Mackの闘病記:膿皮症編
はじめに - なぜこの闘病記を書いたのたか
この記事は、我が家の愛犬Mackに発症した膿皮症を記録した体験談(闘病記)です。
Mackは若いころはとても健康で、椎間板ヘルニアを二度経験したものの、ほとんど病院にお世話になることはありませんでした。そのMackを突如襲ったのが、今回お話する膿皮症です。
この病気のお陰で、Mackは病院通いが定常化してしまいました。
そしてまさか今のように、『調子が良いときでも、通院は最低月一』なんていう酷い状況になるなんて、想像もしていませんでした。
これからこの病気を経験なさる飼い主さんのお役にたつように、なるべく詳細に、写真を交えてご紹介したいと思います。
※患部の写真が含まれます。
状態を見ていただく方が良いとの判断ですが、苦手な方は閲覧にご注意ください。
【目次】
- Mackの闘病記:膿皮症編
- はじめに - なぜこの闘病記を書いたのたか
- 膿皮症を発症した時期は
- 膿皮症に気づいた時から発覚直前まで
- 診断 - 膿皮症の発覚(ひとまずの診断)
- 診断 - 膿皮症の確定診断(かかりつけでの再診)
- 予兆はある 例えば抜け毛
- 治療 - 膿皮症中期・患部の保護
- 治療 - ゆっくりと快方に向かう
- 治療 - 完治までの道のり
- 予防 - 気を付けてあげたいこと
- 膿皮症とアレルギーをもっと知るために
- 膿皮症の獣医師選びに役立ててください
- まとめ
- 同じ作者の闘病記 - 前庭疾患、急性膵炎
膿皮症を発症した時期は
膿皮症は、皮膚の病気で、犬には割とよくあるもののようです。
アレルギー性皮膚炎やアトピーと同じように 解説されることも多いので、ともすれば軽く考えてしまいがちなのですが、実はこの膿皮症は、重度に悪化するかもしれない、とっても怖い病気です。
今回は当時の写真とともに、お話をしていきたいと思います。
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Mackがこの病気を発症したのは、記録を辿ると2015年年6月18日のことでした。
6月から10月くらいの時期が、最も発症しやすいのだそうです。
尚この記事には、見るのがちょっと辛い写真もあるのですが、そても病気の資料、および症例としては重要だと思い、そのまま掲載することにしました。最後までにお付き合いいただけると嬉しいです。
膿皮症に気づいた時から発覚直前まで
病気の発覚前日、寝る前におしっこをさせている時に、「あれ?すこし背中の毛がバサバサしてる?」と思ったのがはじめの違和感でした。
寝癖のような感じで、首の付け根の、少し下のあたりだけ毛が逆立っています。
その時は皮膚の疾患だとは思わなかったので、上から撫でるだけで、毛をかき分けて確認することはしなかったのです。
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翌日、朝に昨日のバサバサしていたところを見ると、ヒトコブラクダのように盛り上がっていました。つまんでみると、ブヨブヨしています。
なんだ?おかしいな?なんてつまんでいると、ピュッっと膿が飛び出してきたのです。
上の画像が、その時の物です。
画像の真中付近とその少し向こうに二か所、膿が染み出ているのがわかって頂けますでしょうか?
まさか膿が出てくるとは思っても居なかったので、すぐに病院へ行くことにしました。
しかしその日はかかりつけの定休日。やむなく近くの動物病院へ駆け込みました。
診断 - 膿皮症の発覚(ひとまずの診断)
これはその病院で処置を受けた後の様子です。
(赤く見えるのが患部で、白く見えるのは膿皮症の白い粉の塗り薬です。)
毛に覆われているとわからなかったけど、患部はこんなにも大きかったのです。
診断結果は膿皮症。
膿皮症とは、皮膚上で菌が異常繁殖し、化膿して膿を排出してしまった状態なのだそうです。
診断 - 膿皮症の確定診断(かかりつけでの再診)
膿皮症にはステージが3段階あります。
膿皮症のステージ
2.表在性膿皮症(毛包とそれに連なる表皮に発生した膿皮症)
3.深在性膿皮症(毛包全体、真皮、皮下組織に発生した膿皮症)
Mackの膿皮症は、初診では二番目に重い表在性と診察されましたが、翌日あらためて行ったかかりつけでは、最も重いステージ3:深在性であると診断されました。
この写真は翌日、かかりつけでの処置を受けた後の様子です。
患部がさらに広がっています。
悲しいことに、ここから暫くトビヒのようにして、頬、肘、顎と、あちこちに発症していきます。
予兆はある 例えば抜け毛
膿皮症になると、上の写真のように、まるで筆のようにして毛が抜けるようになります。皮膚に毛がくっついたまま剥落してしまうので、このような抜け方をするようなのです。
こんな毛が、もしもお部屋で見つかったら、赤信号。
