犬を飼うということ

Withdog 犬と飼い主の絆について

【ペットの死に備える】死後の変化 - 体験談 ~いつかの時の知識として~

【関連コンテンツ】

Mackの闘病記:死後の変化
f:id:masami_takasu:20180212171559j:plain

撮影&文|奥村 來未
 
この記事は

ペットの死は何度も経験するものではありません。犬猫の平均寿命は15年。一生のうちで5回経験すれば多い方でしょう。それはつまり、ペットの死後の姿を見る機会も少ないということです。本作はペットを看取った経験者が書き残した体験談です。

こんな方へ:
ペットが亡くなる前に、心の準備をしておきたい|家族にショックを与えないように、自分が先に知識を得ておきたい|経験者の話が聞きたい

 この記事を書く理由 ―心の準備―

2017年10月20日に、私は愛犬Mackを18歳で亡くしました。

その時に初めて経験した肉体の変化。
死後硬直しか知らなかった私は驚くことばかりで、そしてどう変化するのか全く知識のなかった私は心の準備なく目の前で変化していく愛犬を見なくてはいけなくなり、それは今思い出しても、胸が苦しくなるほどショッキングな現実でした。

今回は、少し生々しくなってしまうと思いますが、私が目の当たりにした死後の変化をここに記すことにします。

それで私と同じように、何の心の準備もなくその事実を見なくてはいけなくなる方が、一人でも減ればと思いながら。

【目次】

 亡くなった直後は

f:id:masami_takasu:20180212173646j:plain

呼吸が止まり心臓が止まると、みるみる体温が下がっていきます。
私はずっと亡くなった後も抱いていましたが、まるでコーヒーがみるみる冷めていくように、先程まで必死に生きていた体は冷たくなっていきました。

心停止から1時間ほどすると、すこしづつ身体が硬くなってきました。
硬直が始まったと思い、ずっと抱いていたかったのですが、ベッドに寝かせ、清拭や穴にガーゼを詰めるなどの処置を施しました。

2時間半ほどすると、まるで剥製のようにカチカチになってしまいました。
抱き上げると、まるで剥製のようですが、肺に残った空気が動いたようで、「ううっ」と喉が鳴りました。

 

 亡くなった翌朝は

f:id:masami_takasu:20180212173718j:plain

日が変わってもあまり眠れず、空が白んできた頃に眠りにつきましたが、二、三時間眠っただけで、目が覚めてしまいました。

朝日に照らされたMackの顔を見た瞬間、思わず小さな悲鳴をあげてしましました。
なんと、眼球が凹んでしまっていたのです。
空気が抜け、ベコベコになってしまったボールーーと表現したらいいでしょうか。
一番のMackのチャームポイントで、一番大好きだった眼球の変化に、大きなショックを受けました。

調べてみると、眼球の水分が蒸発してしまうことで起きる変化のようでした。
眼球の収縮は、一番大きい死後の変化で、それは火葬する直前まで止まることなく委縮し続けました。

 

 お昼には

f:id:masami_takasu:20180212174519j:plain

死後硬直は昼頃には緩和し、お腹は水風船のように柔らかくなってしまい、焦って介護職をしている母にどうしたらいいのか聞きました。
どうやら亡くなると内臓から痛むようで、私は母の指示通り保冷材をお腹の上に乗せました。

亡くなる直前まで低体温のMackの身体を湯たんぽで温め続けていたのに、翌日には保冷剤でお腹を冷やすという行為がとても寂しく辛く感じました。

金曜日23時に亡くなり、土曜日15時に火葬をしたので、安置したのは40時間程ですが、それまでの間にMackの身体はみるみる変化していきました。

 

 やっておいてよかった事

f:id:masami_takasu:20180212174610j:plain

斎場につき、褒められたことがありました。
それは、穴にガーゼを詰めていたことです。

斎場の人曰く、ガーゼを詰めて連れてくる人はあまりいないようなのです。
Mackは肛門と鼻にガーゼを詰めていきましたが、後で確認すると陰茎から膿のようなものが出ていたので、陰茎にもガーゼを詰めればよかったと思いました。

 

 やればよかったと思う事

f:id:masami_takasu:20180212174649j:plain

やはり、目を閉じてあげればよかったと思いました。
Mackは。目をパッチリ開いたまま亡くなりました。

亡くなった直後、何度も閉じようとしたのですが、抱っこしたいという気持ちを優先してしまい諦めてしまったのです。
硬直が始まって寝かせてからでも、しばらく何かで瞼をおさえるなり、どうにか閉じてあげればよかったと感じました。

 

 死は全てのペットに訪れるものです

f:id:masami_takasu:20180212174754j:plain

私は硬直と、その後に硬直が解けるという事しか知らなかったので、こうして変化するというのを目の当たりにして初めて知り、大きなショックを受けてしまいました。
また、私にもっと知識があれば、綺麗に旅立たせてあげられたのではないかとも思いました。

ペットと暮らす以上、いつかは訪れる避けられない別れの日。
その日その時あなたが立派なペットの”おくりびと”になれるように、その日やってあげたいこと・やらなくてはいけないことを事前に考えておき、頭のどこかにしまっておくのも大切な事なのかもしれません。

 

――了――

文:奥村 來未
 ▶ 作者の一言
 ▶ 奥村 來未:犬の記事のご紹介
 ▶ 奥村 來未:猫の記事のご紹介
  

 考えてみよう、ペットのお墓

愛犬や愛猫のお墓って、考えたことがありますか?
あるいは、今どうなさっていますか?
これはそんなことを考えた記事。

大切な愛犬いなくなって、気持ちが落ち着いてくると、次に気になるのがお墓ですね。
他人がどうでも、うちはうち。それでいいんじゃないかなあ。
我が家なりの送り方をしたんだから、その後だって我が家なり。 
そう思うのです。

まとめ読み|Mackの闘病記 ~膿皮症、前庭疾患、急性膵炎~
この記事は、まとめ読みでも読むことが出来ます。

同じ作者の記事です

老犬への思い――

この子は、うちに来て幸せだったんだろうか?
飼い主ならば、絶対に一度は考える事。

時には、
うちに来てさえいなければ――
うちでなかったら、こんな事には――
なんて、思いつめたりしてね。

自慢したくなる別れ
犬猫たちは、常に生きる事に一生懸命ですね。
闘病の際、ゆらゆら揺れ動く飼い主の心とは裏腹に、彼らはいつも前向きです。
だから我々は、彼らとの別れの時、
悲しみと同時に、別の感覚を覚えるのかもしれません。

きっとそれは――、やり切って去っていく者の爽やかさ。

ペットロスについて――

愛犬、愛猫を亡くすと、誰しも経験するのペットロス。
度合いはそれぞれで、掛けた愛情の大きさに比例するものでもありません。
ただ、少しばかり、人生感は影響しているようにも思います。
無常を受け入れる心――、とでもいうのでしょうか?

 

© 2017 Peachy All rights reserved.