犬にだって受動喫煙と3次喫煙の被害はある
長年タバコを吸っている|タバコはやめられないなあ|家には犬もいる|犬は可愛いなあ、犬もやめられないなあ|タバコは台所やベランダで吸うから、犬には影響ないと思うよ
今すぐ禁煙したとしても効果はあるのか?
これまで2回連載した、犬の受動喫煙の記事に関しては、予想以上に反響をただいて驚きました。皆さん、気になさっていたんですね。
そんな中で、ちょっと気になる質問を受けました。
既に喫煙をしていて、これから禁煙をしたとして、ご自分の愛犬の病気のリスクは改善されるかどうかという内容です。
本当は記事は2回で終わる予定だったのですが、質問の内容に即して、本話を追加したいと思います。
床、壁、カーテン、カーペットに残るタールとニコチン
確かに、禁煙をすれば、これまで以上にリスクが高まることはないでしょう。
しかしリスクが消えるかどうかについては、何とも言えません。
まず、3次喫煙ということでいうと、床や壁は丁寧に拭き掃除をすれば、タールやニコチンの付着は減っていくと思われます。カーテンはあまり舐めることはないでしょうから、洗濯をすれば良いでしょう。
カーペットは繊維に入り込んだ有害物質を取り除くのは難しいてしょうから、買い替えるのが一番良いと思います。
※タール、ニコチンそのものは、有害物質ではないと言う説もありますが、主旨と異なりますので、ここではその議論は避けたいと思います。
既に体に取り込まれたタールとニコチン
問題は、体の中に取り込まれて、蓄積された有害物質です。
幸いにもタールやニコチンは、水銀や鉛のような重金属と違い、代謝されていきますので、長い時間のうちには体から消えるはずです。
目安になる指標は、人間が禁煙をした場合のリスク軽減のデータ。
これがある程度、参考になると思います。
禁煙時間 | 体内で起きること |
1分禁煙すると | タバコのダメージから回復しようとする機能が働き始める。 |
20分で | 血圧は正常近くまで下降する。 脈拍も正常付近に復帰する。 手の体温が正常にまで上昇する。 |
8時間で | 血中の一酸化炭素レベルが正常域に戻り、血中酸素分圧が正常になって運動能力が改善する。 |
24時間で | 心臓発作の確率が下がる。 |
48時間で | 臭いと味の感覚が復活し始める。 |
48~72時間で | ニコチンが体から完全に抜ける。 |
72時間で | 気管支の収縮が取れ、呼吸が楽になる肺活量が増加し始める。 |
2週~3週で | 体循環が改善する。歩行が楽になる。 肺活量は30%回復する。 |
1~9ヶ月で | 咳、静脈鬱血、全身倦怠、呼吸速迫が改善する。 |
5年で | 肺ガンになる確率が半分に減る。 |
10年で | 前癌状態の細胞が修復される。口腔癌、咽頭癌、食道癌、膀胱癌、腎癌、膵臓癌になる確率が減少する |
→→スマトフォンではスライドしてご覧ください。
出典:インターネット 禁煙 マラソン
(本記事の大元の出典は、American Lung Associationとの事です。探しましたが、発見できませんでした)
この表を見ると、人間の場合は癌という1点でみれば、10年でリスクは喫煙前の状態に戻ることになります。
乱暴な推測とドッグイヤー
ここから先は、筆者のちょっと乱暴な推測です。
それを前提にお読みいただけると、ありがたいです。
(もしも誤りだという資料や情報をお持ちであれば、ぜひお知らせください)
ドッグイヤーという言葉がありますが、犬は人間と較べてあらゆるものが早回しです。病気の進行も、回復もそうです。
有害物質の代謝もそうだと仮定すると、犬の加齢速度(1年で何年分の人間年齢を重ねるか)から推定できるはずです。
参考記事はこちらです ↓
シニア犬向けの年齢換算表もあるのです ~犬の年齢を人間に換算してみたら(2/2)~ - 犬を飼うということ
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上記記事の年齢換算表を見ると、6歳以降の犬の加齢速度(人間年齢に換算)が、小型犬が4歳、中型犬が5歳、大型犬が6歳、超大型犬が7歳となっています。
