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【二匹目の犬】手荷物でうちにやってきたんだよ ~れん がうちにくるまで(2/2)~【先住犬との相性は?】

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うちの子がうちにくるまで|No.28 - 2f:id:masami_takasu:20180918131441j:plain

文:かっぱ太郎、撮影:F.zin
  
今日のお話は

子犬の箱を受けとり電車に乗る作者。しかし事故のために大混雑。
優しい老夫婦の助けで、箱を手荷物の棚に乗せて、なんとか満員の車中を過ごします。
家へと急ぐ作者と、迎える家族。
ようこそ我が家へ
君は手荷物でうちに来たんだよ。

こんな方へ:
フレンチブルドッグってどんな犬?|フレンチブルドッグの多頭飼いってどんな感じ?|経験者の体験談を聞きたい 

 やせた子犬に思うこと

前回の記事の続きです。

子いぬを迎えに行った私に、ペットショップの若い女性店員さんはとても丁寧に、その元気な子を渡してくれました。

しかし私は、その子の痩せた姿がどうにも気にかかって仕方がありません。
「きっとこの人にはもう会うことはないだろうな」
心の中では、そう呟いたのでした。

 

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ちぃと出会った別の店では、ちぃを渡してくれた『なかざわさん』に、しばらくしてから挨拶に行って、夫と二人で ちぃが元気でいることを報告したのでが、その時とは違う感情でした。

その時『なかざわさん』は私たちを見るなり、「ぶぶちゃんは元気ですか?」と声をかけてくれました。

売り物の子いぬに名前をつけると情が移るので、「ぶぶちゃん」みたいな適当な名前で呼んでいたそうですが、ちぃのことをちゃんと覚えているなかざわさんは、幼かったちぃにたっぷり愛情をそそいでいたに違いありません。

 

 小さな箱を抱いて

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新しい子いぬ入りの小さな箱を抱いて、札幌駅に着いた私は愕然としました。事故で電車が随分遅れているのです。

なにもこんな日に…と思いましたが、家の最寄り駅に車を置いてあるので、地下鉄で帰るわけにもいかず、窓口で子いぬ入りの箱に「手荷物」のシールを貼ってもらい、ホームへ上ってみることにしました。

ホームには電車が来ていましたが、待ちかねた乗客で、デッキまでぎゅうぎゅう詰めです。

どうしてよいか分からず、戸惑う私――
そのとき、デッキにいたひとりのご婦人が「こちらにおいで」と手招きをして下さいました。『手荷物』を抱えて一人うろうろする私を見かねて、声を掛けてくださったのです。

 

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ご婦人は荷物置き用の低い棚を指差すと、「ここにそれを置きなさい」と言ってくださいました。

ご婦人の隣には旦那様がいらっしゃり、「子いぬかい?」と微笑みかけてくださいました。 聞けばご夫婦はご自分たちも、犬を2匹飼っているのだそうです。

「シーズーの兄弟でね、ペットショップで、2匹一緒に居たのよ。それでね、引き離すことができなくて、2匹とも飼うことにしたの」
「オスの犬はね、かわいいわよ。人間と同じで、いつまでも子どもで」

通路もデッキも人でごったがえす中、ご婦人と旦那様に囲まれたわずかなスペースは、なんとも居心地の良い場所でした。

 

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デッキと客席の間の、腰の高さにパイプを並べた荷物棚の上で、箱の中の子いぬはじっとおとなしくしています

旦那様は、奥様の話をうんうん、とうなずきながら聞いていましたが、
「…フレンチブルドッグか、見たいなあ!」
と、子どものように目を輝かせて言いました。けれども奥様は、
「こんなところで箱を開けたら、子いぬがびっくりしちゃうでしょ。だめ、だめ。」
と、たしなめるように言いました。

確かに、ぎゅうぎゅう詰めの車内で子いぬがキャンと鳴いたりすれば、乗客たちの苛々がいっそう募ってしまうに違いありません。

私は、子いぬの顔を見せてあげたいのを我慢して、私よりもひとつ手前の駅で降りるお二人にお礼を言い、車窓から見送りました。

偶然出会ったご夫婦の温かい言葉のおかげで、夜にひとりで子いぬを連れて帰る不安も、こんなにひどい満員電車に子いぬを乗せてしまった後ろめたさも、どこかへ吹き飛んでいました。

上野幌駅で電車を降り、車の助手席に子いぬの箱をシートベルトでくくりつけ、家へと急ぎました。子いぬは、箱にあけられた小さな空気穴からときどき、外を覗いているようでした。

 

 ただいま

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私が家に帰ると――
「ねえ、お母さんたら、本当に買ってきちゃったよ!」
と夫は、あきれたと言わんばかりの口調で娘の部屋に向って叫びましたが、目が輝いていました。

「えぇっ、本当に!?」
娘はびっくりして部屋から飛び出し、私が抱えていた箱の中を覗き込みました。

娘はちぃがうちに来た当時は犬を怖がっていたのですが、その頃にはもう、ちぃと仲良しになっていて、新しい子いぬを恐れたりはせず、歓迎してくれました。

 

――れんがうちにくるまで(後編)おわり――

うちの子がうちにくるまで|No.28 - 2
犬の名前:れん
犬種:フレンチ・ブルドッグ
飼主:かっぱ太郎、F.zin
 ▶ 作者の一言
 ▶かっぱ太郎、F zin:犬の記事のご紹介
 
うちの子がうちにくるまで、とは
愛犬を家に迎えるまでの葛藤を、飼い主自身が、自分の言葉で綴ったエッセイです。
こんな効果もあります:愛犬、愛猫を今すぐ100倍可愛くできる、最も簡単な方法
 
犬や猫と暮らすあなたへ

『うちで飼えるかな?』
『きちんと面倒を見られるかな?』

犬や猫を、”はじめて”飼う時、ほとんどの方はこう思ったことでしょう。
平均年齢でいえば、15年も生きる小さな命を預かるのだから当然ですね。
我々はそこで大きな決心をし、葛藤を乗り越えたからこそ、今、犬や猫と暮らしています。

どうかその思いを、忘れないでください。
その時の思いがあれば、我々はどんな時でも犬や猫と暮らしていけます。

【飼えるかなより

――うちの子がうちにくるまで・次話――

フレンチブルの太郎くんは、しろとり動物園生まれ。
最初はそのつもりはなかったのに、会いに行ったら一目ぼれでした。
今では白髪交じりになってしまったけれど、何事にも始まりはありますね。

――うちの子がうちにくるまで・前話――

先住犬の”ちぃ”は、どうもよその子に受けが悪い。
このまま犬の友達はできないの?
そんなとき、小さな白い犬を見かけたのです。
「ねえ、友達になってくれる?」

まとめ読み|うちの子がうちにくるまで(犬)⑦
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。

 

――うちの子がうちにくるまで、第1話です――

昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。

 おすすめの、うちの子がうちにくるまで

アイリッシュ・セター|ハリー

初めての犬が大型犬
振り返ってみると、犬はまるで運命のように家にやってくる。
その子が産まれる確率は? 出会う確率は? 家族は賛成? 経済的な余裕は?
掛け算をしたら、とんでもなく低い確率だ。
みんな、奇跡の子と、一緒に住んでいるんだよ。

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偶然に手に入れたマンション。
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 出典

※本記事は著作者の許可を得て、下記のエッセイを元に再構成されたものです。

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