ピィ子の育児日記
子育てが始まった
先代犬のピーチーが旅立ったのは、2016年の3月28日のことでした。
それから3年と5カ月が過ぎて、我が家には新しい家族の、ピィ子がやってきました。
ピーチーで犬の一生をつぶさに見てきたつもりでしたが、また新しい子犬との生活が始まってみると、躾は18年前の経験など役に立たず、思うようにいかないことばかり。
つくづく飼い主と言うのは、いつまでたっても新米のままなのだと思い知らされます。
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とはいうものの、愚痴や弱音ばかり言っていても始まりません。
目の前にいるマイペースなお転婆娘に、きちんと躾をしなければ、平和で楽しい犬との生活はやってきません。なぜならばブルテリアと言う犬種は、部屋を1つ壊すくらいの破壊魔なのです。子犬の躾やすい時期を逃すわけにはいきません。
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我が家はピィ子をショードッグにするようなつもりはないので、それほど事細かく注文をつけるつもりはありません。しかしながら、一緒に楽しく暮らすために必要な最低限のことは覚えてもらわなくてはなりませんし、ひと様(人間や犬たち)に迷惑を掛けない子にもしなければなりません。
かくして、再びの新米飼い主の挑戦が始まったわけです。
ピィ子について
まずは、ピィ子についてお知らせしておきましょう。
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血統書登録名:ピーチー
生年月日:2019年6月28日
犬種:ミニチュア・ブルテリア
性別:メス
性格:陽気、細かいことは気にしない、頑固者、意固地
人見知り:全くなし
犬見知り:散歩していないので分からず
その他:大食い
要注意:顎が恐ろしく強い(犬の中ではチャンピオンと言われる)
痛みに強い:病院で注射されながら、尻尾を振る
水:とてもよく飲む
現時点で、守って欲しいこと
前述のように、ピィ子には絵にかいたようなお利口な犬になって欲しいのではありません。人様に迷惑をかけなければ、風貌通りの少々オトボケな犬で十分です。
今、ピィ子に望んでいるのは、下記の3点です。
②絶対に人も犬も噛まない
③待てが、いつでもどこでも、長時間できる
これ以外のことは、覚えてくれたらラッキーくらいで、大らかにいきます。
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因みに、なぜ上の3点を守らせたいのか――
①何より、一緒にいて楽チンです。
また闘病や介護のとき、災害時に、外でしか排泄できないと苦労しそうです。
②ブルテリアは本当に顎が強いので、子供の指くらい簡単にもっていきます。
大事故になると殺処分もあり得るので、絶対に人も犬も傷つけてはいけません。
③子犬の内に自制心を深く植え付けないと心配です。
②と同様にマナーというより、ピィ子の命に関わることと思っているのです。
ということで、これから3項目の躾の進捗をご報告していきます。
室内トイレへの挑戦
室内トイレのトレーニングは、躾本やネットの躾情報を見ると、幾つもの方式があります。ピーチーの時も幾つかためしたのですが、その時の結論からいうと、どれが正解というのは無いように思いました。
3日で覚えたとか、1週間で覚えたとかありますが、全ての子がそうではないように思います。沢山試して、根気強くうちの子に合う方法を探すしかないと思うのです。
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まずは手っ取り早く(上手くいくならこれが一番楽)
最初は、最も簡単な方法から試しました。といってもこれは、躾以前の方法です。
最近のトイレトレーには、下の写真のようにメッシュが付いていますね。
最初は何のために? と思ったのですが、ピィ子のブリーダーさんを紹介して下さったSさんによると、これは優れものだということです。ワンコがトイレシートを破いたりしないし、何よりも次のような素敵なアドバイスがありました。
「足裏が気持ち悪くないので、オシッコの場所を覚え易く、教えなくてもトイレを使い分ける子が多いです」
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素晴らしい。目からウロコ!!
