うちの子がうちにくるまで|No.23
最初は大型犬なんて、考えてもいなかった作者。
ある日勤務先の病院で、ニューヨーク帰りの医師から、運命の言葉を投げかけられます。
『大型犬には、大型犬にしかない可愛さがあるんだよ』
既に多頭飼いをしている作者。
さて、その大型犬はやって来るのでしょうか?
大型犬を飼ったことがない|大型犬を飼うってどんな感じ?|経験者の体験談を聞きたい
多頭飼いの我が家
我が家は今、猫5匹犬4匹と暮らしています。
最初は1匹の子猫を拾ったのが始まりでした。その子と出会わなければ、我が家はこのような大所帯になることもなかった訳です。動物と人間の関係は不思議なものだと思います。
さて、その可愛い子達の中で、一際体の大きい子がいます。
ゴールデンリトリバーのロン君です。
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最初私は我が家で大型犬を飼うことなど、考えてもいませんでした。
私だけではありません。家族のだれ一人、大型犬を飼いたいと言いだしたことはありませんでした。
それなのに、どうして大型犬のロン君と暮らすことになったのかーー
今日はそのお話をしようと思います。
看護師時代の思い出
今から6年前、私は看護師をしていました。
勤務していたのは、がん治療を専門に行なう呼吸器内科。
手術の出来ない患者さんに、抗がん剤治療を行なうための、特殊性の高い部門でした。
そこには一人、ニューヨークに渡って勉強してきた医師がいました。
名前は仮に、A先生としておきます。
そのA先生こそが、私が大型犬を飼う切っ掛けを作った張本人なのです。
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A先生は大の犬好きでした。
どれくらい犬好きかというと――
A先生がニューヨークに住んでいた頃、知り合いがゴールデンリトリバーを飼っていたらしいのですが、その子があまりにも可愛いので、自分も同じ犬種の、ゴールデンレトリバーを迎えてしまったというのです。
いつか帰国するのが分かっていながら、日本に戻るまで待ちきれなかったのですね。
当然ながらA先生は、その子を連れて日本に帰ってきました。
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A先生と私は同じ犬好き同士で、やたらと馬が合いました。
その内にA先生は、私にこう言うようになりました。
『大型犬には、大型犬にしかない可愛さがあるんだよ』
大型犬なんて私には無理
最初にそれを聞いた時には「大型犬なんて私には無理」と思っていました。
しかし何かにつけて、A先生が大型犬の魅力を熱く語るものですから、段々と私もそれが頭に刷り込まれていきました。
そして私はいつの間にか、「うちにも自分の枕になるような、大きな犬がいてもいいかもしれないな」と考えるようになったのでした。
そう思い始めると、「飼おう!」と決心するまでには、時間は掛かりませんでした。
犬種はA先生と同じ、ゴールデンリトリバーです。
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実はここで、1つドラマがありました。
初め私はブリーダーさんを探したのですが、最近は大型犬が人気が無く、我が家近郊には見つかりませんでした。
子犬をあちこち探して、見つけたのはあるペットショップ。
私はその子を飼うと決めて、そのお店に迎えにきました。
しかしなんとしたことか、私が迎えに行く日の朝に、その子は突然吐血して死んでしまったのです。
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実はそのペットショップには、疑問に思うところがありました。
他の子との社交性を養うのが目的らしいのですが、『ワンニャン保育室』と称して、色々な地方の、複数のブリーダーから来る犬や猫を、駆虫もワクチン接種も行なう前に、同じところで遊ばせていました。
もしかすると、それが原因で病気などが移ってしまったのかもしれません。
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「私には縁がなかったんだな」
そう思うと悲しくなって、私はたくさん泣きました。
しかしドラマは、ここまでで終わりではありませんでした――
ペットショップに行ってみない?
