Mackの闘病記:急性膵炎編
予期せぬ発病
2016年11月13日18時頃......突然のことでした。
我が家の愛犬Mackが、1時間で3~4度の嘔吐を繰り返し、それまで聞いたこともない、力のない悲痛な声で鳴き続けました。見たことのない様子に異常を感じた私は、すぐにMackを連れて、救命救急へ駆け込みました。
すぐにレントゲンと血液検査――
結果は急性膵炎――
初めて聞いた病名でした。
その病気は、「お腹の火傷」とも呼ばれ、激しい痛みが伴うのだそうです。
【目次】
急性膵炎とは
重篤な場合は、多臓器不全に発展する恐れがある。また痛みによるショック症状や、血圧や心臓に負担がかかることから、そのまま心臓の停止を招く場合もある。
急性膵炎とは
膵臓に急激な炎症が起こり、嘔吐や腹部痛などの消化器症状が生じる病気です。膵臓では食べ物の消化を助ける膵液という消化液を作っています。急性膵炎になると、何かしらの原因で一部分の膵臓で膵液をうまく出すことができず、膵臓内に膵液が溜まってしまい、膵臓内で炎症が起き始めます。軽度な膵炎は自然に治癒することも多いですが、重症化した場合は最終的に膵臓全体に炎症が広がり、膵液が膵臓をも消化(自己消化)してしまいます。ほかの臓器にも炎症が波及し、多臓器不全や血液の凝固異常を起こして命に関わる場合もあります。
担当医からは、断言はできないが甲状腺起因ではないかと言われました。
Mackはこれまで、甲状腺ホルモンに異常があって、薬を服用していたのです。
Mackの経過
さて、その膵炎ですが、体調が急変してすぐに病院に駆け込んだことが功を奏したようです。異常ではあるものの、炎症値は低いとの事。
担当医からは「今はこれしかできることがない」と言われ、点滴と注射を受けて帰宅しました。
夫には「まずは無事に帰れたことを喜ばないと」と言われましたが、膵炎のことを調べると、死亡することもあるという記述が妙に目につきました。
私は動顛しました。
「Mackが死んじゃう!いなくなっちゃう!」
「どうしよう! どうしよう!」
「私が出したご飯のせいなのかもしれない!」
そんなことばかり考えて、一晩中泣くことしかできませんでした。
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Mackは薬で痛みが和らいだのか、帰宅後は落ち着いて寝付きました。
しかし、午前3時すぎになり、また病状が急変――
私はもう一度、救命救急に飛び込みました。
その時は、痛み止めの注射を打ってもらい、再度帰宅。
朝9時からの診察に、一番に間に合うように掛かり付けの動物病院に。
そこでの血液検査では、炎症値が救命救急ではじめに測った時よりもはね上がり、膵炎を示す数値は振り切れていました。Mackはそのまま、即入院です。
私は家へ戻る車中、声をあげて大泣きしました。
「Mackが死んじゃう!いなくなっちゃう!」
また、あの思いが脳裏に――
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何をしてもMackのことが頭をよぎり、不安な夜が過ぎました。
私の涙は、翌日も枯れることはありませんでした。
「こうしている間にも、Mackは……」
家の中には、Mackの抜け毛や服が沢山あります。
それらを目に入るたびに、次々と涙があふれてきました。
その更に翌日、私はMackに、面会に行きました。
Mackは眠そうにしていましたが、私が声をかけると目をまん丸く大きく開き、息も絶え絶えに鳴き始めました。
飼い主の決意
「姉ちゃん!姉ちゃん!僕寂しいよ!」
「痛いよ!ねえ、連れて帰ってよ!」
私が子供のころから、弟のように一緒に育ってきたMack――
私は、Mackが私にそう言っている気がして、また涙が溢れました。
でも――
その面会の日をきっかけに、私の頭の中は「どうしよう」ではなく、「必ずMackにおかえりって言うんだ」と、変わっていきました。
現実を直視して、覚悟が決まったんだと思います。
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私は何度も何度も、Mackに面会にいきました。
そして面会時間が過ぎて、後ろ髪を引かれながら帰宅する日々が続きました。
「必ずMackに、おかえりって言う!」
その決意だけが、私を支えていました。
そんな私の気持ちが、神様に通じたのでしょうか?
やがて、私たち素人目に見ても、Mackが回復しているのが分かるようになりました。食欲はなかなか戻らないものの、Mackが生きようとする力が、実感できるようになってきたのです。
回復の兆し、そして退院
随分とMackが、回復してきてのことです。
主治医の先生からは、「一時はもうダメかと思って、深夜に電話しようと思ったりもしたのよ」と明かされました。
Mackはそんな危険な状態を乗り越えてくれたんだ!
家族全員で喜び、Mackを沢山褒めました。
そして――
遂に、待ちに待った、帰宅の日がやっていました。
●
「おかえり、Mack」
うれしくて、うれしくて―
私は、何度も何度もMackを抱いて、鏡の前に立ちました。
帰ってきたMackと、そのMackを抱いている私を、しっかりと自分の目で確認するためにです。
そして私は、鏡の中のMackと自分を見る都度、「おかえり」とMackの耳元に話しかけていました。
急性膵炎をもっと知るために
急性膵炎の原因と治療について、概要的に解説した記事です。
詳しい医療記事を読む前に、予備知識をえるために最適な記事です。
(臨床の医療関係者が書いた、専門性がありながら、分かりやすく書かれた記事です)
下記の急性膵炎闘病記も参考になります。
急性膵炎から胆管閉塞を発症し、危険な状態から回復した実例です。
急性膵炎の獣医師選びに役立ててください
ペットの病気を治してくれるのが獣医師。
しかし獣医師にも得意な分野があり、また治療技術も医療知識もまちまちです。
獣医師を選ぶのは飼い主なのです。
獣医師にも人間の医師と同じように、名医とヤブ医者がいます。
名医を探し当てるのは、飼い主さんです。勘に頼るのではなく、ノウハウで良い獣医師を探しましょう。
臨床現場にいる医療関係者が語った、獣医師選びのコツです。
実際のところ、ひどい獣医師もいるのです。現場の声は貴重です。
Mackのその後
今もMackは、膵炎の薬が継続しています。
再発を防ぐために、ドッグフードやおやつの脂肪分は5%以下!
健康と体調を気にしながらの生活です。
それでも私は幸せです。
Mackは調子がいいと、3時間吠え続けるほど体力のある、元気なおじいちゃん。
私はそれで、十分なんです!
「Mackおかえり! 良く帰って来たね!」
これからもずっと一緒だよ。
――急性膵炎|闘病記――
文:奥村 來未
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老犬になると犬は衰えていくのですが、可愛さはそれとは逆に、ますます増していきます。それまで気が付かなかった色んな可愛さが溢れ出て。宝石箱のようです。
愛犬を突如襲ったのが前提疾患。
歩くのが大好きだったMackは平衡感覚を失います。
前庭疾患は、様々な原因で平衡感覚をつかさどる前庭(三半規管の根っ子の部分)が侵されたことにより、平衡感覚を失ってしまう病気です。
軽度な場合は自然に治る、または体が慣れて不都合を感じなくなりますが、重度な場合は歩行困難にまで発展してしまいます。