――と思って早速使ってみました。
シートにオシッコに匂いをつけてから、メッシュの下にセット。しかしピィ子はこの上でくつろぐだけで、何も起きません。トレーの外でオシッコをして、メッシュに戻ってきて、またくつろぐだけです。
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そのうちに、問題点にも気が付きました。メッシュ越しだと、オシッコをしても気が付かないので、上手くいってもタイミングよく褒めてやることができないのです。
で、この方法はピィ子には向かないと判断。
早々にメッシュは取り外してしまいました。
次は定番の方法(サークル内にシートを敷き詰める)
次に試したのはこれ。
サークル内にシートを敷き詰めました。
この方法は、最初の内は偶然に頼り、トレイの枠内で運よくしてくれたときに褒めちぎるというやつ。
(似た方法では、トレイを置かないでシートだけで行うタイプも、部屋内に沢山シートを置くタイプもあります)
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この方法はピーチーのときに全然ダメだったので、期待していなかったのですが、駄目元で試しました。しかし、やっぱりダメ。
ピィ子はサークル内の色々なところでオシッコをして、時にはトレーの枠内でもしているのですが、そのタイミングに遭遇しませんでした。褒めるのならばその行動の瞬間にやらないといけないのですが、ずっと監視をしている訳にはいきません。
時間のある飼い主さんには良いと思うのですが、うちの家庭事情にはマッチしません。
定番の方法のカスタマイズ(足の感触を変えて見る)
次に試したのは、全面に敷くのではなく、トレイの枠内にだけトイレシートを残しました。全体を同じ触感にするよりも、良いも悪いもトイレだけ触感が違う方が、まだましという判断です。
結論からいうと、これもダメでした。
しかし、枠外でオシッコをしてしまったときに、こっちの方が片付けが楽でした。それに成功と失敗が、すぐに目視できるようになりました。
そこで、この方法を工夫していくことにしました。
定番の方法を更にカスタマイズ(トレーの場所を変える)
次はこれまで最もオシッコをしやすい(沢山失敗してきた)場所に、トイレトレーを移動してみました。サークルの左奥がその場所です。
ピィ子が何故そこで用を足すのか理由が分からないので、場当たり的な対応なのですが、駄目元です。
しかし、場所を変えると枠内を捉える確率が上がり、それを目撃する回数も増えました。多くの躾情報では、トレイでオシッコをしたらご褒美でサークルから出して、そこでもっともっと褒めてやると効果的だそうです。
やってみると、ピィ子は大喜びでした。「これはいけるぞ」と思ったのですが、その手応えも束の間でした。褒められたピィ子はあまりの嬉しさに興奮してしまい、サークルの外で嬉ション(ウレション)をしてしまったのです。
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嬉ションはピーチーもよくやりました。どうやらテンションが上がりやすいブルテリアには、褒めすぎは逆効果のようです。
ということで、それからは、ほどほどに褒めるようにしました。
という感じで、まだまだ工夫の最中です。
続きは次回の記事で。
甘噛みの矯正(甘噛みをやめさせる)
これはピーチーでもやったので、意外に簡単です。
既に効果が出て来ていて、本当に甘噛み程度で、強く噛むことはなくなりました。
僅か3日なので、良い傾向です。
やり方は簡単です。甘噛みをしてきたら、指を喉の奥に突っ込んでやるのです。
オエッとなるまでやります。
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こんな風に喉の奥まで
オエッ
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この状態で更に強く噛んで来たら、指を引こうとしてはいません。もっと奥まで指を入れて、苦しくなって自分で口を開けるまでやります。痛くても我慢です。
これは、幼犬の時しかできませんので、今を逃すわけにはいきません。
なぜ幼犬のしかできないかというと、顎の力がまだ強くないし、乳歯だから本噛みされても、「痛い」ですむからです。成犬になってからやると、指の骨が砕かれてしまいます。
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写真には写りませんが、今筆者の両手は傷だらけです。乳歯は猫の牙のように細くとがっているので小さな傷がたくさんついてしまうのです。微妙に腫れるので痛痒くて、石鹸で手を洗うとしみます。しばらくは仕方がないでしょう。
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噛み方がひどい時には指を入れるだけでなく、更にひっくり返して上に乗り、マズル強くをつかんでやります。タイミングが悪いと効果が無いので、躊躇せずにやります。
尚、これは虐待ではなくトレーニングなのでご心配なく。
本人は目を合わせないように反省をしますが、3分もすると忘れます。ピーチーの時も同じでした。
(これは大らかなブルテリアだから出来ることなのかもしれません、他の犬種でやる場合にはご注意を)
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甘噛み、噛み癖の躾だけは、何を置いても徹底的にやるつもりです。
誰かを噛んでからでは遅いですからね。
今のピィ子は、甘噛みもある程度の強さを過ぎると、自分で口を離すことが多くなりました。今の感触としては、すぐに覚えてくれそうな気がしています。
待てのトレーニング
待てをさせるためには、まずは座れか、伏せを教えないといけません。
伏せはピーチーで苦労したので、まずは座れを教えて、次に待てを教えることにしました。
ネットの躾情報には、”座れ”は簡単そうに書いてありますが、ピィ子は大変です。
とにかくテンションが高いので、おやつで釣っての座れができないのです。
おやつの匂いがするだけで、もう2本脚で歩きそうな勢いで伸びあがります。
ピィ子とは、座れも根気くらべですね。
一応、座れのポーズはできるようになってきました。
待ても少しの時間(数秒ならば)ならばできます。
でも、まだまだです。
――ピィ子の育児日記――
文:高栖匡躬
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――次話――
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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我が家がピーチーを迎えたときのこと
偶然に手に入れたマンション。
引っ越してからわかったのですが、なんとそのマンションは、当時にしては珍しい、ペット可の物件でした。
マンションがペット可とだ気が付いたのですが、すぐに犬を飼おうとはなりません。命を預かるのですから覚悟が大事です。最後まで面倒が見られるかな?
――まだまだ迷いがありました。
ペットショップからの電話で、予約していたアイパンチのブルテリアがお店に来たことを知った筆者。あまりにも突然で、心の準備がまるでありませんでした。
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犬を飼うということ
『犬を飼うということ』は当サイトのサイト名。
沢山の意味を込めた名です。同名のTV番組が有名なのですが、それはそれ。
出会いから別れ、喜びも悲しみも、全部詰まっている言葉ですね。
その昔、谷口ジロー氏の『犬を飼う』のように、犬を愛そうと思っていました。
そしてピーチーがきました。
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もう一度、犬を飼うということ
愛犬ピーチーが去って、3年。
少しだけ寂しいけれど、その寂しさを楽しむ毎日。
次の子は?
と考えなくもないけれど、是非にという気持ちでもなくて――
そんな中で、1枚の写真が送られてきました。