。
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ペットの闘病についてのヒント
闘病の奇跡は呼び込むもの
闘病記を読むと、奇跡的に治るという表現に時々出会います。
しかし奇跡は、待っていて起きるものではありません。
奇跡が起きる確率は、努力で上げることができます。
医師まかせにせず、とにかく情報を集めて分析する事です。
その中に、もしかすると答えがあるかもしれません。
セカンドオピニオンと二次診療
街の獣医師の技術と経験には大きな差があります。知識にも差があります。
なぜなら街の獣医師は、内科医であり、外科医であり、犬や猫だけでなく、ネズミも鳥も診察するのが役割です。病気ごとの専門医ではないのです。
セカンドオピニオンと二次診療は、街の獣医師の足りない部分を埋める、重要な手段と言えます。
高度医療という選択肢
動物にも高度医療があります。
それは人間で実績のある治療を、いち早く動物医療に転用するものです。
医療は日進月歩。昨日治らなかった病気が、今日は直るかもしれません。
高度医療は病気を治す手段としては有効な選択肢です。