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【うっかり信ない】フードの常識、疑ってみよう(2/3)~ネットの記事は謎だらけ~

フードの常識って、本当なの?
フードの常識、疑ってみよう

撮影&文|高栖匡躬
 
こんな方に
愛犬のフード選びで悩んでいる|ネットの情報は信じられるのか?|色々な情報が氾濫していて、何を信じていいか分からない|プレミアムフードはそんなにいいの?|穀物は体に悪いの?|野菜は体に悪いの?|情報を俯瞰した解説が欲しい

 

【目次】

 4Dミートの記事が誘うミスリード

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ドッグフードの記事の多くで、避けるべきと言われるのが4Dミートと呼ばれるものです。4Dとは4つのDを指すそうです。

4つのD
DEAD(死亡した動物の肉)
DISEASED(病気だった動物の肉)
DYING(死にかけだった動物の肉)
DISABLED(障害があった動物の肉)

まずこの4Dミートという言葉ですが、農林水産省関連や、大学関係の発信情報では見つけることができませんでした。米国FDA(食品衛生局)の発信記事の中には確かに4D-meatという記述が幾つかありますので、妙な造語ではなさそうです。

これはただの推測ですが、アフィリエイト記事が海外ニュースから拾ってきたキーワードが、独り歩きをしてフードに関心を持つ人たちの間で、ある程度認知されたもののように思います。 

筆者自身は3年ほど前にはこの言葉を知りませんでしたし、身の回りにいる愛犬家も知りません。記事を書こうとしなければ、おそらく今も知らなかったのではないかと思います。

従ってこれから書くことは、ネット記事から読み取った推論を含むことになります。

まず4Dミートは元々、人間の食肉に関して生まれた言葉のようです。人間が食べるのに適切でない状態の4つのDが並び、肉のグレードの中で一番下という位置づけです。

しかしながら4Dミートは、人間が食べるのには適切でなくても、犬や猫がフードとして食べるには十分な栄養素が含まれています。だからこそ、捨てられずに利用されるわけです。

因みに、グレードという分け方をすると、正常な精肉処理の過程で大量にでてくる畜産副産物(皮、骨、内臓、油、羽など)と、4Dミートは、”人間の食用に適さない”という意味で、同じグレードに入ってしまいます。これが記事を混乱させる要因にもなっていると思います。

※もしもこの肉のグレードについてご存知の方がいらっしゃったら教えてください。
※該当する記事は幾つか見たのですが、情報の出所が明らかではありませんでした。

本来であれば、4Dミートの中にも格付けがあって然るべきと思います。
それは安全性という側面からです。

例えば下記のように、3段階くらいに分けるのはどうでしょう?

4D-A|犬や猫が食べる分には、安全性の面から全く問題が無い。
4D-B|犬や猫が食べる場合でも、一定の処理(加熱、殺菌)をする方が望ましい。
4D-C|犬や猫が食べるのに適さない

現在は上記の4D-Aも、4D-Cも、一緒にして4Dミートとして語られるので、解釈上の誤解が生じているわけです。

今の4Dミートの語られ方では、以下の2つのケースは、どちらも同じように4Dミートなのです。

① ウィルス性の伝染病でも遺伝性の疾患でもなく、出荷直前だった家畜が急死して、すぐにそれを回収業者に引き渡し、それがフードの原料に使われた。
これは合法

② 畜産業者が、家畜が死亡していることに何日も気付かないで放置し、腐敗が始まってしまった死体を、処分のために回収業者に引き渡し、それがフードの原料に使われた。
これは違法

よって4Dミートは、記事を書くライターのさじ加減で、安全なものにも危険なものにも書き分けられてしまうのです。

 

 巧妙化する誘導手段

因みに、ドッグフードのアフィリエイト記事(特定フードを推奨するために書かれた記事)は巧妙化してきています。

例えば筆者と同じように、ドッグフードに恣意的な記事が多いと感じた方は、『ドッグフード 怪しい』とか、『4Dミート 怪しい』という検索をすることでしょう。

実際に検索してみると、この種のアフィリエイト記事を、批判しているものがかなり多く表示されます。一瞬、問題意識があり、平衡感覚がある執筆者が多いのだなと思って安心するのですが、実はなんとこれが、仕組まれた巧妙さだったりします。

