ちの子がうちにくるまで|No.47
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くぅーたんは作者にとって、2匹目のワンコ。
先代犬を亡くしてペットロスだった作者は、たまたま娘さんと出かけた夏祭りで、トイプードル専門店を見つけました。
大きなサークルの中には一匹だけ、ブルブルと震えている見たことのない犬種の子がいました。
「抱っこして良いですか?」
そう娘さんが訊ねました。
チワマルを飼ってみたい|チワマルってどんな犬?|今まで犬を飼ったことがない|初めて飼うのが不安|皆さんどうやって飼うのを決めるの?|経験者の話が聞きたい
今日は我が家の愛犬、チワマルのくぅーたんのお話をさせてください。
皆さんは、チワマルはご存知ですか?
チワワとマルチーズから生まれた子です。分類するとしたらMIX犬なのですが、専門のブリーダーさんがいるほど人気のある犬種です。
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くぅーたんは我が家にとって、2匹目のワンコになります。
以前はシーズ犬を飼っていました。名前はBeちゃんという男の子で、やんちゃで人間が大好きな子でした。
Beちゃんが亡くなったのは、もう20年位前のこと。当時うちの娘ちゃんは、小学校6年生で12歳でした。
私は大好きだったBeちゃんを亡くして、ペットロスになりました。
犬のいない生活はとても寂しくて――
しかし、私はまた悲しい思いするのが嫌だったので、直ぐには次の子と言う気にはなりませんでした。
――2年が過ぎた、2006年――
娘ちゃんは14歳の中学生になっていて、私もその頃には、よううやくBeちゃんのことが良い思い出になってきていました。
そして、それはその年の、暑い真夏の夜のことでした。
確かあれは19時くらいだったでしょうか――
わたしたちは母娘で夏祭りにでかけました。それは大きな団地の商店街が、毎年催しているもので、露店が沢山出ていて、盆踊りもやっていて、いつも大勢の人出で賑わいます。
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二人はかき氷を食べて、お祭りを見て歩いていたのですが、その最中にたまたまペットショップを見つけました。トイプードルの専門店です。
「中を覗いてみたい」
と、娘ちゃんが言いました。
娘ちゃんは、以前からワンちゃんが飼いたいと言っていたのですが、ずっとペットロスだった私がどうにも気が進まずで、「いつかね」と言いながら、ずっと先延ばしにしていました。
「トイプードルか――」
実は私もちょっと心が動きました。Beちゃんの痛手を乗り越えられたなら、いつかトイプードルが飼いたいなと、内心で密かに考えていたからです。
お店に入ってみると、そこは良くイメージするようなペットショップと違い、ショーケースが無くて、大きなサークルが1つあるだけでした。そしてそのサークルの中には、20匹ほどのトイプードルがいました。まさにトイプードル専門店です。
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私はすぐに、可愛いトイプードルたちに目を奪われてしまいました。そして仔犬たちのしぐさに見入っていると、横にいた娘ちゃんが、「ママ」と私に声を掛けてきました。娘ちゃんが指さす先を見ると、そこにはトイプードルとは違う犬種がいて、サークルの端で震えています。
その佇まいがあまりにも弱々しいものでしたので、私は「この子は身体が弱い子なんだ」と思いました。
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お店の方によれば、その子はチワマルという犬種で、生後2ヶ月。私はこの時、初めてチワマルを知りました。ついでに、雑種犬をMIX犬とも言うのだということも、この時初めて知りました。
そのチワマルは、知り合いのブリーダーさんのところで売れ残ってしまって、頼みこまれて引き受けたのだそうです。
「抱っこして良いですか?」
と娘ちゃんが訊きくと、「どうぞサークルの中に入って抱っこして下さい」と言われました。そこで娘ちゃんはサークルの中に入って、その子を端っこから連れて、抱っこしてあげました。
そこで不思議なことが起きました。
あれほど震えていたその仔犬が、娘ちゃんが抱っこしたとたんに、ピタリと震えが止まったのです。
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娘ちゃんはその子を抱っこしたまま離そうとせず、やがて「この子はうちの子になりたがってるから家に連れて帰る」と言いだしました。どうやら一目惚れしてしまったようでした。
娘ちゃんは、私にも抱っこしてみろと、その仔犬を差し出しました。
私もその子を抱いてみました。
その毛はフワフワしてて、見た目以上に体は小さくて華奢な感じです。
その子は、私の手の中でも震えませんでした。そして私の目をジッと見ていて、まるで「僕を連れてって」と言ってるように感じました。
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私もまた、その子に一目ぼれをしてしまったのかもしれません。
すぐ目の前のサークルには、いつかは飼おうと思っていたトイプードルが20匹もいるというのに、私も娘ちゃんと同じように、「この子!」と思ってしまったのです。
「一生ちゃんと面倒みれるなら良いよ」
と、私は娘ちゃんに言いました。それは私自身への問いかけでもありました。
娘ちゃんは「絶対に私が面倒見るから、お願いだからうちの子にしてあげたい」と答えました。
