愛犬Mackは18歳、老犬です
我が家の愛犬Mackは、18歳。
人間で言えば、90歳になろうかというところでしょうか。
そんな彼は、目は白濁し、痩せたり、毛が抜けたりと、見るからに老いています。
Mackを客観的に見ると、ただの老犬だと思う方が、圧倒的に多いのだろうと思います。
ところが、老いたMackには、沢山の可愛さが詰まっています。
愛犬だから、可愛いのは当然なのですが、そればかりではないように思います。
身体のあちこちから、何とも言えない味わいのようなものが、滲み出ている気がするのです。
実は、シニア犬の飼い主さんでも、その年齢ゆえの可愛さに、気づいていない人もいるのではないかな? と感じることがあります。
ところが――
不思議なことに、子供達は何故か、老犬の可愛さを見つけることが出来るようです。
私の娘(8歳)のお友達たちは、ほとんどが幼稚園からずっと一緒で、Mackが寝たきりになる前から知っている子がほとんどです。
その子たちは皆、Mackのことを、他の若い犬と区別して見ることはありません。
●
Mackが膿皮症を患い、背中一面焼けただれたようになってしまったときも、はじめて見るその光景を嫌いもせず、心から心配してくれて、中には涙を流す子もいました。
今、ずっと寝たままになったMackに会うと、皆何故か教えたわけではないのに、静かにそっとMackに近づき、満面の笑みで頭を撫でてくれます。五分でも、十分でも。
もちろん、娘には幼稚園が同じではない、小学校からのお友達も居ます。
その子たちも皆、Mackを拒否すること無く、とても愛おしそうに接してくれます。
「今のMackが一番可愛いね!」
――そう言ってくれた子がいました。
なんで?と私が聞くと、その子は視線を落とし、Mackにをとても愛おしそうに見つめながら「だってね、とっても綺麗だよ」と言ったのです。
私はてっきり外見のことかと思いましたが、その子は続けて「赤ちゃんみたいに優しい目と、雰囲気。綺麗だよね!」と言いました。
「綺麗……」
その子は、自分なりの精一杯の言葉で、その時素直に感じたことを表現したのでしょう。大人ではなかなか、思いつかない言葉だと思います。
老犬になると、よだれや、目やに。
そして糞尿で、お尻まわりが汚れることが多いのです。
愛犬だから、愛おしいし可愛い。
しかし――
「綺麗」という言葉は、私も頭に浮かんだことはありませんでした。
その子の一言は今でも、そしてこれからも――、私の宝物です。
老犬にはシニア、ハイシニアになるまでの頑張りが詰まっています。
そして、今も頑張っている――
犬は辛さを隠す動物。
きっとMackの今の頑張りは、相当に大変なものです。
思わず、褒めてあげたくなるくらいに――
街で老犬を見つけたら、どうか瞳をじっと覗き込んでみてください。
きっとその子の可愛さを、見つけることができると思います。
――了――
文:奥村 來未
▶ 作者の一言
▶ 奥村 來未:犬の記事のご紹介
▶ 奥村 來未:猫の記事のご紹介
Follow @19990526Mack
●
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。
●
老犬介護をしている方に
介護で飼い主は、ネガティブになりがちですね。
愛犬に出来ないことが増える度に、落ち込んだりして――
でも、出来る事を喜ぶことだってできるんですよ。
うちは、トイレが今でも思い出。
上手くできると愛犬は「どうだ!」って顔して、こっちも大喜びしてやって。
あれ、本人は嬉しかったんだろうなあ。
老犬は可愛い。仔犬に通じる可愛さがある。いや、それ以上かもしれない。
何故あんなに可愛いのか?
――犬にとって、飼い主が全て。
そんな当たり前のことを、愛犬が衰えて初めて、実感するからかもしれない。
それとも、何年もかけて積み上げた信頼が、そうさせるのか?
老犬の介護って、気持ち次第で楽しくも辛くもなる。
老犬が好きな方へのおすすめ
優しい老犬たちを紹介する、老犬アルバムはご存知ですか?
老犬アルバムが始まった理由がこちらです。