ピーチーの闘病記:別れとペットロス
ここからは、3回に渡って、ピーチーが旅立った後のブログを掲載したいと思います。
ピーチーが去った後の感覚は、よく言われているような喪失感とは、少し違ったように思いました。心にぽかんと穴の空いた感触なのですが、そこには悲壮感はなく、ただ空いた穴を眺めているような感じです。
悲しいよりも、寂しいという思いです。
恐らく、これまでに何度も危険な状態に陥り、そこから戻って来ているので、飼い主側の気持ちもそれに応じて変化していたのでしょう。
普通の”悲しい”を、一気に飛び越してしまったのかもしれませんね。
愛犬を亡くした方がよく陥るペットロス。
自分にもそれが訪れるのだろうか?
そんなことを、まるで人ごとのように思っていました。
当時のブログより - 別れの翌日
ピーチーのいない一夜が明けました。
リビングにあるお棺の中に手を入れると、そこには慣れ親しんだピーチーの肌ざわりがあるのですが、体温だけがありません。
ピーチーにあのように見事な最期を見せつけられると、悲しんでばかりいたらピーチーに申し訳ないと思います。しかしながら、喪失感は大きく、すぐには埋まらないだろうなあとも思います。
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沢山の方から、暖かいお悔みのコメントやメッセージをいただいていますが、まだご返事ができないままでいます。
ひとつひとつ何度も読ませていただきました。
心にしみます。大変にありがたく、感謝をしています。
でも、なんとなく返事が返せないというのが正直なところです。
もう少し、気持ちを落ち着けてご返事したく思っていますので、しばしのご容赦をいただきたく思います。
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皆さんのブログを読みに行くことも、まだ出来ないでいます。
こちらも、併せてご容赦ください。
ピーチーの生きた証である、このブログは残すつもりです。
しばらくは、ピーチーを失ってしまった心境を、綴っていくことになるでしょう。
その後のブログをどうするのかは、まだ決めていません。
置き去りにし、放置することはしたくはありませんが、昔を振り返ってメソメソするような内容も、ピーチーが望まないと思います。
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僕も奥さんも、昨日ピーチーを看取ったあとは、仕事に復帰しました。
今は、普通の生活をしようと心がけています。
今日の午前中には、ピーチーを荼毘にふします。
そこで本当に、ピーチーと最後のお別れです。
ピーチーの亡骸の写真は、撮っていません。
生きようとしたピーチー以外の写真は、残したくないからです。
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そういえば昨日は、ピーチーと家族の写真を撮った後で、ピーチーが大好きだった自転車とも写真を撮りました。
親友の工業デザイナー吉松君のデザインした、タルタルーガというブランドの、オレンジ色の自転車です。
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吉松君の自転車
お前はこれが、大好きだったよな
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ピーチーは、この折りたたみ式の自転車を組み立てようとするだけで、大興奮しました。そしてピーチーは、自転車を犬ぞりのように引っ張って、どこまででも駆けて行きました。
最後に走ったのはいつだったかな?
具合がよくなって、ピーチーが走れるようになったら、この吉松君の自転車で、風を切って散歩をするつもりでした。
――うちの子が旅立ってからのこと(1/3)つづく――
文:高栖匡躬
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――次話――
2年前のこの日、ピーチーを荼毘にふしました。
わが家にはピーチーがやってきた時のダンボール箱が、大切に取ってあります。
小さな小さなその箱に入って、うちにやってきたアイパンチの女の子が、ちょっと大きな、立派な桐の箱に入ってうちから出て行きました。
――前話|前章の最終話です――
この日――
ピーチーは旅立ちました。
今でも思うのです。
ピーチーは、うちに来るために、生まれてきた子だったのだと。
何にも知らない子犬。
両手に少し余るくらいの、アイパンチの小さな女の子。
その子は、ダンボールに入って、うちにやってきました。
一生を駆け抜けていったピーチー
ピーチーは、喜びを運んできた子。
今も、その喜びは続いています。
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――この連載のはじまりです――
はじまりは、ほんの小さな予兆でした。
体の震え。ときどき息が粗い。食欲不振。
ピーチーは大病を大きくは2度経験してから、体調が悪いときがたまにありました。既往症もありました。
またかな? と思ったのが始まりでした。
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ようこそペットロス
ペットロスに悩む方は多いでようです。
誰もが経験することですが、”別れ”をどう捉えるかで、それは重かったり、軽かったりするように思います。
ペットロスは、必要以上に嫌うこともないように思います。
そんなコラムやエッセイをまとめました。
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看取りの視点
第1話|飼い主に委ねられる選択
犬を飼い始めた時、別れの時は遥か未来の話でした。
しかし、あっという間に楽しい時間は過ぎて、その時が――
子犬でうちに来たのは、つい昨日のことのよう。
愛犬を看取ってみて思うのは、看取りは良い思い出だったということ。
視点を変えれば、つらい思いって、無いんじゃないかな?
そんなことを考えた記事です。