どういうことか?
記事の内容はアフィリエイトに批判的なものなのですが、実はこれを書いたのもアフィリエイターである場合もあるようです。同業者(自分以外のアフィリエイター)の記事を貶めておいて、自分が買わせたいフードに誘導するいう、巧みな手を使っているわけです。

この種の記事では最終的に、『こちらのフードならば安全』と、別のフードに誘導したり、『最初は疑ってみたけれど、調べてみたら実は安全だった』という結論に導くことが特徴です。

ドッグフードに限らず、推薦記事というものは何であれ、一定の割合で、それを鵜呑みにしない慎重派や、批判的な人たちが存在するものです。その層を狙い撃ちし、否定的な人たちまでをも取り込もうとする、商魂たくましい記事群が存在するというわけです。

巧妙だと思うのと同時に、そこまでやるのかと呆れます。

 

ヒューマングレードの罠

ドッグフードの記事の中には、ヒューマングレード、ヒューマンクオリティのような表現もよく見ます。人間が食べても安全なものだから、犬が食べても安全と言うことを言おうとしています。

筆者も個人的にはそれは概ね正しいと思っています。しかし、それを推奨記事にして公表して良いのかというと、甚だ疑問です。

人間と犬では代謝のシステムが違います。体の大きさも違います。人間が食べても良いものであっても、犬には不適切なものは沢山あるはずなのです。玉ねぎやチョコレートは誰もが知る代表的なものです。しかしそれ以外にも、まだ調査されていないものが膨大にあるはずです。

調査をするとしても、1回、2回食べて平気でも、1年、2年、あるいはそれ以上食べ続けると、内臓に蓄積される有害成分があるかもしれません。5年、10年ならもっとです。
例えば、グレインフリーのフードで良く使われるらしいレンズ豆などは、心臓疾患との因果関係が懸念されています。(これは次記事にて後述します)

因みに筆者の体験談を1つ。
筆者は数年前に、友人と犬用のドーナツを開発したことがありました。
衛生許可をとった専用のキッチンを作り、そこで人間でもなかなか使わない素材(グルテンの少ない小麦粉、アルミを含まないベーキングパウダー、酸化が遅い天然の油など)を使いました。塩も使いません。

結果的に人間の療養食にも使えるものになったのですが、残念ながらそれは、犬用の商品にはできませんでした。

犬には動物保護法の縛りがあって、常に同じ比率で原料を使わなければならず、全ての内容物(ごく微量の添加物も含め)をパッケージに記載しなければなりません。
その日の湿度や温度を見ながら、微妙に成分を調整するようなことが許されないのです。

つまり人間なら腕の良い料理人が、匠の技術と経験でやっている、美味しくする工夫などは、ペットフードではやってはいけないのですね。

● ● ●

余談ですが、もしもヒューマングレードの使い方が逆で、『ペットフードであっても、人間が常用食にしても大丈夫』と言う意味ならば、それはとても良いもののように思います。しかしそれを謳う場合は、人間が長期間食べても健康被害が無いことを証明する調査も必要だと思います。

1回2回食べても大丈夫と、長期間食べても大丈夫は、天と地の違いがあります。

 

 防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤は悪者なのか?

フードの記事は防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤についても、あまりよく書かれていないものが多いです。しかし、その考え方も行き過ぎるとどうかと思います。

確かに化学的な添加物が無い(少ない)方が、体には優しいのだと思います。
ですがそれは、フードを消費するのが早く、常に新しい(新鮮な)フードをペットに与えられる場合のみです。

例えば1Kg入りのフードの封を切って、1週間以内に使い切り、すぐにまた1Kgのフードの封を切るというような使い方をする場合に限られるわけです。

フードは平均寿命15年の犬や猫に、終生与え続けるものです。
理想的な状態での健康への配慮だけでなく、飼い主の経済的な事情や、飼育のために投じられる時間的な余裕も合わせて考えなければなりません。

そうでなければ、経済的にも時間的にも余裕のある方以外は、ペットを飼う資格なしという極端な結論に行きついてしまいます。

フードの劣化の中で最もイメージしやすいのは、ドライフードの酸化です。

フードは封を切った瞬間から更に酸化が進みます。1袋を1カ月で使い切るとした場合、30日目には、30日分酸化したフードを与えることになり、2ヵ月で使い切るなら60日分の酸化です。

