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【癲癇|てんかん】愛犬が発作を起こした時のTips ~発作は嫌いよ(9/31)~

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ピーチーの闘病記:癲癇てんかん)編
ピーチーの癲癇闘病記

撮影&文|高栖 匡躬 (扉の写真は若いい頃のピーチー)
 
当時を振り返り

本話では愛犬が癲癇発作を起こした場合に、飼い主がとった方が良いと思われる行動をTipsとしてまとめました。

癲癇の発作で救急病院に駆け込むことや、その後の後遺症に不安になることなど、そうそう何度もあるものではありません。当時ネット検索で色々と調べましたが、通り一遍の医療記事がほとんどでしたが、それも当たり前で、この道のベテランという飼い主などいるわけがないのです。

本記事は自分の体験を、飼い主目線のままでまとめておこうと思って作成したものでした。

 当時のブログより

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※文体は執筆当時のままです。

愛犬が癲癇(てんかん)に罹って初めて知ったことだが、この病気の発症率は結構高くて、全ての犬の1%くらいあるらしい。つまり百匹のワンコのうちの1匹は、いつか癲癇になっちゃうということだ。

癲癇は症状が劇的なだけに、直面した飼い主の驚きようは半端ではない。
かく言う僕がそうでした。

だから、自信をもって皆さんに言います。
『あれは、驚くよ~』と。

皆さんの愛犬が、今はそうでなくても、下記のTipsを読んでみてください。
損はさせません(たぶん)。

 

 発作が起きた直後のこと

1.まずは慌てない。発作で死ぬことはない

・あまりにも症状が劇的なので、初めてだとまず間違いなく慌てるでしょう。
・僕も思ったことだけど、『うちの子が死んじゃう』と思います、きっと。
 それほどすごい。
・しかし大丈夫。だからまずは落ち着いて。

2.愛犬の口に手を入れたりしない

・よく言われるように舌を噛み切ることなどは無いので、ご安心を。
・ブルテリアのような顎の強い犬種だと、逆に手を噛み切られてしまう恐れあり。

3.まずは愛犬の観察を

・大体でよいので、時間を計るのは大事。
・医師からは、必ず何分くらいでしたかと聞かれます。
・当事者だと長く感じるんだよね、実際より。
・1分の発作は、永遠に感じます。

4.できれば動画を撮る

・記念のためではない。医師への説明のためです。
・これが一番伝えやすいし、何よりも撮っている側が冷静になれる。
・2度目からは動画が無くても医師には伝わるので、いつも撮る必要はなし。

5.発作が家族の布団の上だったら、床に移動させる

・大発作は失禁を伴います。布団の洗濯は大変なので、現実的な対処です。
・かわいそうですが、何度も布団を洗うことになると看護が嫌になってきます。

 

 病院に行くときはタクシーがお勧め

1.一人の時にはタクシーを

・発作中や発作直後は普通の状態ではあません。
・一人で自動車で連れて行くのは危ないです。
 (運転中に暴れたり、重積発作が起きるかもしれないからです)
・家族がいるなら一人が運転で、一人が抱いてと役割分担を。

2.事前に『愛犬を病院に連れて行くため』と伝える

・犬が苦手な運転手さんは結構います。
・電話でタクシーを呼ぶ際に、犬のことは伝えておきましょう。
・普通はケージに入れてくれと言われるますが、
 救急なので出来ないと言えば大丈夫です。
 (タオルでくるんで抱いていきますと言う)
・実際、足元がおぼつかないので、ケージで乗せるのは危ないです。

3.大判のタオルでくるみ、しっかりと抱く

・移動中にまた発作がくるかもしれないので、気を抜かないこと。

4.トイレシートを用意する

・移動中に発作が来ると失禁するので、そのための用心です。
・発作後はじたばた動くので、おむつはとてもできる状態ではありません。
・トイレシートを下半身にかぶせ、その上からタオルでくるみます。

 

 病院で気をつけること

1.言いたいことは言う。不安なら不安とはっきり言う。

・医師の言うことは始めからわかっています。
「発作は治まると、何もすることがありません」と……
・しかし、飼い主はそんな言葉を聞きたいわけではない。
・納得できるまで質問すればよいと思います。

2.発作の当日は預かってもらうと安心

・てんかんで一番怖いのは、発作が重積することです。
・医師は「てんかんで死ぬことは無い」と言いますが、重積したら死ぬこともあるし、脳には少なからずダメージがあります。
・家に連れて帰ると、重積したときにすぐに対処できないのです。
・ただし、夜間に無人になる病院では逆効果かもしれません。
 誰もいない病院で深夜に発作がおきたら、救急病院にも連れて行けなくなります。
・その場合は、診療時間一杯まで預かってもらうのが良いと思います。

 

