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【飼えるかな?】運命の電話は突然に ~ピーチーがうちにくるまで(2/3)~【アイパンチの女の子】

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うちの子がうちにくるまで|No.20 - 2 アイアンチの可愛い女の子

撮影&文|高栖 匡躬
  
今日のお話は

ピーチーがうちに来る時のお話、2話目です。
マンションがペット可だと気がづいて、筆者たちがすぐにペットショップに走ったかと言うと、そうではありません。

皆さんもそうだと思いますが、犬と暮らすには、結構大きな決断が必要です。やはり10年以上、その子の命を預かるのですからね。

こんな方へ: 

ブルテリアってどんな犬?|闘犬だったらしいけど、凶暴なの?|飼いにくい犬種と聞いているけれど実際はどうなの?

 

 飼えると分かっても、決断はそう簡単ではない

「飼いたいな、でも無理かな?」
そんな繰り返しをしばらく続けた後、筆者と奥さんは、一度ペットショップに行って話を聞いてみる事にしました。選んだのは、横浜周辺では割と老舗で、しっかりしていそうな店です。

当時は悪徳ブリーダーの噂をよく聞いた時期でもあり、古くから続いている店ならば、そんな悪徳業者とは付き合っていないだろうと考えました。
 

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「あのー、ブルテリアを飼いたいのですが」
それが、お店を訪れた時の筆者の第一声です。
「難しいですよ」
店員さんは、即座にそう答えました。難しいというのは、”飼うのが難しい”という意味です。

当時のブルテリア事情というのは、今とは随分違います。何しろ18年も前ですからね。当時のブルテリアの評価は、『飼いにくい』、『素人には難しい』というのが一般的でした。ブルテリアという犬は、 よほどの物好きが飼う犬種だったのです。

犬は2歳か3歳でもう子供を産みますから、ピーチーがうちに来た19年の前からするともう5~6世代くらいが経過、つまり品種改良をしていることになります。最近会うブルテリアたちは、ピーチーの頃とは随分と違いますね。大人しくなったし、小さい子が多くなりました。

当時のブルテリア事情は、こちらの記事に書きました。

ブルテリアの変遷は、他の犬種の変遷にも通じるものです。
読んでみると、きっと面白いと思います。

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ペットショップでは、色々と厳しい事を言われましたが、筆者は昔からブルテリアが好きで、いつか犬を飼うならば、絶対にブルテリアと決めていました。ですから、犬種についての迷いはありませんでした。問題は、飼うか飼わないかという事だけです。

「すぐに手に入るのですか?」
と、店員さんに訊ねると、「希少犬種なので、すぐには無理です。大体3か月待ちです」との返事でした。

「ほかに希望はありますか?」
と、訊かれたので、「アイパンチの男の子」と答えました。アイパンチというのは、目の周りにパンチを受けたあざのように、黒いブチがあることを言います。ブルテリアの場合は、片目にだけブチがある方がそれっぽくて人気です。

筆者にとっては、ブルテリアはアイパンチが絶対でした。80年代にバドワイザーのイメージキャラだった、『スパッズ・マッケンジー』のイメージが強烈だったからです。

ズパッズ・マッケンジーの当時のポスターとバーライト(共にビンテージ)を参考までに掲載しておきます。この風体に一目ぼれしたのです。

 

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当時筆者は、”男の子”と言う事にもこだわりがありました。あの独特の顔は、どう考えても女の子は似合わないと思っていたからです。加えてもう一つ。筆者は子供の頃に3度犬を飼ったことがあるのですが、それはどれも男の子でした。だから女の子の犬というのが、どうしてもピンとこなかったのです。

「アイパンチの子は、3か月では無理ですよ」
店員さんはそう言いました。アイパンチの子は30頭に1頭の割合でしか生まれないそうで、どんなに短くても1年待ちだなのだそうです。しかも男の子だと限定されると、もっと掛かるかもしれないとの事。

そこで筆者の奥さんが、素晴らしい提案をしてくれました。
「予約しちゃえば?」と、言うのです。

要するに予約をしても、実際にうちに来るのは1年後。その間に覚悟を決めれば良いということです。そしてそれは、待機している1年の間に覚悟が決まらなければ、予約をキャンセルすれば良い、という意味でもあります。