ドッグイヤーに代謝速度が順ずるという、希望的な観測の元での推測ですが、人間の体から喫煙前の状態に戻る10年を犬に換算してみると、大体2.5年、2年、1.6年、1.3年で、犬の喫煙リスクはなくなる訳です。
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ただしこれは1次喫煙のリスクで、2次喫煙と3次喫煙の方がリスクが上回るので、多めに考えておいた方が良いでしょう。また小型犬ほど影響が大きいこともあるので、それも考慮すべきです。
小型犬が4年、中型犬が3年、大型犬が2.5年、超大型犬が2年くらいと考えておけばどうだろうかと思います。
何度も繰り返して恐縮ですが、これは科学的データの無い中での、筆者の推測です。
しかし、ここは重要
禁煙によって、リスクは喫煙前に戻ることは確かなようです。しかしながら、病気を発症してしまった場合は、もう体は元に戻る事はないそうです。
例えば、心疾患、肝不全、癌などを考えると、確かにそうですね。
禁煙をするなら、発病、発症をする前に!
調べてみて気になったこと - 循環器はどうなのか?
因みに、犬の受動喫煙関連の記事を読んでいて、気になった事を1つ追記します。
2次喫煙よりも3次喫煙の方が危険と警鐘を鳴らしている割には、なぜか受動喫煙の警告記事には2次喫煙が前提になったものがほとんどです。
3次喫煙の方が危険ということであれば、肺から取り込まれる有害成分よりも、経口や皮膚からの摂取が問題になるでしょうから、肺がんなどの呼吸器よりも、直接有害物質が蓄積するであろう、肝臓や胆嚢などの代謝系や、心臓などの循環器の方が問題じゃないかと思うのです。
しかしこれらは、専門家の調査を待つ以外にありません。
結論 - やるなら早めに
で、本記事の結論はこうです。
① 既に喫煙していたとしても、禁煙で愛犬の健康は取り戻すことはできる。
② どうせ禁煙するならば、発病、発症する前に!
注:どの程度でダメージをリカバーできるかは、今後の調査を待つしかない。
(追記)
IQOSの場合はどうだろうかとも思ったのですが、第三者機関による調査はまだほとんど無いそうです。受動喫煙の危険性が最初に発表されたのが1960年代の後半で、それが公式に認知されたのが2000年代。登場したばかりのIQOSで結論がでるのは、まだまだ先のようです。
何れにしても、早めの禁煙をオススメします。
愛犬のために――、そしてあなた自身のために。
――禁煙のススメ(3/3)・おわり――
文:高栖匡躬
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――前話――
犬の受動喫煙の危険性を、データで追いかけました。
海外では、研究が進んでいるようです。
(肺がんのリスク)
人間は1.3倍
犬は1.6倍
(特徴)
体が小さいほど影響が。
(そして)
3次喫煙の話は飼い主にとって、これまでの喫煙の常識が変わるかも。
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――この連載の1話目です――
犬の受動喫煙は、人間よりずっと危険らしいです。
知ってました?
ひょんな事から調べ始めました――
読んだ資料の中には、6倍危険という記述も。
本当かな?
危険という意味では、どうやら本当に危険らしいのですが、
でも、どうやってそんな数字が出るの?
概要編です。
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犬の健康に関する記事です
疑問だらけのドッグフード|4話連載
ネット上にはドッグフードの記事が沢山ありますね。
穀物は有害? 野菜は有害? 本当に?
全部真に受けたら、食べるものが無くなるんだけど。
記事が推薦するフードは、愛犬に良いものなの?
ドッグフードの常識、疑ってみよう|3話連載
ネット情報が伝えるフードの情報は、落ち着いて考えると矛盾だらけ。
一体何が正しいのか分からないですね。
常識として語られていることを、一つ一つ疑問点として取り上げてみようと思います。