犬を飼うということ

いつまでも君と……

運命の電話は突然に ~ピーチーがうちの子になったのは(2/3)~

f:id:masami_takasu:20171103112624j:plain撮影&文:高栖匡躬

~うちの子がうちにくるまで No.20-2~

”うちの子がうちにくるまで”とは
愛犬を家に迎えるまでの葛藤を、飼い主自身が、自分の言葉で綴ったエッセイのシリーズです。

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ピーチーがうちに来る話の続きです。
マンションがペット可だと気がづいて、僕達がすぐにペットショップに走ったかと言うと、そうではありません。

皆さんもそうだと思いますが、犬と暮らすには、結構大きな決断が必要です。やはり10年以上、その子の命を預かるのですからね。

「飼いたいな、でも無理かな?」
そんな繰り返しをしばらく続けた後、僕と奥さんは、一度ペットショップに行って話を聞いてみる事にしました。選んだのは、横浜周辺では割と老舗で、しっかりしていそうな店です。

当時は悪徳ブリーダーの噂をよく聞いた時期でもあり、古くから続いている店ならば、そんな悪徳業者とは付き合っていないだろうと考えました。
 

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「あのー、ブルテリアを飼いたいのですが」
それが、お店を訪れた時の、僕の第一声です。
「難しいですよ」
店員さんは、即座にそう答えました。

当時のブルテリア事情というのは、今とは随分違います。何しろ15年以上も前ですからね。当時のブルテリアの評価は、『飼いにくい』、『素人には難しい』というのが一般的でした。ブルテリアという犬は、 よほどの物好きが飼う犬種だったんです。

犬は2歳か3歳でもう子供を産みますから、15年の間にはもう5~6世代くらい経過、つまり品種改良をしている訳です。最近会うブルテリアたちは、その頃の子たちとは随分と違いますね。大人しくなったし、小さい子が多くなりました。

15年前のブルテリア事情については、また別の記事に書くつもりなのでお楽しみに。ブルテリアの変遷は、他の犬種の変遷にも通じるものです。きっと面白いと思いますよ。

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ペットショップでは、色々と厳しい事を言われましたが、僕は昔からブルテリアが好きで、いつか犬を飼うならば、絶対にブルテリアと決めていました。だから、犬種についての迷いはありませんでした。問題は、飼うか飼わないかという事だけです。

「すぐに手に入るのですか?」
と、訊ねると、「希少犬種なので、すぐには無理です。大体3か月待ちです」との事でした。

「ほかに希望はありますか?」
と、訊かれたので、「アイパンチの男の子」と答えました。

僕にとっては、ブルテリアはアイパンチが絶対でした。80年代にバドワイザーのイメージキャラだった、『スパッズ・マッケンジー』のイメージが強烈だったからです。

ズパッズ・マッケンジーの当時のポスターとバーライト(共にビンテージ)を参考までに掲載しておきます。この風体に一目ぼれしたのです。

 

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当時僕は、”男の子”と言う事にもこだわりがありました。あの独特の顔は、どう考えても女の子は似合わないと思っていたからです。加えてもう一つ言えば、僕は子供の頃に3度犬を飼ったのですが、それはどれも男の子。女の子の犬というのがどうしてもピンときませんでした。

「アイパンチの子は、3か月では無理ですよ」
店員さんはそう言いました。アイパンチの子は30頭に1頭の割合なので、どんなに短くても1年待ちだなのだそうです。しかも男の子だと限定されると、もっと掛かるかもしれないとの事。

そこで僕の奥さんが、素晴らしい提案をしてくれました。
「予約しちゃえば?」と、言うのです。

要するに予約をしても、実際にうちに来るのは1年後。その間に覚悟を決めれば良いということです。そしてそれは、それまでの間に悩んで、覚悟が決まらなければ予約をキャンセルすれば良い、という事も意味しています。

正に日本人特有の、玉虫色の課題先送りです。僕は一も二も無くその提案に乗りました。

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しかし――
運命の歯車が動いたのは、それから僅か1ヶ月後でした。

仕事から帰った僕が、留守電を聞くと、聞き慣れない女性の声が入っていました。
『ペットショップの〇〇〇です。今日、ご希望のブルテリアちゃんがお店に来ました。アイパンチの可愛~~い、女の子です』

驚きました。想定外です。1年先と思っていた決断を、それから僅か1ヶ月後に迫られることになったのです。しかもその子は”女の子”。
翌日ペットショップに電話を掛けてみると、『ご希望通りの男の子ではないので、お引き取りになるかどうかはお客様の自由です』との事。
『とにかく、一度会いにこられたら如何ですか?』と言われ、早速次の土曜日に行ってみると返事をしました。

それからというもの僕の頭の中では、留守電に入っていた『アイパンチの可愛~~い、女の子です』という声が、何度もリフレインしていました。

 

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上の写真はペットショップに行った際、ピーチーの入れられている籠に付いていた、ポラロイド写真です。実は写真下部の中央にある空白は、(小声で)お値段……

そう、これはピーチーの値札なのです。ちょっと生々しいので、ピーチーがうちに来てから、すぐに消しゴムで消してしまいました。ポラロイド写真というのが、時代を感じさせます。
 
一番下の『アイパンチ!』の一言が素敵です。
今でもこれを見ると、笑顔がこぼれてしまいます。

 

――ピーチーがうちに子になったのは(2/3)・つづく――

~うちの子がうちにくるまで No.20-2~
犬の名前:ピーチー
犬種:ミニチュア・ブルテリア
飼主:高栖匡躬 ・ピーチーパパ

――うちの子がうちにくるまで・次話――

――うちの子がうちにくるまで・前話――

――うちの子がうちにくるまで、第1話です――

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