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【まとめ】老犬アルバムの思い出 ① ~開始前夜と老犬への想い~【老犬と生きる】

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老犬アルバムの思い出 老犬と生きる
老犬アルバムの思い出

Review
カテゴリー:エッセイ
作者:樫村 慧

老犬が大好きだ。
ゆっくりと、時にノロノロと、ヨロヨロと歩く老犬を愛おしいと思う。
しかし、はじめからそうだったわけではない。

自分で犬を飼いはじめた時、老犬の可愛さは分からなかった。目の前のいたずら盛りの子犬のことで精一杯で。散歩のお供で疲れ果てた。
やがてその子は7歳になって、世の中では老犬の部類に入るようになってもまだまだ元気で、そのときもまだ、周囲にいる老犬の存在は、ほとんど意識をすることもなかった。

10歳を過ぎてからだろうか。当たり前のことが、1つずつできなくなっていった。
愛犬が歳をとったことを実感した。
若くて、活き活きしていた愛犬を思い出して、少し悲しくなった。

しかし――
悲しいと思ったのはほんのわずかの間だった。それは愛犬の本当の可愛さに気が付く入り口だったんだ。愛犬はますます可愛くなっていった。それと同時に、よその老犬まで可愛くなっていった。

老犬ってそういうことなのかと、気が付いた。

――本話は――
『老犬アルバムの思い出』の1話~5話をまとめたものです。

【目次】

 老犬アルバムの思い出 1話~5話

1話|きっかけはタフィさん、もなかさん

樫村慧さんが、カードの思い出を1匹ずつ綴ります。
今回は、老犬アルバムが生まれた理由。
『大きくて優しい子、ありがとう、大好き』
大好きだった子が亡くなったとき、飼い主さんの一言に心を奪われて、
カードを作ったのが始まり。

1話 - 追記

このときはまだ、老犬アルバムではありませんでした。
老犬アルバムに発展するとも思っていませんでした。
ただ、その一言に、どうしようもなく、涙がポロポロと流れました。
その前からも、折に触れてカードは作っていました。
そのカードもこの記事に掲載をしています。
どれも懐かしいカードです。

2話|最初のカードはハリー君 
ハリー、ラフ

#秘密結社老犬倶楽部 ばかり見ていた私は、老犬さんを応援したいと思いはじめました。
でも、どうやって?
考えた末にできたのが、#老犬アルバム でした。
No.1は仲良しのハリー君です。
そしてお空組の愛犬ラフで、募集のツイートをしたのでした。

3話|かん太さん登場! 
かん太、テツ、ゆうすけ

最初のご応募はNo.3のかん太さんでした。
「お空組になり5年ですが……」
「いえいえ、大歓迎です」
老犬カードは、愛犬を懐かしむものではなくて、
今、新しい思い出を作る”体験”なのです。
この頃「老犬って何歳から?」という事も決まりました。

4話|ハルさんに登場していただいた 
ハル、鼻、チョコラッ

No.6のハルさんは、思い出深いです。
今老犬を飼っていない私が、老犬さんを応援していいの?
この頃は、#秘密結社老犬倶楽部 を使うのも躊躇して。
ハルさんのカードを作って、
「これでいいんだ」と思えるようになりました。
今は自信をもって――

5話|ぴい助さんとの出会い 
ぴい助、まろん、けんた、チャベス

No.9のぴい助さんは、病気で断脚して一生懸命頑張っていたワンコ。
段々3本の足で歩くのが上手になって、犬はすごいなあ――
それで、私からお誘いをしました。
No.10のまろんさん、No.11のけんたさんもそうでした。
お誘いは、今もドキドキです

 私にとっての老犬は

老犬のイメージ

皆さんは老犬というと、どういうイメージを持つだろうか?
私は老犬に、ポジティブな印象を持っている。

些細なことに動じることなく、どこか達観したところがあって、気を荒げることもせず、周囲に優しくて、しかし弱々しいわけではなくとても芯が強い。どうしても譲れないことに対しては、徹底的に頑固であり続ける。
足腰が弱ってヨロヨロ歩き、病気がちになって、時には寝たきりになっていても、その芯の強さは健在というか、そうなってからの方が、よりその強さを実感したりする。

