ペットの闘病時の情報収集、検索方法を考える
本記事は姉妹サイトのWithcatで反響のあった記事(闘病時の情報収集仕方とそのコツについて書いたもの)をベースにしたものです。ご質問をいただいたことへの回答を中心に加筆をした上で、【犬版】としてWithdogにも公開したいと思います。
こんな方に:
ペットが病気になってしまった|情報を集めたいがその方法がわからない|検索した記事の質をどう判断すべきか|商品に誘導する記事が多いので信用できない
愛犬や愛猫が病気になったとき、皆さんはネット検索で情報を探しますよね。今日はその”検索”の話題です。
検索の仕方にはコツがあって、そのコツを知るのと知らないのとでは、得られる情報の質が大きく違ったりします。質の悪い情報は、役に立たないだけでなく、時にはマイナス方向に働いてしまいます。
(間違った知識を得てしまうという意味です)
【目次】
- ペットの闘病時の情報収集、検索方法を考える
- まずは、検索の実例を
- Step1 まずは「病名 犬」で検索
- ワードの順番も大切
- Step2 次に「病名 犬 特定条件」で検索
- Step3 実は「病名 犬 闘病」が本命であったりする
- 闘病記はとても役に立つ
- キーワード検索の罠1 - メジャーワードとマイナーワード
- キーワード検索の罠2 - 知りたい情報はマイナーワード
- マイナーワードの組み合わせで、良記事を選ぶには
- 最近のGoogle検索は
- 検索は無駄なく行いたい
- 追記:余談ですが検索結果の例を
- 検索で利用されやすい記事の例です――
まずは、検索の実例を
病気の情報は飼い主にとって切実です。
素早く、効率よく、求めている良い情報にたどりつきたいものです。
Withcatに愛猫ソーニャちゃんの、リンパ腫闘病記を掲載中の波多野都さんは、記事中で次のように語っています。
恐らく、皆さんが同じようなことをなさっていると思います。
筆者も初めはそうでした。
本記事では、検索を効率的に行う方法をお知らせしていきたいと思います。
尚、本記事で取り上げるのは、検索エンジンの中で最もメジャーな、Googleについてです。
Step1 まずは「病名 犬」で検索
最初は、スタンダードな 2ワード検索から行おう
愛犬の病気について調べる場合、まずは2ワードで検索するのが良いでしょう。
最初はに ”病名”を入れ、その次に”犬”を入力します。これは波多野さんと同じ手順です。
この方法で、まずは病気について一般的な知識を得ます。そして同時にその病気について、どのような記事が存在しているのかついての大まかな傾向を掴みます。
『病名 犬』で検索されるのは、基本的に良質な記事の場合が多いので、この段階で有益な情報がみつかることも良くあります。
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ここで注意したいのは、この2ワードの検索で出てくる情報は、これから先に色々な情報を読み分ける基準になるということです。
”病名”は、病気の検索をする際には、最重要のキーワードです。
”犬”は一般性の高い普通名詞。どちらも基本中の基本となるワード。
よって、この2つで検索されるのは大変に難しいことです。検索の最初の方に掲載されるものであれば、それは膨大な記事群の中で揉まれて選ばれたもの。
完全とは言えないまでも、信用に足る記事と判断できます。
ネット上には噓や間違いの情報が沢山溢れています。それを真に受けないようにしなければなりません。
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因みに筆者は、最初の3ページ(30件)まではまずまず信用し、5ページ(50件)までが許容範囲と考えています。皆さんご経験があると思いますが、ページが進むほど内容が、怪しくなっていくのです。
ワードの順番も大切
2ワード検索では、入力するワードの順番も結構大事です。
わが家のピーチーの例をとりましょう。
ピーチーは劇症肝炎に罹った際に、高度医療を受ける事で、辛くも命を救われています。ありがたいことに、その時の記事が、検索の1ページ目に表示されます。
ご面倒でなければ、試してみてください。「犬 劇症肝炎」と、「劇症肝炎 犬」では、表示される内容と順番が微妙に違います。これは検索エンジンの内部で、キーワードに重みづけをしているからです。
犬の劇症肝炎について調べようとしているのか、劇症肝炎の犬について調べようとしているのかという微妙な差ですが、言葉の組み合わせ次第では、全く違う結果が表示されることがあります。この理由は、後の方でもういちど例を示します。
順番を入れ替えても上位にくるか?
