うちの子がうちにくるまで|No.22
本話の主人公(飼い主さんになるゆうすけパパ)が、仕事で朝、市役所を訪れると、そこには人だかりがありました。何事かと覗き込むと、そこには可愛い犬が一匹。
「捨て犬なんです」
と言われたその可愛い犬は、昼休みにはもう保健所に連れていかれていました。
「飼い主探します!」
と思わず言ってしまった主人公。
このときはまだ、誰かに引き取ってもらうつもりだったのです。
出張先でたまたま遭遇した人だかり
ゆうすけと出会ったのは、2006年11月21日のこと。
出張先の市役所での出来事でした。
いつもは市役所の裏の駐車場に駐車して、裏口から出入りをしていたのですが、その日はたまたまそこが満車で、別の駐車場に車をとめて、表の入口に回ったのです。
するとそこには人だかりが――
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「何ごと?」
と覗きこむと、そこには何と、可愛いコーギーが一匹。
「すごい、人に懐いてますねー。どうしたんですか?」
頭をなでながら聞くと、
「捨て犬なんです」
と、悲しい答え。その人懐っこい犬は、何と血統書を付けて連れて来られていたのです。
なんとも言えない気持ちになりました。おかげで午前中は、仕事が手につきません。
そして、ようやく昼休み。
もちろんすぐに、そこに行ってみました。
飼い主探します
――いない!
「犬は?」と聞くと、
「保健所に」との答え。
「飼い主探します!」
と思わず言ってしまいました。「あれだけ、人に懐く犬なら、きっといい人に巡り合えます!」
《よせばいいのに》は、心の声。
とにかく保健所に連絡して、とりあえず引き取ることに。
確かにその犬はすごく利口で、「待て」も「おすわり」もできるんです。
とりあえず、職場、友人、全てのツテを探して、飼い主を探しました。
しかし、さすがに1日では貰い手は見つかりません。
で、そのコーギーはと言うと――
その晩は、自分の隣の部屋に――
《なんか、このまま飼ってしまいそう》というのも、心の声。
犬を飼うため引っ越し
――4日後の11月25日――
その犬を飼うために、引っ越しを決意した自分がいました。
名前は『ゆうすけ』です。
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――その一週間後――
ゆうすけの散歩。散歩コースを終わって、家に帰ろうとしても、伏せのかっこで嫌々をして帰ろうとしません。
仕事もあるので、だっこして強制連行。
すっかり、散歩させられています。
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――そのまた一週間後――
毎朝、ゆうすけの散歩をするようになって一週間近く。
すっかり朝型人間になりました。
7時前に起きて実感するのは、寒さが増してきたこと。
いやあ、ここ数日でグッと寒さが厳しくなってきました。
土日にまで、こんな時間に起きて……
けど、携帯の目覚ましに反応するユースケを見ると、行ってやらねばと使命感に駆られるわけで。
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そんでもって一時間近く散歩。
今日も帰宅拒否なので、1階から3階まで抱っこ。
腕力も鍛えられます(苦笑)
ゆうすけと出会ったのは、実はゆうすけが2歳になる一週間前のことでした。
(捨て犬なのに血統書があるので、誕生日が分かるのですよ)
まあ、ゆうすけにとっては、神様からの2歳のお誕生日プレゼントが、私という飼い主だったということです。
人が裏切っちゃいけない
実を言いますと、ゆうすけはうちに来てから一週間、一言も吠えませんでした。
「声帯除去の手術をされてるんだろうか?」
家族では、そんな話をしていたくらいです。
しかし、ウチに慣れてくると、おかんの携帯がなったらワンワン、
私の朝が遅かったらワンワン。
元気によく吠える子でした。ご近所さんごめんなさい。(苦笑)
今にして思えば、捨てられたショックが大きくて声が出せなかったんじゃないかな?
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ゆうすけを連れてこようと思ったのは、
ゆうすけが、本当に人間のことを信じていたからなんです。
人のことを信じて、人に撫でられておとなしくしているゆうすけを、
人が裏切っちゃいけないだろうと強く思ったのです。
おまえ、良かったな
新しい飼い主を見つてやるつもりでしたが、情が移るのには、一週間もあれば十分でした。
この頃、私はネットゲームしたりして、2時くらいまで起きて、朝は8時前まで寝ていたのですが、引越しからは見事に、朝型人間+1時間の散歩は平気な人間に改造されました。
いやあ、健康的になりたい方、犬を飼うのをお勧めします(苦笑)
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思い起こせば、つい最近のことのよう。
扉の写真は、飼い主募集用に撮った写真。つまり、記念すべき初めての写真です。
ちょっと緊張しているのか、表情が硬いような気もします。
そして、保健所に引き取りに行った時こと――
保健所の職員さんの、「おまえ、良かったな」という、優しい呼びかけが、今も心に残っています。
「こっちこそ、会えてよかったよ」
あれは、まさに運命の出会い。
「ありがとう、そこにいてくれて」
――ゆうすけがうちにくるまで|おしまい――
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――うちの子がうちにくるまで・次話――
最初は大型犬を飼うなんて、考えてもいなかったのに――
勤務先の病院にいた、ニューヨーク帰りの医師の言葉で心が動いて――
ある日、ゴールデンレトリバーがやってきます。
――うちの子がうちにくるまで・前話――
愛猫を亡くした作者。
供養をした翌日、ふらりとペットショップに立ち寄ると、そこには[ただであげます]と張り紙された犬がいました。
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――うちの子がうちにくるまで、第1話です――
昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。
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出典
※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。