犬を飼うということ

いつまでも君と……

【投薬】【食事】【療法食】食事と薬の切り分けは、飼い主の覚悟 ~闘病中は、大好物を守らなきゃ(後編)~

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撮影&文:高栖匡躬

前々回と前回記事では、筆者の体験談を元に、愛犬の好物を減らさないようにするには、好きなものと嫌いなものを繫げないようにしようという提案を書きました。

今回は、その為の具体的手段を書こうと思います。
既に実践をされている飼い主さんも多いかもしれません。
しかしながら、ネット上の記事には、間違った解釈をしている例も見かけます。

本記事では、その指摘も含めて書こうと思います。

ここれから記すのは、実際に我が家で試して、効果があったと思う方法。
しかし――、あんなに食いしん坊だったピーチー。食べ物のことで、苦労をすることになるなんて、思ってもみませんでしたよ。

 

方法1:嫌な事があった直後は、何も与えない
(厳格化)

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嫌な思い出と食べ物を結びつけないようにするには、嫌な事の直後に(もしくは直前に)何も与えないとようにするのが一番です。

以前の我が家の最大の失敗は、ピーチーが苦しいてんかんの発作に耐えたご褒美として、アイスクリームを与えたことでした。

こちらはピーチーを励ますつもり。でもピーチーは、発作に耐えた事へのご褒美だとは解釈せず、苦しい発作=アイスククリームと理解してしまったようです。

その反省を踏まえて、我が家では、てんかんの発作が起きた後は何も与えないことにしましした。
てんかんの大発作では、脳が糖を消費するらしいので、本当は足りなくなった糖の補給で甘いものをあげたいところなのですが、それをグッと我慢して、しばらくしてピーチーが完全に回復してからおやつを上げました。

同様に発作が起きた直後は、丁度そのタイミングがご飯の時間であったとしても、しばらくの間はご飯を出しません。

それは、ご飯の匂いと発作の記憶が結びつくのを避けるためでした。

 

 方法2:薬の時間は、嫌な時間で構わない
(覚悟)

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我が家ではかつては、薬は鶏肉などの包みやすい食材に入れて、ピーチーに食べさせていました。しかし最終的にはそれを止めました。

この方法はずっと上手くいっているのですが、それまでの事を考えると、いつその食材が嫌いになるか分かりません。それは簡単に言うとリスクでもあります。

ですからもう薬の時間=嫌な時間で構わないと割り切ることにしたのです。

薬の時間 = 嫌な時間 (それで良い)

はじめのうちは、口を開けさせて、薬を直接喉に落とす方法を取りました。しかしうまく行きませんでした。入れたつもりの薬が喉で溶けてしまって、口に逆流するという可哀そうなこともしばしばです。

実はここにはピーチーならではの、いえブルテリアならではの事情もありました。
本当ならば獣医さんがやるように、薬をつまんだ指を、喉の奥につっこみたいところです。しかし、もしも噛まれたらという恐れがありました。

子犬の頃からピーチーは、喉に手を入れても大丈夫なようにしつけてあるので、信頼はしているのですが、何分大嫌いな薬ですし、飲ませる数が普通と違います(多い時には10錠以上)。

そのうちにピーチーが錯乱して、ガブリという事もあり得ると思ったのです。

もしも噛まれたら、ブルテリアの顎の力はチャンピオン級。
ラム肉の骨をまるでカリン糖や、おせんべいのようにバリバリ噛み砕く子ですから、手に歯型が着く程度では済みません。

で、どうしたかというと、下の写真の『お薬レンジャー』、『おくすり飲めたね』などの投薬補助の登場となるわけです。これらは、服薬用ゼリーというカテゴリーに分類される商品で、薬をゼリーの中に浮かばせた状態で、口内に流し込むものです。

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白十字『おくすりレンジャー』
龍角散『おくすり飲めたね』

このゼリーを使う際にも工夫があります。
ピーチーのお尻が床に着くように、上半身が上になるように抱きかかえて(これが上の写真)、それから口を開けさせるのです。

こうすることで、行動からもご飯と薬を切り分けることができます。

ピーチーは薬の時間を察知すると、こっちをジト~ッとした目で見上げて、逃げ出そうとするのですが、ここはもう容赦なしです。

ここでゼリーに期待する機能は喉越しのみ。
例え嫌な臭いがしようが、不味かろうが、とにかく飲んでもらいます。

そしてもう一つ大事な事。
薬の時間と食事の時間は、なるべく30分はずらすようにしました。
忙しくて、できない時もありまが、嫌な思い出を切り離すには大切なことです。

 

 ここに気を付けて!
(食事と薬を切り離す場合の注意)

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ネットで見つけた記事の中には、食事と薬を分けると言う、筆者と同じ考え方も幾つか見受けました。しかし残念ながら、その幾つかは割り切りが甘いように感じました。なぜかというとそれらの情報では、食べ物を投薬補助食材として使っているからです。

ペースト状のもの。匂いが強いもの。味の付いたものなど、嗜好性食品がそれに当りますが、正直いってそれはあまりお薦めしません。

なぜかというと、それは飽くまで食品であって、将来の選択肢を先出ししているに過ぎないからです。

それらはもっと先、愛犬が介護の段階になってからの大切な選択肢でもあります。もしかするとそれは、愛犬が一生の最後に口にする食事になるかもしれないのです。

うちの愛犬ピーチーは、一生の一番最後に、一番大好物のウニを美味しそうに食べました。あの幸せそうな顔を、筆者は一生忘れる事はないでしょう。
それは一番の大好物をはっきりと認識して、最後まで使わなかったから出来たことだと思っています。

