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【殺処分の寸前で】猫多頭飼いの中に迎えた犬 ~レイちゃんがうちにくるまで~【無責任な素人繁殖の結果】

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うちの子がうちにくるまで|No.24うちの子がうちにくるまで

撮影&文|ゆきねー
  
今日のお話は

猫の多頭飼いをする、あるお宅でのお話です。
そこにはじめて迎え入れた犬が、レイちゃんでした。
素人繁殖で生まれた子。保健所に持ち込まれる寸前でのことでした。
トレーニングされていなかったレイちゃんは、吠えまくり。噛みつきまくりました。
レイちゃんは家族に溶け込めるのでしょうか?

こんな方へ:
ミニチュアシュナウザーってどんな犬?|犬を飼ったことがない|猫の多頭飼いの中に、犬は入れるのか?|経験者の体験談を聞きたい

 猫好きの我が家が犬を迎える

レイちゃんは我が家で初めて迎えた犬です。

それまで我が家にはラグドールや雑種の猫がいましたが、犬を飼う予定はありませんでした。

なぜその予定のなかった犬を迎えたのか?
元々動物好きというのもあるのですが、ある日、どうしてもそうせざるを得ない場面に遭遇してしまったからなのです。

 

 それは動物病院での井戸端会議でのこと

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それは、当時通っていた動物病院での出来事でした。
その動物病院では待合室で待つ間、飼い主さん同士でお話をすることが多かったのですが、たまたまそこで聞き捨てならない話を耳にしてしまいました。

なんと、通院仲間が知っているある女性が、素人繁殖をさせたミニチュアシュナウザーを、保健所に持ち込む寸前とのこと。

事情を聞いたところ、その女性は既婚で子供に恵まれなかった方。
なので愛犬に、子供を産ませたかったようです。
そこまではまあ良いのです。気持ちは分かりますから。
しかし――、そこからが滅茶苦茶です。

その女性はまず、一度に何匹も生まれるとは知らなかったようです。
生まれたのは7匹。
6匹はソルト&ペッパーで、1匹だけが黒でした。
当時、ソルト&ペッパーのミニチュアシュナウザーは人気がありましたが、黒の子は人気薄。その女性は「両親共にソルトなのに、なんで黒が産まれたのかしら?」と首を傾げていたそうです。

そして、あろうことか、その女性は黒の子を保健所で始末してもらうという決断をしたと言うのです。

 

 殺すの?産ませたくせに!

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「え?」
「殺すの?」
「産ませたくせに!」
「なんで売れないからってだけで、保健所なの?」
思わず私は通院仲間に、矢継ぎ早に質問してしまいました。

だって、まさか目の前で、子犬の命を無くす話をされるとは――
しかもそこは動物病院……

「張り紙したりとかで、お願いできないのかしら?」
そう訊ねたところ、既に通院仲間が「譲渡会とかは?」とアドバイスをしていたそうです。そしてその女性の回答は、
「面倒くさいし、どうせ売れないから」
とのこと……

私は家に帰って夫に、「犬飼うから!」と断言しました。
迷っている時間はありません。その子は今日明日にも、保健所に連れ込まれるかもしれないからです。
夫の反応は「次は犬?」でした。「もう猫4匹いるんだよ? 俺散歩いかないからね! 君が行くんだよ。君が決めたんだから」
つまり、OKということです。

通院仲間にはすぐに連絡をして、「まだあの子いるなら、うちで迎えたいのですが」と伝えました。

引き渡しは、我が家と中間にある公園でした。
聞けばその子は、まだワクチンも打っていないのだそうです。
目がクリクリした、とてもかわいい子でした。
「タダでいいわよ」
産ませた方は、まるで捨てる様に言いました。
しかし私は、そんな風に捨てられるのが可哀そうで。今までのお世話料2万円、菓子折りを渡しました。

こうやって迎えたのが、黒のシュナウザーのレイちゃんというわけです。

 

 しつけは大変。でも、可愛いねえ

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私も夫も、犬はこれまで飼った経験がなかったので、しつけは大変でした。
初めの内はトイレを教える為に、ケージに入れたのですが、朝や仕事から帰る時間には排泄物まみれ。
それからレイちゃんは、吠えまくり。噛みつきまくり。
動物好きの我が家が、犬を飼ったことを後悔するほどです。

でもそれは、産ませた人の責任ですね。
産まれてから、何も手を掛けてあげていなかった証拠です。
『うちの子可愛いから、子供を産ませてみたい!』
っていう安易な考えには、私は反対です。
その種が大切にできないなら、素人は繁殖しちゃだめです。

とりあえずレイちゃんはワクチンを打ち、まずはお散歩で排泄出来るようになりました。これで一安心です。
ここまでは、まるでだめな犬みたいな書き方をしましたが、そうではありません。
レイちゃんはそれからは、お手、お座り、たくさん覚えました。
甘えん坊の可愛い子で、家族にもよく懐きました。

