犬を飼うということ

Withdog 犬と飼い主の絆について

【犬と暮らす歓び】私が、犬の文章を書き続けている理由 ~1周年を迎えたWithdogとWithcat~

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それでも私は書き続けている
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文|樫村 慧
 

学生の頃から、案外読書が好きだった。その頃人気のあった赤川次郎を、無意識に避けていた私は、筒井康隆の『七瀬ふたたび』に心震わせ、いわゆるハルキストではないけれど、村上春樹の『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』の3作に夢中になった。

その後私は、就職した会社で出会った11歳年上の人と結婚して、本当の本好きというのがどんな人なのかを知ることになる。

結婚した相手は、とにかく沢山本を読む人だった。朝はコーヒーを飲みながら、夜はウイスキーグラスを片手に。

 

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そんな主人が、社宅暮らしを終えて、家を持った時『犬を飼いたい』と言い出した。そして、私と幼い息子達を、大型犬のブリーダーさんのところに連れて行った。

実は、本と同じくらい、いや本以上に、主人は犬が大好きだったのだーー

 ブリーダーさんから迎えたイケメンのサンタは不幸にも3歳という若さで亡くなった。その時の主人の悲しみ方は、それ以前もそれ以降も、見た事がないくらいのものだった。

そして、それから6年後、この犬好きな主人が突然連れて帰ってきたのが、ホームセンターで売れ残っていたラフだった。サンタの分もラフを愛していた主人は、ラフが6歳の時、膵臓ガンでの闘病生活半年で他界。そのラフも腎不全での闘病の末、11歳で主人とサンタの待つ天国へと旅立った。詳しくは、ラフのエッセイに書いているのでそちらをお読みいただきたい。

 

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そんな人生を歩んできた私が、今このように犬猫のサイトに携わっているのは、天国にいる愛犬ラフとサンタ、そして主人の仕掛けたことかもしれない、と思っている。

結婚した相手は、犬がとにかく好きな真の犬バカで、とにかく本を読む人だった。そんな人の影響を受けた私に、犬猫のサイトで文章を書く、というのは、もしかしたら、うってつけだったのかもしれないな、と。

(そう言えば、主人は結婚前に海で拾った黒い仔猫を3カ月育てて、仕事の転勤が決まる前に、里親さんを探してその子を託していた。もちろん猫も好きだったのである)

ラフが闘病していた頃、愛読していたブログがたくさんあった。その頃の私にとって、ブログは読ませてもらうものだった。自分が書いたものを誰かに読んでいただく、なんてことは想像も出来なかった。それなのに、なぜ…

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犬と暮らすということの喜びーー
犬が私達に与えてくれるものーー
そんなことを、たくさんの人に伝えたいーー

ただ、その想いだけで、続けてきた。

多少本が好きだからと言って、スラスラと文章が書けるわけではなかった。人に伝わるように書く、というのは思っていたよりもずっと難しい。

書いた文章には、サイトの主宰から容赦なくダメ出しがある。その度に落ち込み、それを放置し、それでもそのダメな文章を読み返して、悩んで、また放置。家事の合間に、寝る前に、読み返して、書き直す。そんな事を繰り返してやっと仕上げていくーー

 

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きっと、天国の主人は「お前、犬猫のサイトなんて、そんなことやってるのかぁ」と笑っているだろう。自分で仕掛けたくせに、涼しい顔で笑っているに違いない。

まんまとそんな罠に引っかかって、ちょっと悔しいような気持ちもある。

サイトを始めてから、老眼は一気に進み、眉間のシワは深くなった。そして、好きな本を読む時間も、取れなくなった。

それでも、やっぱり書くことをやめられないのは、犬とのかけがえのない時間を知ってしまったから。

いなくなったあとも、愛犬がずっと支えてくれていると、実感しているから。

そして――
何より――
たくさんの読者の方が居てくれるからーー

 

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『愛犬を思い出して、泣けました』
『いいお話を、ありがとうございます』

予想もしていなかったあたたかいお言葉をいただいた時、人との繋がりや出会い、その全ての奇跡に触れた気がする。

支えてくださる読者の方に、どんな言葉で、この想いを伝えればいいのだろうか。
いつもこんな時、自分のボキャブラリーの少なさを痛感する。

でも、ここは、シンプルに、ストレートに。

いつも、ありがとうございます。
これからも、どうぞよろしくお願いします。

心より精一杯の感謝を込めてーー

 

――了――

文:樫村 慧
 ▶ 作者の一言
 ▶ 樫村 慧:犬の記事 ご紹介
 ▶ 樫村 慧:猫の記事 ご紹介

――1周年の記念の記事です――

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

 樫村慧|他の作品

ホームセンターで売れ残っていた、雄のゴールデン・レトリーバー。
このお話は、ラフと名付けられたその子と、それを飼う事になった一家の、絆を描いた実話です。
愛犬との思い出は、愛犬だけとのつながりでは無くて、家族や友人の思い出ともつながっている。愛犬との良い思い出は、家族との良い思い出でもある。
そんなことを感じるお話です。

 

愛犬を看取る、家族のお話。
ペットと暮らす者なら誰もが通る道だけれど、少しずつ違う道。
色々な選択肢があって、正解は一つではない。
わが家なりの送り方って何?
『ラフと歩く日々』の続編です。

 

 

愛犬ラフの去り方を決めたのは自分でした。それはとても自然に――
その存在が消えた空間で、無意識にラフを探す日々。
やがてラフとの別れに、意味が生まれ始めます。

 

近しい方のペットが病気になったとき、一声かけてあげたくなりますね。
励ましてあげたいんです。でも、どんな言葉を掛ければいいのか?
経験した人なら分かりますね。悪気なく、心からの思いで掛けた言葉が、時に相手を傷つけてしますのです。

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