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【花のアジソン病】突如発症した完治しない病気 ~花と風の闘病記(1/3)~【闘病のはじまり】

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花と風の闘病記:花のアジソン病 
花のアジソン病

撮影&文|karaage
 
この作品は

多頭飼いをしていた家族を、突然襲った愛犬の病気――
それは、とても深刻なものでした。
本話はその病気と向き合った家族のお話です。

愛犬、花と風を迎えてから、家族は楽しい日々を過ごしていました。
しかし、ある夏の日のこと――
いつも元気な花の体調が良くありません。
色々な検査の結果、花はアジソン病と診断されました。
この時、花は命に関わるほどの状態だったのです。

こんな方に:
愛犬がアジソン病を発症した|アジソン病って、どんな病気?|アジソン病の経過はどうなる?|愛犬が闘病中、または介護中|闘病について知りたい|他の飼い主さんはどう対応しているのか?

 

愛犬、花が家に来て3年が過ぎたころです――

我が家家族構成は ”花”と”風”と子供3人、それに私で、4人と2匹。家族の中心にはいつも花と風がいて、楽しい日々を送っていました。2匹が来てから兄妹喧嘩もすっかりなくなって、行ける時には家族皆で散歩に行きました。花も風も健康で、動物病院のお世話になることもほとんどありませんでした。

我が家にとっては楽しい日常が当り前で、そんな日々を、当たり前のように過ごしていたのです。

そんな夏の、ある日のことでした。

いつもは元気いっぱいの花が、どうも体調がよくありません。
「夏バテかな?」
下痢、嘔吐もあったので、安静にして、少し様子を見てみることに――

翌日のことです。
わずか1日の経っただけなのに、花はぐったりしていて動けません。私は慌てて、かかりつけの病院に駆け込みました。

 

医師は私から状況を聞くなり、すぐに色々な検査を始めました。
見るからにただ事ではない感じです。

検査結果が出るまでの時間は待合室で待機――、心配で仕方がありません。
やがて呼ばれて、また診察室へ。

「アジソン病だと思います」
と、医師は言いました。「アジソン病って?」今まで、聞いたこともない病名です。
すぐに点滴を始めるとのことで、慌ただしく看護師さんが用意を始めました。

医師は治療が始まると、病気について説明をしてくれました。

副腎皮質の機能低下で起きる、副腎皮質ホルモンの低下で起き、症状は血圧低下や震え。そして花にも見られた下痢や嘔吐など。
重症化すると『副腎クリーゼ』と呼ばれる状態になって……

とにかく――、初めて聞く言葉ばかりで、ほとんどの事が理解できませんでした。

私にもはっきり理解できたのは、アジソン病というのは難病で、ストレスと激しい運動がダメだと言う事と、薬にお金が掛かると言うことです。

花の点滴が終わるのを待つ私に、顔見知りの看護師さんが声を掛けてくれました。
「花ちゃん、久しぶりに来たと思ったら、エライ事になってびっくりしたよ!」
私はその言葉を聞いて、初めて事の重大さに気がづきました。

もう目の前が真っ暗になってしましました。どうしたらいいんだろうと――

 

点滴が終わると、花は大分楽になったようでした。しばらくそのまま様子を見てから、医師は「帰っても大丈夫でしょう」と言いました。そして付け加えるように、「激しい運動やストレスを感じさせないように、安静にしてください」ということと、「少しでも様子がおかしくなったらすぐに連れてきてください」と言ってくれました。

花には『フロリネフ』と言う飲み薬を出されて、私たちは帰路につきました。

後で聞いた話ですが、花はこの時、命に関わるほどの状態だったそうです。つまり『副腎クリーゼ』ということだと思われます。

家に帰った花は、家で安心したのか、病院にいるときよりも少し元気になりました。

私は病院でのことを子供たちに話したのですが、皆、泣き出してしまいました。詳しい事は分からなくても、大変な病気になってしまったと言うショックは、大きかったのだと思います。

 

幸いにも花は、危機を脱した後は、普通に生活ができました。家の中では走ったりボール遊びをしたりです。食欲もあって、療養食とかではなく、風と同じフードを食べていました。散歩もそれまで通りで、風と一緒です。

ただ、激しい運動はできないので、風が走りたがるときには、時は娘が一緒に走っていました。

当時はこのまま普通に暮らせるのかなと思ったのですが、そう甘くはありませんでした。花は通院で治療をしていたのですが、それが一筋縄ではいかなかったのです。
薬の量が上手く調節出来なくて、何回も危ない状態に――

元気にしてたのに急に、発作が起きるような感じでぐったちとするのです。最初ほどではありませんが、下痢、嘔吐もありました。

花はその都度、薬の量を少しづつ調節しながら、落ち着く処方量を探す感じでした。
『フロリネフ』には重大な副作用(肝炎、膵炎、糖尿病、緑内障など)を生じる可能性があるので、少しづつ様子を見ていくしかないのです。