ある日私は夫から、『ペットショップに行ってみない?』と誘われました。
その時の私は、あのゴルの子を迎えられなかった悲しみが癒えておらず、ペットショップという場所に行くことに、気乗りがしませんでした。
結局、夫に押し切られる形で、既にいる3匹の子のおやつを買うために、出かけてみる事にしました。
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夫に連れて行かれたのは、これまで行ったことのないペットショップでした。
「どうしてこんなところに?」
訝る私――
しかし――、そこにいたのです。
生粋のイギリスゴールデンリトリバーの子犬が。
「なんて可愛いの」
そこから先は、もうご想像の通りです。
子犬あるあるのマジック! 天使のような可愛さにやられてしまいました。
そしてその子こそが、うちのロン君というわけです。
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後になって聞いた話なのですが、あまりに落胆している私を見かねて、夫は私に内緒で、ゴールデンの子犬を探してくれていたのだそうです。それもきちんと管理が出来ているペットショップで。
しかも夫は、他の人に先に迎えられないようにと、内金まで入れていたのだとか。
ロン君がうちに来てから
ここからは、うちに来てからのロン君のお話です。
ゴールデンリトリバーを飼っている友人から、
『大型犬は短命だから、病気をしたときに外でしかトイレが出来ないと後々大変だよ』とアドバイスをもらい、とにかく家でもトイレが出来るようにと、躾を頑張りました。ロン君のトイレ用にテラスまで作ったのです。
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でも躾を頑張りすぎたためか、ロン君は家でしかトイレが出来ない子になってしまったんですけどね。
トリミングに連れていって、家に帰るまでトータル6時間かかってしまっても、ロン君は外でトイレをしないでじっと我慢をしているのです。
家に着くとすぐにテラスの、ロン君のトイレ用に一直線です。やれやれ。
ロン君も6歳に
そんなロン君も6歳になりました。
うちの他の犬や猫ともうまくやれる、とても穏やかな子です。
どちらかというと、犬より猫に懐かれていて、新しく家族になったメインクーンのチャー君と大の仲良し。
夫が帰宅する音をちゃんと聞き分けて、チャー君と共にスリッパを咥えてお迎えに出ていきます。
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優しい子なのに、散歩に出ると興奮するのが玉に傷かな。
過去には、私が持つリードを思い切り引っ張るので、そのはずみで転んだ私が、肋骨を怪我したことがありました。
それから相性の悪い犬に会うと、一直線に向かって行こうするのも困りもの。
強い力で引っ張られた私は、なんと神経切断となりました。
今のロン君は――
でも、悪いところはそれくらい。
家の中では私に甘えてベロベロです。
大好きなテレビ番組のコーナー(今日のワンコ)を一緒に観ながら、毎日、今この時を大切に過ごしています。
そうそう、太り過ぎのロン君、最近5キロのダイエットに成功しましたよ。
――ロン君がうちにくるまで・おわり――
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――うちの子がうちにくるまで・次話――
猫の多頭飼いしていた我が家。
そこにはじめて迎え入れた犬が、レイちゃんでした。
レイちゃんは素人繁殖で生まれた子。保健所に持ち込まれる寸前でのことでした。
――うちの子がうちにくるまで・前話――
出張先で、偶然目にした人だかり。
なんとその中心には、血統書付きで捨てられた可愛いコーギーがいたのでした。
「捨て犬なんです」
と言われたその可愛い犬は――
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この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――うちの子がうちにくるまで、第1話です――
昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。
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ゆきねー|他の作品
思わず笑ってしまうほど個性的な猫、ボンちゃん。
そのボンちゃんが、ゆきねーさんのお宅に来た理由もまた個性的。
まずは出会いの話から。
どうやってうちに来たの? ボンちゃんの名前の由来は?
――とても笑えるお話です。
犬猫で最大時11匹。
今や多頭飼いが当たり前のお宅に、最初の1匹としてやってきた子猫、みみ子さんのお話です。
犬猫の飼い方を全く知らない作者。
まずは動物病院に、そして次に本屋に――
何も知らないという割に、何だかやることがてきぱきしていて、妙に安心感。
実は作者は当時、現役の看護師さん。