哲ママさんは、お手本にしている飼い主さん
私は老犬マニアかも
私は老犬マニアと言っても良いと思います。老犬を見るのが好きなんですね。
一生懸命生きてきた証を見ていると、「ああ、良いものを見た」という気分になります。言い方はおかしいかもしれませんが、骨董品を愛でるみたいなものです。
骨董と言ってしまうと申し訳ないのですが、歴史=価値というのは、世の中には沢山ありますね。古民家なんてそうですね。昔殿様や貴族が住んでいたような国宝級ではなくて、『なんてことない、古い民家』ですからね。綺麗な欄間も、細工を施した床の間もなくて、丈夫が取り柄の太い柱が組み合わさって、囲炉裏の煙で燻られて黒くなっていて。
でもそれが良いんですね。老犬はそんなイメージです。
この記事はこんな方に:老犬(シニア犬)と暮らしている|愛犬が闘病中、または介護中|愛犬が亡くなってしまった|他の飼い主さんのことが知りたい|皆さんの頑張りをみて、元気をもらいたい
No.16は、哲さん
前回の記事で、私がお手本にさせていただいている方がいると書きました。その方が今日最初にご紹介する、No.16の晢さんの飼い主、晢ママさんです。
実をいうと私は、老犬アルバムをスタートしてから、ずっと哲さんをお誘いしたいと密かに思っていたのです。しかし私からすると恐れ多くて、なかなかお誘いができませんでした。
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哲さんは、#秘密結社老犬倶楽部 の一員。哲ママさんの固定ツイートにはこう書かれていました。
「天国支部にお引越しになりましたワン。お空の上から皆さんを応援してますワンね」
そして #秘密結社老犬倶楽部 と共に、#秘密結社老犬倶楽部天国支部 のハッシュタグが添えられていました。
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ツイッター歴が短かった私は、哲さんが天国支部に異動される前のことを知りません。しかし哲ママさんが、哲さんがそばにいらっしゃったときと変わらず、今も哲さんにたっぷりの愛情を注がれていることだけは、はっきりと分かりました。
私も経験者だからわかります。今そこにいないというだけで、愛犬はいつまでも可愛いものなのです。それをはっきりと感じさせてくださるのが、哲ママさんでした。
「こんな風にさりげなく、飼い主さんと老犬さんをねぎらうことが出来たらいいな」
そう思うようになり、哲ママさんは私のお手本になったのです。
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私は意を決して、哲ママさんにDMをしました。
ママさんからのお返事はすぐに帰ってきました。
「お声をかけていただいてありがとうございます。是非参加させてください」
とても嬉しかったです。
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続けて送っていただいた哲さんの写真がまた良くて、まさに慈愛に満ちたという言葉がしっくりとくるような、なんとも言えない表情でした。ご家族からの愛情を一身に受け、時を刻んできたのが伝わってくるようなお顔。
「巣を落とされたツバメのヒナ、道路を渡りきれなかったミミズ、飼い主が助けてあげるまで立ち止まって動かなかった晢くんは、本能的に命の尊さを理解していたのかもしれません。誰も傷つけない優しい子でしたね」
この言葉からも、晢さんがどれだ優しい子だったのかがうかがえます。それは飼い主さんであるママさんの優しさが、きっと晢さんに伝わっていたからなのでしょうね。
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お手本の哲ママさんが、老犬アルバムに参加してくださったことで、私もようやく本当に #秘密結社老犬倶楽部 の一員になれたような気がしました。
そして思ったのです。
「晢ママさんのようにはいかなくても、私なりのやり方で気持ちを込めて、老犬さんに接していこう」と。
私はお手本に恥ずかしくないようにやれているかな?