正に日本人特有の、玉虫色の課題先送りです。筆者は一も二も無くその提案に乗りました。

 

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しかし――
運命の歯車が動いたのは、それから僅か1ヶ月後でした。

仕事から帰った筆者は、留守番電話が入っていることに気が付きました。
点滅しているボタンを押すと、『ピッ』という電子音に続いて、聞き慣れない女性の声が流れてきました。

『ペットショップの〇〇〇です。今日、ご希望のブルテリアちゃんがお店に来ました。アイパンチの可愛~~い、女の子です』

驚きました。想定外です。1年先と思っていた決断を、僅か1ヶ月後に迫られることになったのです。しかもその子は”女の子”。

翌日ペットショップに電話を掛けてみると、『ご希望通りの男の子ではないので、お引き取りになるかどうかはお客様の自由です』との事。
『とにかく、一度会いにこられたら如何ですか?』と言われ、「次の土曜日に行ってみます」返事をしました。

それからというもの僕の頭の中では、留守電に入っていた『アイパンチの可愛~~い、女の子です』という声が、何度もリフレインしていました。

 

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上の写真はペットショップに行った際、ピーチーの入れられている籠に付いていた、ポラロイド写真です。実は写真下部の中央にある空白は、(小声で)お値段……

そう、これはピーチーの値札なのです。ちょっと生々しいので、ピーチーがうちに来てから、すぐに消しゴムで消してしまいました。ポラロイド写真というのが、時代を感じさせます。
 
一番下の『アイパンチ!』の一言が素敵です。
今でもこれを見ると、笑顔がこぼれてしまいます。

 

――ピーチーがうちに子になったのは(2/3)・つづく――

~うちの子がうちにくるまで No.20-2~
犬の名前:ピーチー
犬種:ミニチュア・ブルテリア
飼主:高栖匡躬 ・ピーチーパパ

うちの子がうちにくるまで|No.20 - 2
犬の名前:ピーチー
犬種:ミニチュア・ブルテリア
飼主:高栖匡躬 ・ピーチーパパ
 ▶プロフィール
 ▶ 作者の一言
 ▶ 高栖 匡躬:犬の記事 ご紹介
 ▶ 高栖 匡躬:猫の記事 ご紹介
 
うちの子がうちにくるまで、とは
愛犬を家に迎えるまでの葛藤を、飼い主自身が、自分の言葉で綴ったエッセイです。
こんな効果もあります:愛犬、愛猫を今すぐ100倍可愛くできる、最も簡単な方法
 
犬や猫と暮らすあなたへ

『うちで飼えるかな?』
『きちんと面倒を見られるかな?』

犬や猫を、”はじめて”飼う時、ほとんどの方はこう思ったことでしょう。
平均年齢でいえば、15年も生きる小さな命を預かるのだから当然ですね。
我々はそこで大きな決心をし、葛藤を乗り越えたからこそ、今、犬や猫と暮らしています。

どうかその思いを、忘れないでください。
その時の思いがあれば、我々はどんな時でも犬や猫と暮らしていけます。

【飼えるかなより

――うちの子がうちにくるまで・次話――

ペットショップからの電話で、予約していたアイパンチのブルテリアがお店に来たことを知った筆者。あまりにも突然で、心の準備がまるでありませんでした。

――うちの子がうちにくるまで・前話――

偶然に手に入れたマンション。引っ越してからわかったのですが、なんとそのマンションは、当時にしては珍しい、ペット可の物件だったのです。

まとめ読み|うちの子がうちにくるまで(犬)⑤
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。

www.withdog.site

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――うちの子がうちにくるまで、第1話です――

昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。

 犬と暮らすのは、簡単でいて難しい

ホームセンターで売れ残っていたゴールデンレトリバーと、その犬を迎え入れた家族のお話です。犬を飼うのは楽しいことばかりではなきて、苦しいことも沢山ある。
それでも我々は犬を飼いたくなる。犬は不思議な生き物です。

 

 

 

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