犬を飼うということ

いつまでも君と……

[ただであげます]と貼り紙をされた犬 ~『ちょび』がうちの子になったのは~

f:id:masami_takasu:20180616203059j:plain撮影&文:Chobi

~うちの子がうちにくるまで No.21~

”うちの子がうちにくるまで”とは
愛犬を家に迎えるまでの葛藤を、飼い主自身が、自分の言葉で綴ったエッセイのシリーズです。

昔の話です。

1月28日に、私は可愛がっていた猫、『おいで』を亡くしました。
本当に突然のことでした。
→『おいで』の話はこちらに

『おいで』の供養をしたのは、その翌日。
私は帰り道で、ペットショップに寄りました。
『おいで』のいない家には、まっすぐ帰りたくなかったからです。

 

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そのペットショップの外には、ゲージが積み上げられていて、真冬なのにどのゲージにも雑種の子犬がいました。

ふと見ると、[ただであげます]という貼り紙があります。

ケージの1つを覗いてみると、そこには白いコロコロの子犬がいました。その子は私に向かって「出して~」っと、ちぎれんばかりに尻尾を振りました。
すぐに家族が見つかりそうなほど、愛嬌たっぷりの可愛い子でした。

同じゲージの隅っこにはもう一頭、茶色の毛の長い子がうずくまっていました。
白い子の後ろで踏まれそうになりながら、身動きもせず、鳴きもせずに――
その子は、寂しそうな目で私を見つめていました。

――ビビビ――

昔、歌手が『ビビビっときた』と言って、ビビビ婚が流行語になりましたよね。
まさにそれでした――
亡くなった猫『おいで』の面影を探してペットショップによったのに、私はその茶色の子犬に、ビビビっとしてしまったのです。

 

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私は猫が亡くなった翌日に、犬を家族に迎えることになりました。
その子が『ちょび』です。

今思えば、あの時寒風の中に積み上げられたゲージには、敷物も入っていませんでした。10頭くらいは子犬がいたと思います。
「夜は店の中に入れてたのかしら?」
「あの可愛い白い子犬は、優しい家族に巡り会えたかしら?」
今頃になって、そんな心配をするのですが、当時の私はそれを見ても、それほど心を痛めることはありませんでした。

――無知だったからでしょうか?
――思いやりがなかったからでしょうか?
――鈍感だったからでしょうか?
――無関心だったからでしょうか?

でも何故だかそんな私が、『ちょび』には心を魅かれたのでした。

私はその日のうちに、[ただであげます]の貼り紙をされた『ちょび』を連れて帰りました。リードと首輪、ドッグフードだけ買って。

 

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『ちょび』は5ヵ月位になっていて、体重は7kgはありました。
どちらかと言えば大人しい子犬でしたが、やはりクンクン鳴いたり子犬らしくバタバタ走ります。

――困りました。

私の家は賃貸住宅の2階だったのです。猫なら隠れて飼っている人もいましたが、さすがに犬がいれば、近所から苦情があります。
嬉しくて走り回る『ちょび』をどうすることもできずに、洗濯カゴの中で伏せたこともあります。

誰もいない家に『ちょび』だけ留守番させることも出来ません。

夫も私も仕事の日は職場の駐車場の車の中で仕事が終わるまで待たせました。新聞紙や敷物をした車の中はすぐに汚物まみれになりました。

冬でよかったと思います。
当時は必死でしたが、今思えばひどい話です。本当に可哀想なことをしました。

 

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「やっぱり犬を飼うのは無理だ」
1週間過ぎた頃に、私はそう思いはじめました。そして『ちょび』を、ペットショップへ返しに行くことも考えました。

子供の頃、母に内緒で、捨て猫を廃車の中で飼っていたことがあります。
それから私は成長していなかったのですね。

私には動物を家族にすることの心構えも、準備も出来ていなかったのです。

『ちょび』はそんな私を信じて、すがりつくような眼で見つめます。

――どうする?

そして私は、決心をするのです。
「家を買おう!」と――

 

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当時はバブルが弾けた直後で、20代の私が犬と暮らせる家を買うのは大変でした。
それでも5月のころには、無事に引っ越しができました。

『おいで』がいなくなり、『ちょび』がやってきて、私の環境はアレヨ、アレヨという間に変わりました。遊びに行ったり、旅行へ行くこともなくなりましたが、夫と可愛い犬と一戸建ての家で、夢のような暮らしです。

寒空のケージにいた犬――
[ただであげます]と張り紙をされたその犬は、わが家で『ちょび』になり、やっとおちつける暖かい家と、家族を見つけたのです。

 

――『ちょび』がうちの子になったのは・おわり――

~うちの子がうちにくるまで No.21~
犬の名前:ちょび
犬種:雑種
飼主:Chobi
ブログ:花と太郎

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