いつもそんな風に思っています。
No.17は、さくらさん
次に振り返るのは、No.17のさくらさん。ビーグル犬です。
さくらさんも前々回のまろんさんと同じく、ビーグルの歌詠みさんのお仲間で、ビーグル隊(勝手に私がそう命名しているのですが)の老犬さんでした。
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外飼いだったさくらさんは、歳を取ったこともあってお家の中で生活するようになったのだそうです。さくらさんが慣れないために、さくらママさんは色んな出来事に遭遇するのですが、その様子が良くツイートされていました。
ママさんは大変だったでしょうが、外から見るとそれがとても面白かったです。
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大きなお耳をパタパタとさせて尻尾をブンブンと振りながら「よいしょよいしょ」と、海の近くをお散歩する動画は、ビーグル犬の魅力満載でした。
元々外飼いだったからなのか、駐車場をグルグルと見回りするところも健気で、海に沈む夕日の画像も印象に残っています。
「素敵なところで暮らしているんだなぁ」
と羨ましく思えました。
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さくらママさんも、老犬アルバムへの参加を快諾してくださいました。さくらさんのツイートには、海の近くならではの、アカテガニが登場することもありました。
さくらさんが子犬の頃に、そのカニにちょっかいを出して、ハサミで挟まれたこともあるというエピソードを良く覚えています。
「やんちゃなビーグル犬らしさが出ていていいなぁ」
そうしみじみ感じたものでした。
No.18は、ハリーさん
No.18のハリーさんはラブラドールレトリーバー。
北海道に暮らしているハリーさんのツイートを最初に見かけたのは、いつだったでしょうか。ツイッターを始めてから、ラブラドールの飼い主さんたちとも仲良くしていただいていたので、その繋がりで、ハリーさんのツイートを見たのです。
雪の積もる道に、妹のミントさんとハリーさんが立っているツイートはとても印象的でした。ハリーさんは雪がよく似合うんですよね、北海道暮らしで雪に慣れているからなのでしょうか。
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14歳のハリーさん。ママさんにご連絡して老犬アルバムにお誘いしてみると、快く受け入れてくださいました。
ママさんから届いたハリーさんの写真は、プロが撮ったように綺麗なもの。
ハリーさんの向こう側に、ピンク色のボールが置いてあって、それが良いアクセントになっていました。
でもカードをにすると、折角のそのボールが切れてしまいます。そこで、職人気質の主宰が、ハリーさんにボールを近づけるように加工した、3パターンの画像を作ってくれました。
どの写真を使うかは、ママさんに選んでもらいました。
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これがその3枚
一番上がいただいた写真です
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ハリーさんのカードが老犬アルバムとして配信となった日の前日は、ハリーさん15歳のお誕生日でした。人間年齢を計算してみると、なんと15歳の大型犬は110歳。すごいですね。
そんなハリーさんの暮らす北海道は、4月下旬やっと桜が満開になったというツイートを、少し前に見かけました。それは遅い春の訪れを喜ぶものでした。
「ハリーさんも、のんびりと桜を見ているのかなぁ?」
そう思うと、あったかい気持ちになれました。
次は多頭飼いの飼い主さんでした
ハリーさんのカードを作っている頃のことです。
老犬アルバムにご応募いただくDMに届きました。多頭飼いをされている飼い主さんで、2匹の老犬さんをお願いしたいとこのこと。そのうちの1匹は、亡くなってしまわれたのだそうです。
もう1匹の子が、ずっと一緒にいた相棒を失って、寂しがっているんだという内容でした。
そのお話は次回にーー
――つづく――
文:樫村 慧
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――次話――
次話は、No.19のくろんさんの思い出から始まる4話です。
相棒犬の里子さんが亡くなってから、くろんさんは元気がないのだとか。だから、元気が出るようにと、飼い主さんから老毛アルバムの依頼がきました。
愛情あふれるメッセージが、とても素敵です。
――前話――
前話は、No.13の海(カイ)さんの思い出から始まる3話です。
海(カイ)さんは、笑顔が素敵なワンコ。
以前にママさんと、妊娠中の野良猫の保護の事でやりとりをしていました。
ママさんは動物皆に優しいんです。
この頃から、老犬アルバムは応援してくださる方が増えてきました。
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
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――この連載の1話目です――
第1話は老犬アルバムがスタートした経緯をお知らせします。
老犬アルバムのスタートは、一匹の大型犬、タフィさんが旅立った時の飼い主さんの言葉がきっかけです。「大きくて優しい子、ありがとう、大好き」その一言が忘れられませんでした。どうしてもそれを、何かの形に残そうとカードを作りました。
大きくて優しい子が、老犬アルバムを作ったんです。
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老犬アルバムのご応募方法はこちらです
老犬アルバムに必要なのは、下記の6つの情報だけです。
①愛犬の名前
②愛犬の年齢(~カ月まで分かると尚良し)
③飼い主の名前(~ママとか、ハンドルネーム)
④小型犬、中型犬、大型犬の区別
※人間年齢を換算するために必要です。
※超大型犬は大型犬、超小型犬は小型犬で換算します。
⑤愛犬への一言、または、愛犬からの一言
⑥お気に入りの写真1枚
下記(担当:樫村慧)にDMをお送りください。
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老犬アルバムと老猫アルバム
老犬アルバムはここからスタートしました。
長老のハリー君は2019年6月20日に17歳の誕生日を迎えて、人間年齢124歳です。
でも、犬は何歳になっても子犬のようです。
老犬アルバムは51匹目からVol.2に突入しました。
開始当初は51匹は遠い未来でしたが、沢山のご応募のお陰です。
犬は子犬や、成犬の頃には見せなかった姿を、老犬になってみせたりしますね。
毎日が新しい発見です。
老犬アルバムは101匹目からVol.3です。
飼い主が家に帰っても、ずっと寝たまま。若い頃はお迎えにきたのにね。
しかし、その寝姿がまた愛おしく感じます。
時々頑固者になるのは、人間と同じですね。
老犬アルバムの猫版。老猫アルバムです。
犬と猫の違い-――、猫歳をとっても見た目が変わらないので、絵にかいたような老猫というのがいないんですね。飼い主さんの心の中で、この子も歳をとったなあと思ったときが老猫。老犬よりもカードの数は少ないのですが、どの子も飼い主さんの愛情いっぱいです。
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