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【癲癇|てんかん】6月27日 MRI検査の結果は(前編) ~発作は嫌いよ(11/31)~

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ピーチーの闘病記:癲癇てんかん)編
ピーチーの癲癇闘病記

撮影&文|高栖 匡躬 (扉の写真は発病した頃のピーチー)
 
当時を振り返り

とうとうMRI検査の当日です。

当時はMRIの機材を持っている動物病院は、日本国内で幾つもありませんでした。
なので検査を受けるというだけで先端医療に分類されて、ものすごく大きなことが起きるような気分でした。当然ながら飼い主の側にも、それなりの覚悟が求められました。

今ではMRIを持つ病院はかなり増えましたので、検査自体には、この記事で書くほどの特別感はもう無いように思います。しかし、専門医とのやりとりはかなり参考になるのではないでしょうか。
因みにこの記事の2年ほど前には、動物用のCTスキャン装置も日本国内でたった2台しかありませんでした。今ではちょっとした街の獣医さんにもあるので、隔世の感があります。
動物医療の進歩は目覚ましいですね。

 当時のブログより

※文体は執筆当時のままです。

まずはMRI検査の結果が、結果的に僕と奥さんにとっては、一番良い結果の部類だったということをお知らせしたいと思います。ご心配をくださった方々、ピーチーを励ましてくださった方々に、深く感謝をいたします。

下記の文章は、ブログ向けのさらっとした文章ではなく、少々周りくどいものかもしれません。しかし、将来僕たちの経験が、少しでも誰かの参考になるように、敢て細かく書き留めておこうと思います。

 

 DVMsにて

予約を入れた10時の前に、DVMs(どうぶつ医療センター)に行くと、すでに待合室は、とても座る椅子がないほどの満員状態でした。2次診療、つまり主治医の手に負えなくなってしまった、難しい状態のワンちゃんと、その飼い主んがいかに多いのかが伺えます。

DVMsどうぶつ医療センター
DVMsどうぶつ医療センター

なかなか声がかからないので、外で待つことに

ご覧のように発作さえなければ
ピーチーは元気です

30分を優に超える時間を待たされて、ようやく診察室へ。
まずは問診で、脳神経化の獣医さんから、色々な質問を受けます。

最近の様子。
どこかおかしな行動はあるか。
発作の前兆はあるか。
発作の様子や時間など……

獣医さんからは、右目の反応がおかしいことが指摘されました。瞳孔は反応しているのに、ピーチー自信は目の前のものをよく認識できていない。これは目は正常なのに、脳がそれを認識していないか、目からの信号が脳のどこかでブロックされていることを指すのだそうです。

歩き方が最近おかしいという事にも、突っ込んだ質問が来ました。後ろ足が弱ってきて踏ん張りが利かなくなってきていること。歩行の際に、右前脚が外側から回り込むことなどについては特にです。

食欲が落ちていること。
遊ばなくなってきていること。
前よりも散歩に行きたがらないこと。

こちらからの回答を得る都度、獣医さんは何らかの確信を得ているように感じました。

――それは、飼い主にとって悪い予感です。 

最後に獣医さんはこういいました。

「症状を総合すると、脳の中に何かがあるというのは、まず間違いないでしょう」

こちらも事前に色々と調べていたのですが、脳に明らかな病変が予想され、しかも脳炎特有の発熱や痛みなどの症状が出ていないとなれば、統計的な割合的から言って、それは脳腫瘍を強く示唆することになります。

ここで僕も奥さんも、お互いに口には出さぬものの、ほぼ覚悟を決めたのでした。

ピーチーは処置室の中に連れて行かれました。まずは麻酔に耐えられるかとうかの事前検査をするのだそうです。

30分ほどして、診察室に呼ばれて事前検査の結果を聞きます。

血液検査の結果は良好であるものの、高齢であるということに加え、脳に病変があった場合には、麻酔から覚めないというリスクが底上げされるという説明がありました。

しかし、こちらは「お願いします」と言うしかありません。

診察室を出たとき僕は、「麻酔の前に、もう一度ピーチーに会いたかったな……」と、ぼそっと言いました。だって、もしもピーチーが麻酔から覚めなかったときは、処置室に連れて行かれたのが最後の別れになってしまうのですからね。せめて最後に頭をなでて、「頑張れよ」と言ってやりたかったなと……

「なんだ、さっき先生にそう言えばよかったのに」
と奥さんは言いました。でも、そこまですると、本当に最後の別れをするみたいになってしまいそうで、どうしても言い出せなかったんです。

でも、そこで小さな幸運がありました。

獣医さんが出てきて、「ピーチーの首輪がどうしても外れないのですが、いつもどうなさってるのですか?」との事。

ピーチーは生後3か月で行かせた警察犬の学校で使っていた、訓練用のチェーンを14年間愛用しています。当然それから成長していますし、しかもブルテリアはとりわけ頭がドデカイ。外すのは慣れた飼い主でも少しだけ時間がかかります。

結局もう一度診察室でピーチーと対面し、僕の奥さんがチェーンを外してやりました。そしてこれ幸いと、二人で思い切り頭と言わず、顔全体を撫でまわしました。ピーチーはポカーンとしていましたけどね。

「頑張れよ、ピーチー」もちろん、言葉も掛けてやりました。

MRIの検査自体は、始まれば30分ほどで済むのだそうですが、その後麻酔が覚めるまでしっかりとケアをしなければならない事と、麻酔後は癲癇(てんかん)の発作が出やすいので、経過観察も必要になるとの事。「結果が分かり、迎えに来ていただけるのは18時半以降になりますので、飼い主さんがご自宅で待機なさってください」

獣医さんの言葉に従い、僕たちは一旦家に帰ることにしました。最後に万が一の場合の緊急連絡先を聞かれ、「今日は必ず電話に出られるようにしてください」と言われたのが、妙にリアルでした。


長くなったので、一旦ここで区切って前半とします。
具体的な検査結果を含めて、続きは次回に。 

 

――癲癇闘病記・発作は嫌いよ(11/31)つづく――

文:高栖匡躬
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――次話――

発作は嫌いよ|12/31

無事に麻酔から覚めたピーチー。
いよいよMRI検査の結果を聞きます。
「脳には全く病変がありませんでした」
それが担当医の言葉。
――なぜ? 脳腫瘍が強く疑われたのに。
髄液にも異常なし。
まずは嬉しい――
しかし、本当の闘いはここからでした。

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――前話――

発作は嫌いよ|10/31

色々と迷った末に、ピーチーはMRI検査を受けることにしました。
高齢犬で麻酔のリスクがありましたが、それでも敢えて――
それは、治すための検査ではありません。
余命を知ることで、残りの犬生を豊かにできると考えたのです。

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――この記事の初回です――

発作は嫌いよ|1/31

我が家の愛犬、ピーチーの癲癇闘病記です。
それはある日突然の発作からはじまりました。
予備知識もなく駆け込んだ救急病院。
発作は1回限りのものかもしれず、まずは様子見だそうです。
――僅かな希望
しかし、発作はその後も繰り返し襲ってきました。

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