犬を飼うということ

Withdog 犬と飼い主の絆について

【噛み癖|保護犬】当時私は、ペットロスの中にいました ~凶暴な犬、心の話をしましょう(1/3)~

凶暴な犬、心の話をしましょう
凶暴な犬、心

撮影&文|karaage
 

これから、我が家の愛犬、心(ここ)のお話をしようと思います。
心は凶暴なコーギーの女の子でした。

”でした”というのは過去形でして、今はそうではありません。

これから書くのは、私がどうして凶暴なコーギーをうちに迎えたのか(迎えざるを得なかったのか)という理由と、そのコーギーが本当の”うちの子に”なっていくまでの道のりです。

 

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これは、食べるモノをもらえない怒りを表す、心
 

時は2015年に溯ります。

当時私は悲しみの真っ只中にいました。
1年前の10月21日に、愛犬の”風”が14歳になったばかりで亡くなり、年が変わってからの5月22日には、相棒犬の”花”が、15歳で後を追うように逝ってしまったからです。
ペットロスだったのかと問われれば、きっとそうだったのでしょうね。

その頃私は毎日、死んだら風や花に会えると思っていました。

どれくらいひどい状態だったかというと、目の前を走る自動車の前に、ふらっと飛び出しそうになったりするほどです。歩いていでも、自転車に乗っていても、「このままだと、本当に事故に遭うかもしれないな?」といつも思っていました。

そんな中、私はふと思い立って、知り合いの雑貨屋さんに、風と花の羊毛フエルトの人形をお願いをしに行きました。当時の私の心境は、とにかく形があるものを、抱き締めたかったのです。

オーダーを終えた私に、その雑貨屋さんが言いました。
「コーギーの里親募集が載っているブログがあるんだけど、どう?」
多分、私の憔悴した姿を見かねたのでしょうね。実はその雑貨屋さんも、保護犬を迎えた経験のある方でした。

雑貨屋さんから、そのブログ教えもらった私は、ブログ主の方に連絡をしてみました。聞けば、預かっているのは住吉方面の保護センターで、そこを紹介してくださるとのこと。すぐに私は教えられた通り、保護センターに連絡を入れました。

しかし――残念ながら、もうその子は、もう引き取り先が決まっていました。

やっぱりダメか……
落胆する私に、センターの方がこう言ってくれました。
「別のコーギーもうちにいますが、見に来ませんか?」
どんな子か分かりませんでした。
でも私は「行きます」と即答しました。

さて、センターを訪れた私。
心の中は、不安が半分、残りの半分は、運命の出会いへの期待です。

係の方に案内されて、保護犬たちがいる部屋に。
「この子です」と紹介された子を見て、私は目を疑いました。
「この子、本当にコーギーですか?」
それが正直な感想でした。それほどまでにボロボロだったのです。

その子は、たった一匹だけのオリに入れられていました。隣のオリには5、6匹の保護犬たちがいて、楽しそうにしているのです。
「この子は、噛み癖があるのです」
と、そこで初めて事情を知らされました。そして「譲渡はできません」とも言われました。それほど危険な子だったのです。

 

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触ることもできない狂暴な子――

私はじっとその子を見つめました。その時の気持ちは覚えていません。
ただ、じっと見つめました。
すると、その子は私の方に寄ってきました。嬉しくて尻尾を振るわけでなく、威嚇をしようとするでもなく、ただ近づいて来たという感じでした。

それは、運命の出会いとは違いました。何かにピンと来たわけでもありませんでした。
ただ「迎えに来るから待っててね」と言う言葉だけが、口をついてこぼれました。

それが、その子がうちに来ることが決まった瞬間でした。
一度も手を触れることもなく――、お互いの温かみを確かめることもなく――

保護センターの所員の方からは噛み癖のことをしきりに言いましたが、引き取った後で何も文句を言わないからと約束して、納得をしてもらいました。

しかし私が、そのままその子を連れて帰ったかと言うと、そうではありません。
連れ帰るには準備が必要です。何しろ問題を抱えた子です。

凶暴という大問題を――

センターからの帰り道、私は先代でお世話になった動物病院に立ち寄りました。
私が最も信頼している看護師さんに会うためです。

「コーギーの保護犬がいて連れて帰りたいんやけど」
私は看護師さんに全てを伝えました。ネガティブなことも含めて。

「Fさんの事やから、今すぐ連れて帰りたいんでしょ?」
と看護師さんは言いました。すべてを察したようなご返事でした。

「めっちゃ汚いし噛むらしいねんけど、お願い出来るのかな?」
と念押しをしましたが、「いいですよ。連れて来て下さい」とのこと。
「ホントに臭くてひどい子やねんけど」
と更に念押しをしましたが、「準備しとくから」と答えてくれました。

看護師さんは、私の事をよく知ってる方でした。私も看護師さんのことを良く知っていました。だからここに相談に来たのです。

その子を連れ帰るのに迷いが無いことは、お互い分かってました。

看護師さんがOKでも、獣医さんは?
と思われる方もいるでしょうね。実はこの看護師さんは病院で一番の古株で、院長先生も頭があがらないのです。

 

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看護師さんはOK
そこで私はもう一度、自分の心に問いました。
「大丈夫?」
もう一人の私が言いました。「大丈夫!」と――

私はセンターに連絡をしました。
そして、正式な譲渡が決まりました。

家族には事後報告です。きっと噛むと言っても大した事ないと思って、楽しみにしてたと思います。その子が我が家に、波紋を呼ぶことになるとは知らず。
でも、それはもうちょっと先の話です。

引き渡しは、看護師さんのいる動物病院で行うことになりました。
メディカルチェックがあるからです。

当日は、センターでお世話をしてくれていた方が、忙しい中動物病院まで連れてきて下さいました。

その時の様子はというと――
とにかく威嚇が激しくて、病院のスタッフが噛まれたりしないか心配でした。
この頃の私は飼い主とは言え、ほとんど初対面のようなもの。連れてこられたその子に、声を掛けてあげることもできず、ただ呆然と見ているしかありませんでした。

 

――つづく――

作:karaage
  

――次話――

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週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

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