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【癲癇|てんかん】だんだん慣れてきた3度目(6月1日) ~発作は嫌いよ(7/31)~

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ピーチーの闘病記:癲癇てんかん)編
ピーチーの癲癇闘病記

撮影&文|高栖 匡躬 (扉の写真は小さい頃のピーチー)
 
当時を振り返り

本話では、3度目の発作についてまとめています。

癲癇の大発作は症状が激しいために、何度それを見ても平静ではいられず、飼い主の心はざわつきます。とはいうものの、全く慣れないかと言うとそうでもありません。病気について知識を得ると、命にかかわるような重篤な発作は、そうあるものではないことが分かってくるからです。

我が家も3度目は、かなり冷静に発作の観察ができるようになっていました。

 当時のブログより

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※文体は執筆当時のままです。

3度目の癲癇(てんかん)発作は6月1日だった。

仕事で取引先の人と飲んで夜11時過ぎに帰宅。うちの奥さんがドタバタしていて、「どうしたの?」って聞いたら、「ピーチーがまた発作」だって。

一気に酔いがさめてしまった。

前回の発作から薬を飲んでいるし、もう1か月近く経って、効果が表れているはずだ。

なのに発作?
なぜ? 
薬が効いていない? 
それとも悪化したの?

僕が家についたときには、もうピーチーは意識が戻っていて、ウロウロと歩き回っていた。発作の後の徘徊で、典型的な症状なのだそうだが、印象としては、何か怖いものがやって来たので、警戒してパトロールしているように見えた。

犬に眉毛はないが、ピーチーの顔はなぜか眉毛が八の字に垂れているように、自信がなさそうだった。

気付け薬のアイスクリームをやって、少し自信を回復。
でも、また歩き始める。

発作の重さとしては前回ほどではなさそうだ。まずは様子を見て、何度も発作が来るようなら救急のDVMsに行くことにし、そうでなければ朝になって、かかり付けの『大倉山動物病院』に電話をして、指示を仰ぐことにする。

その後、小さな発作らしきものが1度来たように思えるが判然としない。
意識は失っていない。

――そして幸いにも、その日はその後、発作は無かった。

朝になって、主治医に電話を掛けた。答えは相変わらずで、「発作が治まっているなら、処置のしようがない」との事。しかし、相談の上、ゾニサミドを4分の1錠増やすことになった。

朝の薬を飲んで、眠ったピーチー。
このまま何もなければよいと願う。

しかし、夕方になってまた大発作。
今度のやつはひどい。今までで一番かも。

発作も度重なると、飼い主側も慣れたものだ。それで死ぬことはないと分かっているので、心には余裕がある。落ち着いて、iPhoneで動画を撮影。
これは、医師に見せるためだ。

5月の発作の時は、2人とも撮影をしていたはずなのだが、どちらの動画も僅か2秒ほどしか映っていなかった。動顛していたのだ。

確かに動画を撮影していると、客観的に様子を見られものだ。苦しんでいるピーチーには申し訳ないけれど。

(その時の動画は今でも僕のiPhoneに記録されている。ここに上げてもいいのだけれど、あまりにも生々しいのでやめておく。ご自宅のワンコで同じような症状で、どうしても見たいという方がいたら、メッセージをください。その方だけに見られるようにしたいと思います)

2人で手分けをして、手際よく病院に行く準備を整え、タクシーを呼ぶ。

病院での主治医の回答は、電話の時と同じで『発作が治まっているなら、処置のしようがありません。ご自宅で様子を見ましょう』

僕は前回のように食い下がった。
「先生、この子の発作は起き始めると、何度も来るし、間隔が縮まっていきますよね。この病院の診療時間はもうすぐ終わるし、夜になったらDVMsしかない。飼い主としては、手の打てない環境で、このままなんども発作が重積するのが怖いんです」

主治医は「それでは、今日一日お預かりしましょう」と言ってくれた。

怖いことがあった直後のピーチーを一人で置いていくのは心残りだったが、それが一番の選択だと思った。

その後病院でのピーチーは、発作が疑われる小さな変化はあったようだが、幸いにも大発作には見舞われなかった。

翌日、僕は外せない仕事があったので、うちの奥さんがピーチーを迎えに行って、散歩がてら30分掛けて家に帰ってきた。

以前のブログにも書いたが、しつけの取れてしまったピーチーは、家中をトイレにしながら、挙動不審の行動を繰り返した。

そういえば、僕が生まれて初めて、素足でウンチを踏みつける経験をしたのはこのころだ。うちの奥さんも一度その洗礼を受けた。

ピーチーには可愛そうだけれど、寝るのは当分、お風呂の脱衣所だ。
そして、一刻も早く一緒に寝られるように、またトイレのしつけをしなくては。

おまけ 
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若き日のピーチー
こんな日が来るなんて
14年前には思わなかったぞ、おい

 

――癲癇闘病記・発作は嫌いよ(7/31)つづく――

文:高栖匡躬
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――次話――

発作は嫌いよ|8/31

4度目の発作の頃には、飼い主として一通りの経験をして慣れていました。
しかし今度の発作は酷い。
あまりの興奮状態に、救急病院で鎮静剤の注射も打てないほど。
次第に悪化する病状を見て、これまで躊躇していたMRI検査を行おうと決断するのでした。

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――前話――

発作は嫌いよ|6/31

大発作の後で困ったことがもう一つ。
食いしん坊だったピーチーが、フードを食べなくなったこと。食欲はあるのに――
食事はバイタルに直結するので大問題。
しかし、何故それが起きたのか?
それは癲癇以外の病気でも容易に起きうる、負のスパイラルです。

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――この記事の初回です――

発作は嫌いよ|1/31

我が家の愛犬、ピーチーの癲癇闘病記です。
それはある日突然の発作からはじまりました。
予備知識もなく駆け込んだ救急病院。
発作は1回限りのものかもしれず、まずは様子見だそうです。
――僅かな希望
しかし、発作はその後も繰り返し襲ってきました。

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