量を増やして暫くは調子が良いのですが、何ヵ月かしたらまた具合悪くなっての繰り返しが続きました。ちゃんと量が合うのに1年弱かかったと記憶してます。

治療費が高いことも悩みの種でした。月に2、3回病院に行き、1錠500円もする薬を、毎日3~4錠飲むのですからね。

そんなことを繰り返している間、風は花を気遣っているように見えました。走るのも我慢してたと思います。とても仲が良かったので、風には花が辛いのが分かったのだと思います。

 

花は更にその4年後に、尿結石になってしまいました。なぜそれが分かったかと言うと、花がオシッコをする時に声を出して痛がるようになったからです。血尿が出ており、石はけっこう大きいものでした。 

先生からは食事療法を勧められ、「粘土みたいな缶詰めしかない」と言われそれを食べさせるようになりました。フード名は覚えていないのですが、本当に粘土のようで、私は「先生上手いこと言うな」って思いました。

そのフードは見た目通りで、きっと美味しくなかったのでしょうね。花はあまり食べてくれませんでした。しかし、それ以外は食べさせないようにと言われたので、可哀そうでしたが仕方がありませんでした。

その後、病院を変わったのですが、そこでは別のドライフードや、違う種類の缶詰めもあると聞かされました。フードを変えたところ、花は喜んで食べてくれるようになりました。変えたフードは、ロイヤルカナンです。

 

悪いことは続くものです。それから花は、ひどい皮膚病になってしまいました。
医師からはアジソン病からの皮膚病と言われましたが、それが病気に起因するものなのか、服用していたフロリネフの副作用なのかは私には分かりません。

一応、フロリネフの副作用は下記となっています。

主な副作用(フロリネフ)

高ナトリウム血症、低カリウム血症、浮腫、満月様顔貌、悪心、嘔吐、腹部膨満感、過敏症、発疹、月経異常、下痢

重大な副作用(フロリネフ)

誘発感染症、感染症増悪、B型肝炎ウイルス増殖による肝炎、続発性副腎皮質機能不全、糖尿病、消化性潰瘍、膵炎、精神変調、うつ状態、痙攣、骨粗鬆症、大腿骨頭無菌性壊死、骨頭無菌性壊死、上腕骨頭無菌性壊死、ミオパシー、緑内障、後嚢白内障、眼内圧亢進、血栓症

上記以外の副作用(フロリネフ)

胃痛、胸やけ、口渇、食欲亢進、多幸症、不眠、頭痛、眩暈、筋肉痛、関節痛、野牛肩、窒素負平衡、脂肪肝、血圧上昇、低カリウム性アルカローシス、中心性漿液性網脈絡膜症、網膜障害、眼球突出、白血球増多、ざ瘡、多毛、脱毛、皮膚色素沈着、皮下溢血、紫斑、皮膚線条、皮膚そう痒、発汗異常、顔面紅斑、創傷治癒障害、皮膚菲薄化皮膚脆弱化、脂肪織炎、発熱、疲労感、息切れ、ステロイド腎症、体重増加、精子数増減、精子運動性増減

 

花は身体中に痒みがあり、そのせいでご飯も食べない状態でしたが、その時にお世話になってた先生には「どうしようもない」と言わるだけで、毎日辛そうにしてました。

しかし病院を変えてみたところ、そこにいらっしゃったスーパー看護師さんに「治します!」と言ってもらえました。その言葉通りに、花はマイクロバブルでシャンプーしてもらって、見違えるように良くなりました。

それからはご飯も食べるようになり、元気に生活できるようになりました。

その看護師さんには、後に風もお世話になり、更にずっと後で3匹目となる心(ここ)を迎えた時にもお世話になっています。私にとっては神様です。

それからは、花の病状は落ち着きました。

しかし、我が家の闘病はそれでは終わりませんでした。
今度は風が、変調をきたしてしまったのです。

 

――花と風の闘病記(1/3)・つづく――

作:karaage
    

――次話――

愛犬、花のアジソン病が落ち着いてきた頃。
今度は妹の風が体調を崩しました。嘔吐とフラつき――
病院で告げられた病名は、受け入れがたいものでした。
「風さんはリンパ腫です。余命は3ヶ月……」
帰り道、泣きながら自転車をこいだことを思い出します。

 

 花がうちにくるまで

本話の主人公、花さんを家に迎えるまでのお話です。

犬を飼おうと思ったことも無かった作者。
その作者を変えたのは、偶然に出会った散歩中のコーギーでした。
『世の中には、こんなに可愛い動物がいるの?』

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医師まかせにせず、とにかく情報を集めて分析する事です。
その中に、もしかすると答えがあるかもしれません。

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