この程度の酸化はやむなしとするのか、酸化防止剤の添加は有るものの、酸化を抑えたフードを与えた方が良いのかは、飼い主ごとの微妙な選択になるでしょう。

飼い主側の努力で、なるべくフードの酸化を抑えようとするならば、経済的な4Kgとか8Kg 入りの大袋にせず、割高でも1kg入りをこまめに買う方がいいですね。

ここまでは、消費者(飼い主)がフードを購入してからの劣化でご説明をしましたが、厳密にはフードの劣化は工場を出た時から、開封しない状態でも進んでいます。
もしも防腐剤、防カビ剤、酸化防止剤を使わないフードを購入する場合は、保存環境のしっかりした販売店、或いは良く売れていて商品の回転の早い販売店を選ぶべきでしょう。

 

 歴史あるフードは、時間の評価を受けている

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ドッグフードの中には、筆者が子供の頃から知っているブランドが幾つもあります。
どれも20年、30年と歴史があるフードです。日本で最初のドッグフード、『ビタワン』は、何と1960年に生まれているのです。

それが続いてきたということは、何を意味しているか?
消費者から支持を受けて、少なくとも製造、流通、販売のための費用を利益として上げているということです。そして何よりも大事なのが、長い年月の間、死亡や重大な疾患につながるが事故が起きていないということです。

アマゾンの口コミなど、ネットを検索すれば、製品の評価を知る手段は最近は幾つもあります。しかし口コミの評価はどれも短期的なものです。犬の平均寿命は15年もあります。10年先に、或いは長生きをしてくれて20年先に、健康被害が出ることもあり得ます。食べ物の害は一気に現れるものばかりでなく、長期に蓄積するものも多いのです。

食べ物とは違うものですが、人間にとっての煙草の害を考えてみれば分かると思います。

ネット上には、愛犬の健康を謳ったドッグフードが山ほどあります。
しかし、その多くは、まだ歴史の浅いものです。
特に機能性を謳っているプレミアムフードは、ほんの数年前には名前さえ聞いたことが無いものばかりです。そのフードを食べ続けた犬が、10年後、20年後にどうなるかは、まだ誰も知らないのです。

古い方が優れていると言っているわけではありません。
ただ、歴史にさらされた上での安全性は、誰の目にも明らかなものです。

古いものを古臭いとこき下ろすのではなく、古さが証明する長期接取の安全性を、1つの機能として評価した方が、消費者にとっては選択肢が増えて良い事のように思います。

 

――フードの常識、疑ってみよう(2/3)つづく――

文:高栖匡躬
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 ▶ 高栖 匡躬:犬の記事 ご紹介
 ▶ 高栖 匡躬:猫の記事 ご紹介

――次話――

安いフードって悪いもの?
”安い”は、きちんとした機能じゃないの?
礼賛されてきたグレインフリーのプレミアムフードも、最近雲行きが怪しい。
なんと健康被害の疑いもある。
常識なんて変わるもの。

――前話――

ネット情報が伝えるフードの情報は、落ち着いて考えると矛盾だらけ。
一体何が正しいのか分からないですね。
常識として語られていることを、一つ一つ疑問点として取り上げてみます。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

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――前シリーズ記事の1話目です――

ネット上にはドッグフードの記事が沢山ありますね。
穀物は有害? 野菜は有害? 本当に?
全部真に受けたら、食べるものが無くなるんだけど。
記事が推薦するフードは、愛犬に良いものなのか?

 食べムラ・偏食に関するまとめ読み

~基礎・原因編~
愛犬の食事に関するトラブルの中は様々
用語の定義と、食べムラ・偏食に陥る原因をわかりやすくまとめました。
色々な原因で食べムラ・偏食は発生します。
まさかのときの準備のためにどうぞ。

~予防・対応編~
食べムラ・偏食の予防は、犬の一生を組み立てる長期的な意味があります。
一生食べる楽しみを残すために、今やることは?
そして、もしも起きてしまったら、どうやって対応したらいいのか?

~治療・まとめ編~
食欲不振の理由は様々ですが、過度な偏食に発展すると健康に影響があり、時に命を左右します。
飼い主さんの努力で改善できない場合は、医療としての対応が必要です。
投薬治療と、栄養療法を
――それと、食べないことの意義についても考えます。

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