 愛犬に起きる変化は

発作の程度(重度)にもよりますが、うちのピーチーの場合は下記のようなことが起きました。それぞれの対応と共にどうぞ。

1.視野が狭くなり色々な場所にぶつかる

・目が見えなくなる子もいるそうです。
・時間がたてば回復してきますので、ご安心を。
・回復までに数日はかかります。

2.徘徊する

・わけもなく、家の中をぐるぐるとまわります。
・時間は関係ありません。深夜もお構いなしです。
・時間がたてば回復してきますので、ご安心を。
・回復までは、大体1日くらいです。

3.しつけが取れる

・一番困るのがトイレ。
 座れ、伏せ、待ての3点セットももちろんできなくなります。
・これは、初めからもう一回教えるのだと覚悟するしかない。
・新しく覚えるのか、思い出すのか分からないけれど、何とかなります。
・元に戻るまでには、それなりに時間はかかります。
・諦めないように。きっと元に戻ります。
・新しい仔犬だと思って付き合う。それがコツ。

4.別の子になったような変化をすることも

・仔犬にもどったようになったり、好みが変わったりします。
・うちの子じゃなくなったな、と思うことも……
・これは元に戻るかどうかはわからない。
・それはそれで付き合っていくしかないなと覚悟しましょう。
 →ピーチーの場合、挙動不審ではあるものの、今はほぼ以前と同様。
・完全に戻らなくてもいいじゃない。と、軽く考えることが大事。
・悪いことばかりじゃない。
 今までに間違って覚えてしまったことも、リセットされるから。

 

 発作後に気を付けること

1.最初のトイレに気をつけてあげて

・しつけが取れている可能性があるからです。
 →その場合、トイレのトレーニングもやり直しだと考えたほうが良い。
・トイレを教え直すにしても、成犬は仔犬の頃ようにオシッコの頻度が高くはありません。僅かなチャンスと活かす必要があります。
・仔犬のトレーニングと一緒で、成功を褒めていると好循環が始まります。
・とにかく、最初の一回の成功をつかむまでが結構大変です。

2.ごはんの時間と薬の時間は分けてあげて

・てんかんの薬(ゾニサミド|コンセーブ)は、とんでもなく不味い模様。
・好物に挟むなどして一緒にあげると、好物の方まで嫌いになる場合がある。
 →美味しいご飯と、嫌な思い出を結びつけないように。
 →ピーチーは大好物のアイスでさえ、見たら逃げ出すようになりました。
・薬は薬、ごはんはごはんと、時間を分けて与える。
・不味い薬は投薬補助剤、ゼリーなどで飲ませる。
 →龍角散の『おくすり飲めたね』など、色々ある。

おくすり飲めたね
おくすり飲めたね
人間用で十分

 

 補足 癲癇を起こしやすい犬種

補足として、てんかん発作を起こしやすい犬種も調べてみました。

【癲癇(てんかん)発作を起こしやすい犬種】

ビーグル、ダックスフント、ジャーマンシェパード、コッカースパニエル、コリー、ゴールデンレトリバー、アイリッシュセッター、イングリッシュセッター、ラブラドールレトリバー、ミニチュアシュナイザー、プードル、セントバーナード、シベリアンハスキー、ボクサー、ワイヤーヘアード・テリア、紀州犬、セントバーナード、シャットランドシープドッグ など

 

● ● ●

Tipsはこんな感じです。
獣医ではないので、本文は動物医療の見地からのものではありません。
飼い主として実感したことを書きました。

おまけ 1

写真はついさきほどのピーチー
トイレでオシッコが出来たのを教えに来たので
おやつをあげたました

  

――癲癇闘病記・発作は嫌いよ(9/31)つづく――

文:高栖匡躬
 ▶プロフィール
 ▶ 作者の一言
 ▶ 高栖 匡躬:犬の記事 ご紹介
 ▶ 高栖 匡躬:猫の記事 ご紹介

――次話――

発作は嫌いよ|10/31

色々と迷った末に、ピーチーはMRI検査を受けることにしました。
高齢犬で麻酔のリスクがありましたが、それでも敢えて――
それは、治すための検査ではありません。
余命を知ることで、残りの犬生を豊かにできると考えたのです。

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――前話――

発作は嫌いよ|8/31

4度目の発作の頃には、飼い主として一通りの経験をして慣れていました。
しかし今度の発作は酷い。
あまりの興奮状態に、救急病院で鎮静剤の注射も打てないほど。
次第に悪化する病状を見て、これまで躊躇していたMRI検査を行おうと決断するのでした。

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――この記事の初回です――

発作は嫌いよ|1/31

我が家の愛犬、ピーチーの癲癇闘病記です。
それはある日突然の発作からはじまりました。
予備知識もなく駆け込んだ救急病院。
発作は1回限りのものかもしれず、まずは様子見だそうです。
――僅かな希望
しかし、発作はその後も繰り返し襲ってきました。

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