娘ちゃんの意思を確認した私は、すぐにその場で決断し、その子を我が家に迎えることにしました。娘ちゃんはもう大喜びです。
その子は、ケーキを入れるような、取っ手の付いた小さな箱に入れられて、私たちに差し出されました。箱を抱えた娘ちゃんは、もうお祭りなんかそっちのけです。
私たちは、直ぐに家路につきました。
娘ちゃんは家に着くまで、仔犬がちゃんと息をしているのか心配で、ちょこちょこ箱を開けて覗きこんでいました。
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その日まで、私たちは犬を飼うなんて思っていませんでしたから、犬を飼う用意なんて何もしていません。サークルもバリケンなど、Beちゃんが使っていたものは、全て弟夫婦に譲ってしまって残っていませんし、買いに行こうにももう夜です。この日は諦めて、翌日に買い揃えることにしました。
仔犬の名前は、くぅーたんになりました。
最初は娘ちゃんが、漢字一文字にしたいといって、空と書いて”くぅ” と名付けたのですが、私がいつもくぅーたんと呼ぶのでそれに慣れてしまって、いつのまにか愛称のはずのくぅーたんが、名前のようになってしまいました。
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そのくぅーたんですが、家に着いてから直ぐに箱から出してあげたのに、何故か部屋の隅っこに行ってしまいました。ペットショップでの居場所が癖になっていたのかもしれません。何度も何度も隅っこから連れて来て、フワフワの大きなクッションの上に乗せてあげるのですが、また部屋の隅っこに行ってしまうのです。
仕方がないので、その日は私と娘ちゃんが交互に、朝までくうーたんの事を見てました。
結局、くぅーたんが慣れるのには、4日間位掛かってしまいました。
その後のくぅーたんですが、娘ちゃんは学校があるし、くぅーたんに掛かる費用を稼ぐ為のアルバイトもしてくれていたので、くぅーたんのお世話は、結局私がする事になりました。離乳食も私が作って、食べさせました。
14年間もそれが続いたものですから、くぅーたんは今では私が居ないと、ご飯もおやつも食べなくなってしまいました。私がトイレに入ると中まで付いて来るし、お風呂に入ると、お風呂場の前で待っています。私がなかなか出てこないと「くぅ〜wくぅ〜w」と泣いて、私のベットの上で戻ってくるのを待っています。
娘ちゃんは焼きもちを妬いていて、「結局ママがくぅーたんのお世話してたから、仕方ないのかなぁー」と寂しそうです。
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最後にくぅーたんの名前のことで、もう一つ付け加えておきます。
最近になって初めて知ったのですが、娘ちゃんがくぅーたんを、空と名付けたのには、実は深い理由があったのです。
「ママがいつの間にか、くぅーたんと呼ぶようになってしまったんだけど、本当はね……」
と言いながら、空の由来を教えてくれました。
娘ちゃんは、くぅーたんが将来虹の橋に行っても、空を見たら何時でもくぅーたんと一緒に居られるからと、願いを込めて空と名付けたのだそうです。
私はその話を娘ちゃんから聞いて、ビックリしてしまいました。
娘ちゃんはくぅーたんを迎える時に、「絶対に私が面倒見るから」と言ったけれど、そんな事まで考えてくれていたのですね。
思わず、涙してしまいました。
私は、くぅーたんをうちの子に迎えて、本当に良かったと思っています。
あんなに弱々しい仔犬だったのに、今では14歳の老犬さん。
こんなに長生きしてくれるなんて想像も付きませんでした。
くぅーたんは、我が家にとって家族の癒しです。
これからもくぅーたんを全力で守って、ずっとずっーと一緒に居られる様に頑張ります。
大切に大切なくぅーたん。
これからもずっとずっーと一緒だよ。
――くぅーたんがうちにくるまで|おしまい――
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――うちの子がうちにくるまで・次話――
出会いは突然でした。
1年前に飼い始めたぶん太で、トイプードルの魅力にはまってしまった私。おやつを買おうと入ったペットショップに、その子はいました。
レッドカラーの女の子。美人系でなくてかわいい系の――
私の心はもうメロメロでした。
――うちの子がうちにくるまで・前話――
犬を飼うことが子供時代からの夢でした。
主人を説得し、ようやく犬を飼えることに。
通い続けるペットショップには、ずっと売れ残っている犬がいました。いつも尻尾を振りながら――
「うちに来る?」
話しかけたのは、気まぐれではありませんでした。
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――うちの子がうちにくるまで、第1話です――
昔からいつかはワンを飼いたいと、ずっと夢見ていたんです。
でも、夢と現実の差はでっかいですよね。結局はずっと、実現できずじまい。
――そんな夢を叶えた飼い主さんのお話。
犬との出会いは運命に似ています。
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うちの子がうちに来るまで
一見屈強で男の中の男と言うイメージの作者。
しかし作者は、先代犬のバーディーを亡くし、毎日泣いて暮らしていました。
そんな作者に、新しい出会いの時がやってきます。
さて、新しい子は、どのようにやってきたのでしょう?
先代犬を亡くし、ペットロスだった飼い主。
しかし――、ある日のこと――
「家に帰ったら、子犬がいた」
さて、その犬とは?