愛犬の毛を、あちこちくまなくかき分けて、見てあげる必要があります。
Mackの場合、特に気にする様子がなかったのですが、膿皮症は発症するまでは激しいかゆみが伴う事があるようなので、しきりにどこかを痒がる時も、くまなく見てあげるといいとおもいます。
治療 - 膿皮症中期・患部の保護
これは、膿皮症中期の頃の写真です。
瘡蓋を剥がし、サランラップを巻いて皮膚の再生を促します。
清潔を保つために、膿がたまればふき取り、一日に二度、アルコール消毒をして、その都度サランラップを新しくする生活がしばらく続きました。
治療経過はこのように
状態が改善をし始めると、徐々に皮膚が黒くなってきます。
でも、まだグジュグジュしていたり、血が止まらないような患部もあります。
治療 - ゆっくりと快方に向かう
この写真は快方に向かって、サランラップが取れた頃の様子です。それでもまだまだ、完治の時期は見えてきません。
まだあちこちに小さな新しい患部ができるので、見つける度にクリーム状の薬を塗っていました。
治療 - 完治までの道のり
膿皮症が治るまでには、なんと6月の発症から5か月ほどかかりました。
Mackが当時、16歳と高齢だったこともあるとは思いますが、梅雨から夏のジメジメで、どんどん患部が広がってしまい、なかなか収まってくれなかったのです。
これが現在の様子です。
中心は再生しましたが、周りは三年経った今も再生していません。
予防 - 気を付けてあげたいこと
膿皮症は入浴後やプールの後などに毛の中に湿気がたまり続けていると、発症しやすいようです。
予防としては、私がやっていることは
・薬用シャンプーを使う。
・ひば水で保湿と清潔を保つ。
ひば水と言うのは、ヒバという木から抽出した油を水に溶かしたものです。
抗菌作用や、虫よけの効果もあるようなので、夏にも大活躍です。
ひば水は、お水と消毒用エタノール、そしてひば油があれば作ることができます。
お水:消毒用エタノール(4:1)に、お好みの量、ひば油を入れます。
膿皮症とアレルギーをもっと知るために
膿皮症の概要
膿皮症
細菌感染による皮膚の化膿性病変を膿皮症といいます。皮膚のバリア機構の破壊や免疫力の低下などが引き金となりどうぶつの皮膚で細菌が繁殖して、症状が発症します。
全身の皮膚で起こりますが、脇、顔、内股、指間などでの発症が多く、湿疹、赤み、かゆみ、脱毛、フケなどの皮膚病変がみられます。このときに、ワンちゃんが患部をなめたり引っかくことで状態が悪化する恐れもあります。さらに、重症になると、膿瘍、発熱、痛みなどを起こすこともあります。特に湿気の多い夏の時期で発症が多くみられます。
(以上、抜粋)
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膿皮症の解説記事 - 表在性膿皮症
膿皮症の原因と治療について、概要的に解説した記事です。
詳しい医療記事を読む前に、予備知識をえるために最適な記事です。
『表在性膿皮症』
一般には膿皮症と広い意味で言われますが、深在性と区別されます。
湿気の多い時期には発症が増えます。
皮膚病と軽視されがちですが、重症化することがあるので注意が必要です。
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アレルギーの診察記
軽度の膿皮症の記事です。
獣医師のハナちゃんママが書いた、愛犬ハナちゃんの診察記です。
アトピーと具体的なアレルギー検査を解説した記事です。
こちれも獣医師のハナちゃんママが書いた、愛犬ハナちゃんのアレルギー検査の記録です。
膿皮症の獣医師選びに役立ててください
ペットの病気を治してくれるのが獣医師。
しかし獣医師にも得意な分野があり、また治療技術も医療知識もまちまちです。
獣医師を選ぶのは飼い主なのです。
獣医師にも人間の医師と同じように、名医とヤブ医者がいます。
名医を探し当てるのは、飼い主さんです。勘に頼るのではなく、ノウハウで良い獣医師を探しましょう。
臨床現場にいる医療関係者が語った、獣医師選びのコツです。
実際のところ、ひどい獣医師もいるのです。現場の声は貴重です。
まとめ
膿皮症は一度かかると、またなりやすいので、毎日のチェックがとても大事になってきます。Mackも今もたまに、小さな患部ができますが、ヒバ油とアイプクリーム(通販で購入可能)というお薬で大きくせずに治しています。
そして――、それを三年間続けています。
もしも膿皮症かもしれない?!と思ったら、はじめはお医者さんに診てもらってくださいね。
膿皮症は決して侮れない、恐ろしい病気です。
――突然発症した皮膚病・おしまい――
文:奥村 來未
▶ 作者の一言
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