数字が語る犬の闘病:人間よりも短い犬の一生

愛犬が病気になった時、私たち飼い主は戸惑います。重い病気の場合は尚更です。
動物病院に駆けこんで、一生懸命に病気のことを調べて、それでますます不安になってしまう。それが一般的な飼い主の、一般的な行動です。
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病気の子を抱えた飼い主は、孤独なものです。
多くの場合が、こう考えるようになります。
「こんな不幸は、私だけなのじゃないか?」
今回から3話連続で、闘病を数字で考えてみようと思います。
あなたは、本当に孤独なのでしょうか?
【目次】
私たちの周りには、どれほどの犬がいるか?
私たちの周りには、沢山の犬が暮らしています。朝早く、或いは夕方に、沢山の散歩中の犬とすれ違いうことからも、それを実感することができます。では、いったいどれだけの犬が私たちの身の回りに暮らしているのでしょうか。
一般社団法人 ジャパン ケンネル クラブによると、2016年度の犬の新規登録数は、なんと300,470頭にもなるそうです。
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2016年度は306,438頭
2015年度は301,605頭
2015年度は300,470頭
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また東京都福祉保健局の資料によれば、平成25年度の犬の登録数は6,737,992頭だそうです。総務省発表による日本の世帯数5,595万2,365世帯から計算すると、実に約8.3世帯につき1頭の犬が飼われている計算になります。
東京都福祉保健局
【全国及び東京都犬の登録頭数等(昭和60年度から平成25年度まで) 東京都福祉保健局】
【総務省|住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成26年1月1日現在)】
犬との暮らし - 実感するドッグイヤー
愛犬と過ごす毎日。それはとても素晴らしいものです。
世話の焼ける仔犬の頃、運動量の増える成犬、落ち着きを見せ始めるシニア犬。
その時々で、飼い主とその家族の心に、違う色の暖かい風が吹くことでしょう。
何しろ今や、8.3世帯に1世帯が、そんな幸せな日々を手に入れています。
我々の周囲には、犬との楽しい暮らしが、当然のように溢れていることになるのです。
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ですが――
残念ながら犬の寿命は人間ほどに長くはありません。
犬の平均寿命は近年飛躍的に伸び、諸説はあるものの、いまや平均14歳を越えて15歳に迫っているそうです。
しかしどんなに寿命が延びても、人間と比べれば遥かに短い一生です。
この短い時間を犬たちは全力で駆け抜けていくのです。
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いつまでも若く見えるのが犬達。永遠の3歳児とも言われます。
しかし、その犬の年齢を人間年齢に換算してみると、驚く方が多いでしょう。
子犬でうちにきたはずなのに、いつのまにか自分の年齢を追い越しているのです。
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犬の人間年齢は、こちらの記事をご覧になると一目瞭然です。
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避けられない運命 - 短い犬の一生
犬は人間と比べれば、一般的に抵抗力も回復力も高いので、動物病院のお世話になったとしても、大概が原因不明の下痢や嘔吐、食欲不振などが理由。対処的な薬剤の投与だけで、自然に回復していきます。
犬は体温が高い分、免疫力が高いのです。そしてその免疫力と引き換えに、命を早く燃やしていきます。犬というのは、元々が太く短く生きる動物なのです。
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その犬の15年の一生――
最後には必ず辛い別れが待ち受けており、その別れの手前には多くの場合、愛犬の闘病があり、終末期の介護があります。
犬を飼うと決めた瞬間から、それは飼い主にとって避けられない運命。
最後の一瞬まで、犬と暮らす歓びを感じ続けるためには、飼い主の心に覚悟が必要です。
最後の瞬間まで勇敢に病に立ち向かう犬達に、私たち飼い主はしっかりと応えてあげることができるでしょうか?
―― 数字が語る犬の闘病(1/3) つづく――
文:高栖匡躬
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――次話――
時間は時に無情であるけれど、実は優しいものでもある。
愛犬との別れを意識したとき、残された時間を知ることは、とても大事だと思う。
出来ることをやりきるために――、後悔しないために――
そして何より――、”その時間”を楽しむために。
今は、いい思い出を作っている最中。
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
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