犬も輸血が必要なんですよ
献血犬というのは
皆さん、献血犬ってご存知ですか?
文字通り、愛犬の手術や治療の際に、血液を提供してくれるワンちゃんのことです。
献血用のワンちゃんを飼っている動物病院(主に大病院)もあるのですが、ほとんどの病院はそうではありません。
ではそんな時、どんな風に献血犬を探すかご存知ですか?
今日は、献血犬を探す難しさについてお知らせしようと思います。
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我が家の愛犬チョコラッは、『非再生性免疫介在性貧血』という病気です。
免疫が影響する貧血には、体は赤血球を生産しているのに、それが何かの理由で壊れていく場合と、そもそも赤血球の生産をしなくなる場合の2種類があります。
前者は『免疫介在性溶血性貧血』と呼ばれ、後者はチョコラッの『非再生性免疫介在性貧血』です。
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貧血はひどくなると、輸血が必要になってきます。
主治医からは、「これ以上、貧血が進むと、輸血しないと命の危険があります」と言われており、献血犬を探しておくようにも言われています。
犬の輸血は拒否反応で死ぬこともあるので、最悪の事態として考えているのですが、それでもいざというときを考えると、準備はしておかなければなりません。
献血犬の対象は
献血犬の対象になるのは、10kg以上のワンちゃん。
チョコラッは小型犬なので、知り合いも小型犬に偏ってしまっています。
こんなときに小型犬しか仲間がいないと、困ってしまいますね。
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1匹、散歩中に会うラブラドールちゃんがいるけど……
これまでは、すれ違うときに「こんにちは」と挨拶をする程度の付き合いなので、いきなり「血を下さい!」なんて言えませんよね。
しかも、チョコラッがヤバくなったときに、速攻指定病院に来てもらうって、かなり難関です。
献血犬になってくれるワンちゃんを探すのって、とても大変なことなんです。
献血犬を探す苦労
献血犬確保の苦労について、実例を少しお話をしましょう。
随分と前のお話ですが、チョコラッのお散歩をしてたら、中型犬がいたんです。
私の心の中では、こう言いたい。
『献血犬探してるんです!』
――でも、話したこともない人だからなぁー
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その場はスルーして、歩いて行ったのですが、
『明日チョコラッの容態が急変して、輸血が必要なのに献血犬がいなかったらどうするの?』
私の心の中で、もう一人の私が訊いてきます。
そう思って立ち止まる私。
「やっぱり言わなきゃ!」
って、Uターン。
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私、過去にストーカー被害的なこともあったので、近所の人とのお話は避けてるんです。でも頑張って頑張って、話の流れを頭の中で組み立てて、勇気を振り絞ってお話をしてみました。
結果、その子は体重が献血犬には足りませんでした。
でも、その飼い主さんは、お友達に声をかけて下さるとのこと。
携帯番号を交換して、私はちょっと充実感で家に帰りました。
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「やれば出来るじゃん!」
「そうだ! 献血犬募集のビラを作ろう!」
「そしたら、気軽に話しかけられる!」
俄然やる気になった私。
家でビラを作成してたら、さっきの飼い主さんから早速電話が――
お話の内容としては、
『お友達と話したんだけど、輸血が必要だったら、献血犬飼ってる大学病院に行ったら?』
ってことでした。
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――ガッカリしました。
そしてこれからはお散歩で、その人にはお会いし辛いなと思ってしまいました。
なぜかと言うと、会ったら絶対に「大学病院行った?」って聞かれるでしょう?
これまで、献血犬がいる病院を幾つか見つけてはいたんです。
でもそこに行かず、今の病院で治療を続けると決めたのは、結局どんなに良い病院があっても、遠ければ通えないからです。
骨折とかと違って、この病気は死ぬまで通院です。
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主人が夜勤で昼夜逆転生活の我が家にとっては、近くの病院にだって毎週通うのはかなりキツイ。
大学病院に行って輸血したら、ハイOK!じゃないですからね。
またすぐに赤血球が減って、貧血になる。
輸血は緊急避難的なものなんです。
犬は人間とは違うから
人と違って毎週輸血というわけにもいかない。
だから、緊急時に輸血出来る様に近くの病院に駆けつけて下さるワンちゃんを探しています。
緊急時だから、献血犬のいる大学病院に行ったとしても、もう間に合わない。
ビラを配ったりしたら、先日の飼い主さんに、『あの子まだ大学病院行かないのかしら』って思われちゃうかな?
事情を頑張って話したとしても、『緊急時に駆けつけるなんて無理よ』なんて思われちゃうかもね。
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それが無理なのは分かってる。だから、数頭見つけておきたい。
虫がいい話なのかな?
やっぱり普通に考えて、知らないワンちゃんのために自分の子が駆けつけて、血を取られるって、イヤよね。
『大学病院の献血犬頼ってよ』ってなるよね。
明日からのビラ配りは取り敢えず中止だな。
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だけど頑張って、それからも毎日お散歩の度に大型犬を探しては。献血犬にご協力頂きたい旨、お声をかけさせて頂きました。そしてなんとか数頭、協力して頂けそうなワンちゃんを確保出来ました!
献血犬になってくださいな
血液型諸々の関係で、実際に血液がマッチする可能性は75%らしいです。
数頭確保したのに、全ての血液がマッチしなかったという事態にならないように、また、緊急で輸血が必要になって、どの献血犬さんとも連絡が取れないという事態にならないように、もう少しお声がけは継続したいと思っています。
でも取りあえずは、数頭ご協力頂けるワンちゃんが見つかったということでホっとしています。
皆さん、献血犬を探している私たちの気持ち、どうかわかってくださいね。
そして――
どうか、献血犬になってくださいな。
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妖怪アンテナピーン!
「お姉ちゃんに献血のご協力をお願いします」
byティアラ
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注:チラシの記述は7Kgとなっていますが、これはチョコラッの体重3.5Kgに対して+7Kgのことを意味していました。記述が分かりにくかったこと、お詫びいたします。
(追記)
現在の時点で、チョコラッの献血犬についての進展は特にありません。
と言いますのは、最初、懸命に献血犬を探していたときと違い、少々意識が変わってきました。
この病気は輸血をしたから助かるわけではない。結局合う薬が見つからなければ、献血はいつまでたっても延命措置に過ぎないという思いが、強くなったからです。
とはいえ、献血犬に対する重要性は変わりません。
どうか献血犬をお探しの方がいらっしゃいましたら、引き続きご協力をお願いします。
――おしまい――
文:らぶプー
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。