老犬は何歳からか?
私にとっての老犬は
皆さんは老犬というと、どういうイメージを持つだろうか?
私は老犬に、ポジティブな印象を持っている。
些細なことに動じることなく、どこか達観したところがあって、気を荒げることもせず、周囲に優しくて、しかし弱々しいわけではなくとても芯が強い。どうしても譲れないことに対しては、徹底的に頑固であり続ける。
足腰が弱ってヨロヨロ歩き、病気がちになって、時には寝たきりになっていても、その芯の強さは健在というか、そうなってからの方が、よりその強さを実感したりする。
私にとって『老犬』は、『老兵』という感覚に近いのかもしれない。
闘いの中で余分な角がとれていき、大事なところだけが残って、まん丸になって――
でも、まん丸というのはそれ以上にないほど強い。それが老犬。
老犬アルバムは、私にとっての老犬への思いそのものだ。
『うちの子の老いっぷりを見てやってくれ』
老犬アルバムのカードの裏には、もれなく飼い主さんのそんな言葉が添えられているような気がしている。老犬が誇り高いのと同じように、老犬の飼い主さんもまた誇り高いのだと思う。
私はそんな思いで、いつも老犬アルバムを配信する。
「さあ、皆に見てもらっておいで」
まるで自分が飼い主になったような気分で、誇らしい思いを込めて送信ボタンを押すのだ。
老犬(シニア犬)と暮らしている|愛犬が闘病中、または介護中|愛犬が亡くなってしまった|他の飼い主さんのことが知りたい|皆さんの頑張りをみて、元気をもらいたい
- 老犬は何歳からか?
- No.3は、かん太さん
- 老犬アルバム募集の裏話
- No.4は、テツさん
- No.5は、ゆうすけさん
- 老犬アルバムはこんな船出でした
- 老犬アルバムのご応募方法はこちらです
- 老犬アルバムと老猫アルバム
- 樫村慧|他の作品
No.3は、かん太さん
前回は、ご縁のある老犬ハリー君のカードと、私の愛犬ラフのカードを作って、募集を開始したところまでを書きました。ここから、本当の意味での老犬アルバムが始まることになります。
Withdog『犬を飼うということ』も、Withcat『猫のはなしをしようか』も、そんなにまだ知れ渡ってもいないのに、参加してくれる老犬さんなんているのだろうか、と不安な気持ちの船出でした。
●
募集ツイートをしてすぐに私のDMに連絡を下さったのが、老犬アルバムNo.3の、かん太さんの飼い主さんheyさんでした。うちのラフと同じゴールデンレトリバーのかん太さん。かん太さんのアイコンを見ただけで、いつも私の記事ツイートに“いいね”をつけて下さる、heyさんだと気がつきました。
きっとサイトでの募集告知を、読んでくださっていたのでしょう。老犬アルバムに真っ先に応募してくださったことに、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
●
「お空組になり5年ですが参加出来ますか?」
heyさんからのDMには、このような言葉が添えてありました。
『ああ、お空組さんの飼い主さんも、この企画に賛同してくださったのだな』
応募いただけた喜びと共に、そんな気持ちが湧いてきました。
●
お空組というのには、ちょっとしたこだわりがあります。
実際に自分の愛犬ラフのカードを作って気付いたのですが、老犬アルバムには不思議な力があるのです。古い写真を眺めるのではなく、まるで新しく撮影した写真を見ているような、新鮮な印象を受けるのですよ。これは、作る前には気づかなかったことです。
もなかさんの飼い主さん(もなか母ちゃんさん)や、タフィさんの飼い主さん(タフィママさん)が、カードを喜んで下さったのは、きっと同じことを感じて下さったのだと思いました。
「老犬アルバムのカードは、昔を懐かしむものではないんだ」
「今体験しているのと同じなんだ」
「いなくなったあの子に、新しい思い出が増えたということなんだ」
それは思いがけない収穫でした。
●
こんな思いがあるものですから、かん太さんのカードが、かん太さんとheyさんの新しい思い出の1つになるのだと考えて、胸が熱くなりました。
この時に制作したのが、上の扉のカードです。
『そうかあ、かん太さんはゴールデンなのに、泳げないのかあ』
と、プールや海で、困った顔をしているかん太さんを想像してしまいました。
●
このことが切欠になり、heyさんには後日Withcatに、ご自身が保護した野良猫、”寅さん”の記事『ボス猫、寅さんがやってきた』を書いていただくことになります。
それもまた、老犬が結んでくれたご縁ですね。
老犬アルバム募集の裏話
さて、ここで老犬アルバムの募集についての裏話に触れておきます。