私にとって『老犬』は、『老兵』という感覚に近いのかもしれない。
闘いの中で余分な角がとれていき、大事なところだけが残って、まん丸になって――
でも、まん丸というのはそれ以上にないほど強い。それが老犬。

老犬アルバムは、私にとっての老犬への思いそのものだ。
『うちの子の老いっぷりを見てやってくれ』
老犬アルバムのカードの裏には、もれなく飼い主さんのそんな言葉が添えられているような気がしている。老犬が誇り高いのと同じように、老犬の飼い主さんもまた誇り高いのだと思う。

私はそんな思いで、いつも老犬アルバムを配信する。
「さあ、皆に見てもらっておいで」
まるで自分が飼い主になったような気分で、誇らしい思いを込めて送信ボタンを押すのだ。

老犬を意識しはじめたのは

私が『老犬』という言葉を意識するようになったのはいつだろう?

今は『老犬』という言葉を耳にするだけで、或いは口にするだけで、よろよろと歩く平和で温和で、しかし頑固な犬たちの姿が脳裏に浮かぶ。
そうなったのはいったいいつから?

以前はそうではなかった。『老犬』というのは単語の1つでしかなく、何の情景も浮かばなかったし、何の感慨も湧いてこなかった。

きっとあれはうちの愛犬、ゴールデンレトリバーのラフが歳をとって、金色の毛が白くなり始めてからだ。「この子も歳をとったのだ」と感じてから、うっすらと『老犬』を実感しはじめたような気がする。

我が家の場合は

またうちの愛犬ラフのことについて触れたいと思う。
一般的に言うと大型犬は老化が早い。ゴールデンレトリバーの場合はどうかというと、7歳くらいから顔だけが白くなって、柔和になってく。

犬は近年急速に長寿になった。昔の7歳は老犬だったが、今は平均的に言えば7歳は壮年か中年くらいだろうか? だから年齢は感じるのだが、まだ老化という実感はそれほどない。老化を身につまされるのは、もうちょっとたってからだ。

最初はそう感じたとしても、打ち消すことができる。
「いやいや、この子はまだまだ」と。
実際にラフは、世の中で老犬と呼ばれる年になっても食欲旺盛だったし、散歩も大好きだった。どちらかというと、犬でもう一つ例えられる言葉、『永遠の三歳児』の方がイメージが近かったのだ。人間年齢を換算すると、もう自分をはるかに追い越しているのに、いつまでも『この子』なのである。

● 

永遠の三歳児から老犬へ

私の愛犬ラフは、いつから『永遠の三歳児』から、『老犬』に変わったのか?
それはラフが腎不全と診断され、余命が告知され、それが抗いようのないものだと知ってから、段々と私は変わったのだと思う。

受け入れよう。受け入れて残された命を楽しく過ごさせてやろうと思った。いつまでも受け入れずにいたら、残りの時間は有意義にはすごせないだろう。お互いに。

そこから私の心の中で、『老犬』は明確なイメージとなって、ラフの姿と重なっていったのだ。念のために言うが、『老犬』であることを意識するようになったが、それでも私はラフのお母さんの立場である。

飼い主=お母さん、お父さん
愛犬=子供

この構図はずっと変わらないのである。
敢えて言うならば、老犬は『歳をとった三歳児』なのだ。

● 

作:樫村 慧
 ▶ 作者の一言
 ▶ 樫村 慧:犬の記事 ご紹介
 ▶ 樫村 慧:猫の記事 ご紹介
 

――次回の老犬アルバムの思い出|まとめ――

次回は #老犬アルバム の6話~10話のまとめです。
段々とアルバムへのご応募が増えてきた時期です。

登場するのは、

No.13の海(カイ)さんから順に、(以下敬称略)チョコ、レイ、哲、さくら、ハリー、くろん、里子、北斗、ビー、ナルト、(猫の)ボス、アレサ、タクト、パズー、ゴンパチ

 老犬アルバムVol.4

 老猫アルバムVol.1

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ホームセンターで売れ残っていた、雄のゴールデン・レトリーバー。
このお話は、ラフと名付けられたその子と、それを飼う事になった一家の、絆を描いた実話です。
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そんなことを感じるお話です。

 

 

三峯神社は関東一のパワースポット。
狼が守護神の犬神信仰。狐憑きを、払ってくれるそうだ。
云われを聞くと、愛犬を連れて行きたくなる。

 

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