夫もそのうちに、「トイレは外でできるようになったし、大人しくなったから、留守の間もケージに入れるのやめようよ、可哀想だよ」と言い始めました。
そして、「犬って可愛いねぇ」と。

ふふふ(^^)、レイちゃんは、夫を虜にしてしまったんです。

 

 それからのレイちゃん

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我が家はレイちゃんを連れて、色んなところに連れて行きました。芝桜が咲いでるところに行ったりして、思い出は沢山。
車酔いする子で、行きはゲロゲロ。帰りは寝ています。
「犬って意外にデリケートなんだ」
私はレイちゃんからは、色んなことを教えてもらいました。

レイちゃんは、2歳くらいからアレルギーが出ました。
検査もしましたが、大抵のものは食べられなくて、お米、キャベツ、豚肉のご飯を作りました。
やがてゴールデンレトリバーのロン君が新しく加わり、それからはレイちゃんは、ゴールデンのフードを食べてもアレルギー症状は出なくなりました。

冬の寒い日には、いつも私のベッドに入り込み、私の胸の前でしがみつく様に寝ていました。
吠えなくなった晩年は、寝る時だけでなく、ずーっと抱っこしていました。
若い頃は抱っこすると、嫌がって逃げていたのにね。

 

 それはお誕生日の前日でした

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さて、そのレイちゃんなのですが――
私の去年のお誕生日前日に、突然死してしまいました。
ご飯もおやつも食べて、遊んで、それから痙攣して亡くなりました。
狂犬病の注射の時の採血も、異常はなかったのです。
だから、理由はわかりません。

ただ、亡くなるひと月前位から、お散歩を嫌がり、あれ程吠えていたのに吠えなくなりました。お漏らしするから、オムツにしていました。

(上の写真は、最後の握手です)

わたしのお誕生日――
わんこ達3匹には、マッシュポテトに人参のケーキを作り、みんな大喜び。

でもレイちゃんは、一日違いでそれが食べられませんでした。

 

 不思議な夢

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最近、不思議な夢をみました。
「ママ、どんな形かわからないけど、またママのところに行くよ」
夢に出てきたレイちゃんは、そう言いったのです。
そして、その言葉通り、次の日引き出しを整理していたら、一番綺麗な頃のレイちゃんの写真がでてきました。

なんだか私は、レイちゃんに守られている気持ちがするのです。

 

――レイちゃんがうちにくるまで|おしまい――

うちの子がうちにくるまで|No.24
犬の名前:レイちゃん
犬種:ミニチュア・シュナウザー
飼主:ゆきねー 
▶ 作者の一言
 ▶ゆきねー:猫の記事 ご紹介
 ▶ゆきねー:犬の記事 ご紹介
 
うちの子がうちにくるまで、とは
愛犬を家に迎えるまでの葛藤を、飼い主自身が、自分の言葉で綴ったエッセイです。
こんな効果もあります:愛犬、愛猫を今すぐ100倍可愛くできる、最も簡単な方法
 
犬や猫と暮らすあなたへ

『うちで飼えるかな?』
『きちんと面倒を見られるかな?』

犬や猫を、”はじめて”飼う時、ほとんどの方はこう思ったことでしょう。
平均年齢でいえば、15年も生きる小さな命を預かるのだから当然ですね。
我々はそこで大きな決心をし、葛藤を乗り越えたからこそ、今、犬や猫と暮らしています。

どうかその思いを、忘れないでください。
その時の思いがあれば、我々はどんな時でも犬や猫と暮らしていけます。

【飼えるかなより

――うちの子がうちにくるまで・次話――

作者が初めての犬を飼い始めてから3カ月後のこと。
散歩から帰ったご主人が言いました。
「へその緒がついた子犬が捨てられていた」
草むらには本当に「生きたい、生きたい」と鳴く2匹の子犬がいたのでした。

――うちの子がうちにくるまで・前話――

最初は大型犬を飼うなんて、考えてもいなかったのに――
勤務先の病院にいた、ニューヨーク帰りの医師の言葉で心が動いて――
ある日、ゴールデンレトリバーがやってきます。

まとめ読み|うちの子がうちにくるまで(犬)⑥
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

――うちの子がうちにくるまで、第1話です――

昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。

 ゆきねー|他の作品

思わず笑ってしまうほど個性的な猫、ボンちゃん。
そのボンちゃんが、ゆきねーさんのお宅に来た理由もまた個性的。

まずは出会いの話から。
どうやってうちに来たの? ボンちゃんの名前の由来は?
――とても笑えるお話です。

犬猫で最大時11匹。
今や多頭飼いが当たり前のお宅に、最初の1匹としてやってきた子猫、みみ子さんのお話です。

犬猫の飼い方を全く知らない作者。
まずは動物病院に、そして次に本屋に――
何も知らないという割に、何だかやることがてきぱきしていて、妙に安心感。
実は作者は当時、現役の看護師さん。

 

 

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