いよいよ老犬さんを募集は始めようとしている時のこと。募集の文章を考えていて、ある疑問が湧きました。
「老犬って何歳だろう?」ということです。
改めて考えると、明確な定義が無いように思いました。
15歳くらいの子は、もう立派な老犬さんですね。誰も異論はないでしょう。
飼育本などを見ると7歳から老犬(シニア期)と書いてあったりしますが、今時7歳の子は老犬ではないでしょう。元気が良すぎて、子犬と間違われる子だっているくらいです。
●
「自己申告で、飼い主が老犬と思えば老犬でいいじゃないか」
とも思ったのですが、結局、主宰と相談をしながら、人間年齢の60歳にしようと決めました。何歳でもありにしたら際限がなくなりそうで、”老犬”のありがたさが目減りしそうな気がしたのです。
●
『決定! 人間年齢の60歳からが、老犬アルバムのメンバー!』
そうなると犬の大きさによって年齢が変わってきます。犬年齢にすると大型犬は8歳、中型犬は9.5歳、小型犬は11歳からということ。
もうちょっとで人間年齢60歳なんだけど、という場合はOKにして、募集のツイートをする際に、人間年齢換算表を一緒にツィートすればいいと考えたのでした。
●
老犬アルバムで使っている、
人間年齢換算表です
●
因みに今、老犬アルバムは、天国組OKでしかも年齢不問となっています。
しかしスタート時には、そんなことまで頭にありませんでした。
しばらくしてから、それについて真剣に考えることになるのですが、このお話はもう少し先で書こうと思います。
No.4は、テツさん
かん太さんの後、間も無くして連絡を下さったのが、老犬アルバムNo.4で、オーストラリアに住むテツさんの飼い主、テツママさんでした。ママさんは現在はツイッターをお休みされていますが、テツママさんのアイコンには見覚えがありました。
●
『なんという犬種なんだろう?オーストラリア犬というのかぁ』そんな風に感じた記憶があります。聡明な顔つきのテツさんは大型犬らしいどっしりとした落ち着きを感じさせました。そのテツさんもお空組でした。
カードの配信後のことです。私の記事ツイートに、テツママさんがメッセージ下さいました。その中には、愛するテツさんに宛てた手紙があるのだと書かれていました。
是非それを読んでみたいとお願いしたのですが、それが後日、Withdogで配信させていただいたのが『テツへの手紙(全4話)』です。
●
この記事では、告知カードも作らせていただきました。
それもご紹介しておきます。
テツママさんには、英語版のカード制作でもご協力をいただきました。
●
heyさんとテツママさんは、老犬アルバムを最初に見つけて応募して下った上に、記事まで配信させていただいたんだなぁと、今になって恐縮してしまいます。おそらくこのお2人の応募がなければ、すんなりと老犬アルバムはスタート出来なかったでしょう。
初心を忘れてはいけないなぁと、あらためて感じているところです。
●
このようにして、おっかなびっくりの応募ツイートから3日後、老犬アルバムはかん太さんのカードでスタートしたのでした。
今では老犬アルバムは150枚に迫っているところです。
何事にも始まりは有るのだなあと思います。
No.5は、ゆうすけさん
No.5のゆうすけさんとの出会いは、ツイッターのメッセージでした。
主宰の書いた安楽死の記事に対して、ゆうすけパパさんがメッセージを下さり、それからお付き合いが始まりました。
その時のメッセージで、パパさんはブログ書かれていて、安楽死のことも記事にされたとのこと。主宰がその記事を読ませてもらったのだそうです。
●
安楽死については、パパさんは否定しない派でした。自身は結局選択しなかったけれど、もしもゆうすけさんの終末期の状態が続いていたら、きっと耐えられなかっただろうとのこと。だから選択した飼い主さんのことは否定しないという内容でした。
それはゆうすけさんへの気持ちのこもったその記事は、後にWithdogでも公開をさせていただくことになりました。
●
こんな経緯から、ゆうすけさんは老犬アルバムに登場していただいたのでした。
因みにこれがご縁となり、ゆうすけパパさんには、ゆうすけさんを迎えた時のことや、看取りについても寄稿していただくことになります。
まずは、ゆうすけさんが、うちにくるまでのお話が以下です。
No.1のハリー君をご紹介するときにも書いたのですが、老犬さんは子犬で家に迎えた時のお話とセットで知ると、より感動が大きいです。
●
最近ではゆうすけパパさんに、今はお空にいるゆうすけさんに、『うちに来て幸せだったか?』と問いかける、素敵な記事も書いていただきました。
