犬を飼うということ

Withdog 犬と飼い主の絆について

【凍結手術】低温のガスで、腫瘤を壊死させる治療法 ~老齢犬の治療に向いています~

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ここは『ハナちゃんの動物病院』(犬版)です。

今日は凍結手術のお話ですよ。

低温のガスを使って、体に出来た腫瘤(しゅりゅう)を壊死させて、取ってしまうんだって。麻酔がいらないから手軽だし、安全そう。
でも、ママはどんな判断をするのかな?

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撮影&文|ハナちゃんママ

 凍結手術は、メスを使わない手術

今日は、凍結療法ペンを使った凍結手術の話です。
小さなイボや腫瘤を治療する機械です。

大がかりな装置ではないペン型で、カートリッジでガスを噴出します。

 これがその機械

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実は、これデモ機です。
これで、ハナの小さなイボをとってみます。

凍結療法は、-89度の亜酸化窒素のガスで腫瘤を凍結して壊死させる治療です。
外科手術より、身体への侵襲性が少なく、痛みや出血も最小限に抑えられます。

侵襲 = 手術などで、生体を傷つけること

老齢犬の、体表の小さな腫瘤の治療には向いています。
まさしくハナ用ですね。

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右前足のイボ

 

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シューとガスを出して凍結します

 

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左ほほのイボ

 

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こちらもガスをシューっと

一度にきれいに壊死しなけれぼ追加で何度か繰り返します。
どんな感じの手ごたえかハナのイボで実験です。

――あれから、3日たちました――

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 ●

赤くなって炎症がおきているけど、腫瘤はまだしっかりしているので再処置

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もう一度、経過をみます。

良い手ごたえが得られれば購入を考えてみますが、、、、
どうしよう?

 

 術後の経過は?

この凍結手術のお話、どうなったのかはこちらの記事をご覧ください。
確かにメリットはあるのですが、そのメリットが大きいかどうかという判断になりますね。

 

 読者の方とのQ&A

■読者からの質問:
そんな手術もあるんですね。
ハナちゃん的には痛い治療ではないのでしょうか?
効果があって綺麗になるといいですね。
■ハナちゃんママからの回答:
-89度のガスですから、凍傷を起こさせますので、ちょっとピリピリとするかもしれません。
ただ、この手の処置は無麻酔でやるのが普通なので、それほどの痛みはないものと思います。

 ●

■読者からの質問:
ハナちゃん、がんばりましたね。
痛くはないんてすか?
そんな手術があるんですね。
まだまだ勉強不足です。
■ハナちゃんママからの回答:
液体窒素を使って、もっと大がかりな器具でやることが多いかもしれません。
これは、そのペン型のちょっとした処置用になります。
麻酔をかけて切り取るほどの腫瘤じゃない時に使います。

  ●

ハナちゃんママからアドバイス

今日、ご紹介した凍結手術の器具はペン型のものでしたので、本当に小さな腫瘤などの処置にむいています。もっと大きな腫瘍には、スタンダードタイプの大きな器具でないと無理かもしれません。

切開や縫合が必要ないので、治療のひとつの選択肢として使われます。

結局、ペン型ではものたりず、当院では導入はしませんでした。

【Withdogより】ここでご紹介したのは、病気を疑ってみる初歩的な知識です。もしもご家庭のワンちゃん、ネコちゃんに該当する症状があったら、すぐに動物病院を受診なさってください。

――いつもやさしい、ハナちゃんママの動物病院はこちら――
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日光どうぶつ病院

ハナちゃんママが獣医さんになった理由は?
ハナちゃんが看板犬になった理由は?

こちらをどうぞ
【獣医師が犬を飼うということ】ハナがうちにうちにくるまで

 ▶ハナちゃんママ:犬 の診察記のご紹介
 ▶ハナちゃんママ:猫 の診察記のご紹介

――次話――

【マダニ寄生】
危険な病気を媒介、要注意です

暖かくなってくると、ダニの被害が出始めますね。
特にマダニは、人獣共通伝染病を媒介するので怖いです。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、致死率10~30%とか。
都市部や市街地でも、無関係ではないそうです。

――前話――

【腸内寄生虫】【回虫】
小腸や大腸などの消化管の中に寄生します

腸内に不必要なものが棲みつくので、色んなことが起きます。
分かりやすいのは、折角摂取した栄養分を奪われること。当然、体調も悪くなります。
回虫などは、腸以外の臓器にも侵入していきます。恐いですね。

まとめ読み|【犬版】ハナちゃんの動物病院 ①
この記事は、まとめ読みでも読むことが出来ます。

 

――ハナちゃんの動物病院(犬)・初回の記事です――

【尿石症】
膀胱炎や、尿経路の結石による痛み

膀胱炎などの症状から、発覚します。
場合によっては手術が必要になり、命にかかわることもある怖い病気。
意外に多いし、予兆もあるので、気を付けてあげてください。

 ペットの闘病についてのヒント

セカンドオピニオンと二次診療

街の獣医師の技術と経験には大きな差があります。知識にも差があります。
なぜなら街の獣医師は、内科医であり、外科医であり、犬や猫だけでなく、ネズミも鳥も診察するのが役割です。病気ごとの専門医ではないのです。

セカンドオピニオンと二次診療は、街の獣医師の足りない部分を埋める、重要な手段と言えます。

 出典

※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。

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