この、”最後まで使わない”事も、大変な忍耐と決意がいることなのです。

”うちの子の最後の食事は何になるのだろう?”
”うちの子の最後の食事は何をあげようか?”
どうかそんな思いも、しっかりと胸に刻んでいただけたら嬉しいです。

 

 方法3:食べない時には、食べられるものを探す
(割り切り)

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ここから先の話は、中編で少し触れた、健康な犬の ”食べムラ” に対するしつけと、少しポリシーが異なります。(ポリシー:食べなければ、食べるようにしつける)

闘病中はバイタルを高めるために、僅かでも良いので、口からものをたべさせた報が良いという側面があるからです。

闘病中の愛犬がいつも食べているフードを突然食べなくなった時、本当に飼い主は当惑します。しかし、無理に食べさせようとするのは止めた方が良いでしょう。もしかすると、そのフードを永遠に嫌いになってしまうかもしれません。

対応策を練るためには、まずは愛犬が食欲が無いのか、それともそのフードが嫌いなのかを見極める必要があります。

やり方は簡単です。犬の好物を与えてみればいいでしょう。
好物を食べないか、或いは、喜びもせずに取り敢えず口に入れたというのならば、食欲が無い可能性が高いです。

食欲が無い場合は、まずは元気があるかどうか? 次に熱はどうか?、水は飲むか? 異常行動はあるか? それらを早めに判断し、おかしいと思った場合は、すぐに病院に連れて行った方がいいでしょう。

闘病中の犬は、すでに通常と違う(健康な状態ではない)ことを考慮する必要があります。

大好物をいつものように大喜びで食べるなら、フードが嫌いになった可能性が高いです。食事制限の無い子であれば、動物病院で試供品のドッグフードをたくさんもらってきて、順番に試してみれば良いと思います。

ここではドッグフードの事を書きましたが、手作りフードを与えている飼い主さんの場合も基本的な考え方は同じです。

 

 食事制限がある場合の対応
(油分制限のケーススタディ)

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ピーチーのような療養食の子は、他に選択肢が乏しいので大変です。

制限されている成分(油分、塩分など)が様々なので、対応方法も千差万別と思われますので、下記にピーチーの対応を、ケーススタディとして記載しておきます。

ピーチーの場合は、食事に極端な油分制限がありました。

<p">幸いにもピーチーの場合は、白米と鶏肉は食べましたから、それを食べさせて時間稼ぎをしながら、急いで代わりのものを探しました。

まずは、使っていた療養食フード(スペシフィック『CRD-1』、ロイヤルカナン『消化器サポート(低脂肪)』)を、ピーチーが受け付けなくなりました。

そこで、その2つに代替できるドライフードを探しました。

唯一油分が低かったのが、ヒルズ『i/d Low Fat』でしたが、これは最初から受け付けませんでした。

次にウェットタイプを探しました。
みつけたのが、先のロイヤルカナン『消化器サポート(低脂肪)』のウェットです。
幸いにもこれは食べてくれました。同じ商品名でも、ウェットの方が嗜好性が高いようです。

結局落ち着いたのは、『消化器サポート(低脂肪)』のウェットとドライフードをミックスすることでした。

食べるという観点だけであれば、ウェットだけでも十分なのですが、それだとと食糧費が高くつくことと、入手がウェットよりも困難でした。

闘病の長期化を視野に入れると、コストと入手性は軽視することができません。


 Tips:フードをミックスする場合の工夫

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最後に、フードをミックスする場合(食べられるウェットフードに食べられないドライフードをミックスする場合)の、ちょっとしたコツを記しておきます。

まずはミックスの割合ですが、ウェットフードを基本にして、その中にドライフードを少し混ぜ込むようにします。

ドライフィードにウェットフードをトッピングする程度だと、折角食べてくれるウェットフードまで嫌いになるかもしれませんからご注意を。

そして完食したことを確認してから、段々とドライフードの割合を増やします。
こうやって、どれくらいの割合を食べてくれるのかを試していくのです。

● ● ●

以上が、我が家で実践した方法です。
皆さんの参考になれば幸いです。

――最後に――
「うちではこうしているよ」とか、「もっと良いやり方があるよ」という情報があればぜひ教えてください。実はこの種の情報は探しても、なかなか見つかしません。
なぜならこの種の情報の多くは、闘病記の中に細切れで書かれていているために整理されておらず、参考にならないケースが多いのです。

――次回は――

闘病中にどうやって大好物を守るのかが、本連載記事の主題でしたが、これらの内容は、方法3の冒頭で少し触れた、闘病中は僅かでも良いので、口からものをたべさせた方が良いという側面と、矛盾する部分もあります。

それは闘病する病気の重さや、闘病期のどこにあるかという時期的なものとも絡んでいます。

また、食べさせるとことが、必ずしも良い事では無いという時期や、食べない方が良い時期というものもあります。

次回以降ではこれらを読み解いて行きたいと思います。

 

――闘病中は、大好物を守らなきゃ(後編)・おしまい――

――別の連載に続きます――

(ライター)高栖匡躬

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