下のまとめ記事の中にも、そのお話が収録されています。
犬と人のご縁もそうですが、人と人のご縁も、何がきっかけで深まるかわか分からないものですね。
老犬アルバムはこんな船出でした
こんな風に船出をした老犬アルバムでしたが、始めたばかりだと、なかなか皆さんには知れ渡りません。heyさんとテツママさんからの応募の後は、参加したいというご連絡がなかなかいただけなかった時期があります。
それから、もうお気づきかもしれませんが、ここまでご紹介した老犬さんは、No.1のハリーさん以外は全てお空組です。現役組の老犬さんにも、もっとご参加をいただきたいなあとも思っていました。
●
それで私は、自分からもご参加をお願いしてみようと思い立たちました。
実はここで、そこでいつもお世話になっている #秘密結社老犬倶楽部 のハッシュタグのお話になっていくのですが、色々と書きたいことが沢山あるので、次の記事にそれは譲ろうと思いまうす。
段々と、今の老犬アルバムに近づいていきます。
次回をお楽しみに。
――つづく――
文:樫村 慧
▶ 作者の一言
▶ 樫村 慧:犬の記事 ご紹介
▶ 樫村 慧:猫の記事 ご紹介
Follow @kei_kashimura
――次話――
次話は、No.6のハルさんの思い出から始まる3話です。
ハルさんは大好きな老犬さん。思い出深いです。
今、老犬を飼っていない私が、老犬さんを応援することに自信を持つことができたワンコ。この頃は色々と悩みながらの配信でした。
ハルさんのカードを作って、「これでいいんだ」と思えるようになりました。
――前話――
前話は、No.1のハリー君の思い出から始まる2話です。
老犬さんを応援したいと思っていた私は、老犬アルバムを思いついたのですが、誰から始めていいか迷っていました。
ふと閃いたのが、仲良しのハリー君です。
●
この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
●
――この連載の1話目です――
第1話は老犬アルバムがスタートした経緯をお知らせします。
老犬アルバムのスタートは、一匹の大型犬、タフィさんが旅立った時の飼い主さんの言葉がきっかけです。「大きくて優しい子、ありがとう、大好き」その一言が忘れられませんでした。どうしてもそれを、何かの形に残そうとカードを作りました。
大きくて優しい子が、老犬アルバムを作ったんです。
●
老犬アルバムのご応募方法はこちらです
老犬アルバムに必要なのは、下記の6つの情報だけです。
①愛犬の名前
②愛犬の年齢(~カ月まで分かると尚良し)
③飼い主の名前(~ママとか、ハンドルネーム)
④小型犬、中型犬、大型犬の区別
※人間年齢を換算するために必要です。
※超大型犬は大型犬、超小型犬は小型犬で換算します。
⑤愛犬への一言、または、愛犬からの一言
⑥お気に入りの写真1枚
下記(担当:樫村慧)にDMをお送りください。
Follow @kei_kashimura
●
老犬アルバムと老猫アルバム
老犬アルバムはここからスタートしました。
長老のハリー君は2019年6月20日に17歳の誕生日を迎えて、人間年齢124歳です。
でも、犬は何歳になっても子犬のようです。
老犬アルバムは51匹目からVol.2に突入しました。
開始当初は51匹は遠い未来でしたが、沢山のご応募のお陰です。
犬は子犬や、成犬の頃には見せなかった姿を、老犬になってみせたりしますね。
毎日が新しい発見です。
老犬アルバムは101匹目からVol.3です。
飼い主が家に帰っても、ずっと寝たまま。若い頃はお迎えにきたのにね。
しかし、その寝姿がまた愛おしく感じます。
時々頑固者になるのは、人間と同じですね。
老犬アルバムの猫版。老猫アルバムです。
犬と猫の違い-――、猫歳をとっても見た目が変わらないので、絵にかいたような老猫というのがいないんですね。飼い主さんの心の中で、この子も歳をとったなあと思ったときが老猫。老犬よりもカードの数は少ないのですが、どの子も飼い主さんの愛情いっぱいです。
樫村慧|他の作品
愛犬の闘病や、老犬の介護をしている飼い主さんを見かけると、つい応援してあげたくなりますよね。でもいざとなると、どんな言葉をかけるべきか悩んでしまいます。
自分でも愛犬の闘病の経験がありますから分かります。不用意な励ましは、相手を傷つけることもあるのです。
愛犬の散歩道で時々で会っていたのが、土佐犬のリンちゃんでした。
しかしある日、リンちゃんには急に出会うことができなくなりました。
大型犬を飼う難しさ。周囲に理解してもらう難しさ。
リンちゃんは色々なことを教えてくれました。