言うまでもありませんが、順番を入れ替えても上位に表示されるのが、本当に良い記事と言えます。なかなかそうはならないのですが。
Step2 次に「病名 犬 特定条件」で検索
詳細検索は3ワード検索で行なう
ここに3つ目のワードを足すことで、望む結果に近いものが出るはずです。
冒頭の波多野さんの例では、波多野さんは「リンパ腫 猫 余命」と入力例を示しましたが、3つ目のワードでは、他には以下のようなものがあります。
更に可能性を探るとすれば、下記のようなワードです。
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3ワードの検索で気を付けないといけないことがあります。
この方法では、ピンポイントで探している情報に行きつきやすいのですが、その半面で、2ワード検索程沢山は、良質な記事が無いのです。
筆者の場合は一応は5ページ目(50件)までは見ますが、2ページ目(20件)くらいまでしか内容に期待はしていません。
Step3 実は「病名 犬 闘病」が本命であったりする
3ワード検索を使って、闘病記を探す
3ワード検索で、3つ目のワードに、”闘病” または ”闘病記” と入力してみてください。
どうでしょうか?
沢山の飼い主さんたちが書き記した、体験談が出てきませんか?
”闘病”で検索する結果と、”闘病記”で検索する結果では、かなり内容が違います。それは2つのワードが似ていながらも、違う意味を持っているからです。やってみれば分かりますが、どちらも同じくらい重要な記事が並びます。そして”闘病” と ”闘病記”の両方で検索される記事は、より信用できます。
闘病記はとても役に立つ
何度か別の記事には書いていることなのですが、愛犬の闘病の際に、飼い主さんにとって一番役に立つのは、実は医療には素人であるはずの、一般飼い主さんが書いた、闘病記である場合がとても多いのです。
当然ながら執筆者は素人なので、医療知識の豊富さ正確さには欠けます。しかし闘病記には、それを大きく上回るメリットがあります。下記のようにです。
②何で苦労したのか、何で失敗したのかまで分かるケーススタディでもある。
特に②は重要です。専門家の書いた記事や論文は、成功例しか書かれておらず、失敗例がありません。実は失敗例は転ばぬ先の杖としてとても重要です。
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専門家を越える可能性
時に闘病記の中には、とんでもない掘り出し物が隠れていることがあります。
愛犬の闘病に真剣に取り組んでいると、飼い主さんの知識の方が、時に獣医師を越える場合があるのです。症例の少ない病気では特にです。
こういった記事に当ると、専門家が書いたものよりも数段詳しいだけでなく、正確で、もちろん役に立ちます。
愛犬に対する愛情のなせる業です。
キーワード検索の罠1 - メジャーワードとマイナーワード
Google検索の特長として、ユーザーがなるべく広い情報にタッチできるように(だと思うのですが)、マイナーなキーワードを入れた場合は、同一カテゴリーのより上位(一般的という意味)のキーワードよりも、優先されて検索されます。
例を挙げると、「老犬」で検索した場合は、”犬”よりも”老犬”が優先されるのです。
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「病名 犬 条件」の3ワードで検索する場合を考えて見ましょう。
3ワード目の”条件”にマイナーなキーワードが入った場合は、前の2ワード「病名 犬」が固有名詞とメジャーワードであり、この2つが大きく枠をはめているので、ターゲットを大きく逸脱した結果はでません。
しかし、2ワード目の”犬”をマイナーワードにすると、状況が変わります。
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例えば「劇症肝炎 犬 治療」と、「劇症肝炎 老犬 治療」の検索結果は大きく違います。更に”老犬”をもう一段マイナーにして「劇症肝炎 シニア犬 治療」とすると、また結果が違ってきます。
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もちろん、”老犬”も”シニア犬”も、”犬”に較べれればマイナーだというだけで、どちらも大事なワードです。
ここで言いたいのは、”犬”で検索されるものと、”老犬”で検索されるもの、”シニア犬”で検索されるものは、傾向がが違うのだということです。
どちらが上ということではありません。違うのだという事を意識しながら、記事を読む(読み較べる)必要があるということです。
キーワード検索の罠2 - 知りたい情報はマイナーワード
闘病に必要な情報は、病気のことばかりではではありません。
看護や介護に必要なノウハウ、食事、飼育環境まで様々です。
ここで注意しないと行けないのは、病名以外のものを検索する場合は、1ワード目からマイナーワードになりがちだということです。
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例えば筆者が記事にしてきた”食事関連”の記事は、特にそれが顕著です。
(下記のような記事です)
ご自分が食事関連の悩みで、ネット検索をすると考えてみてください。
どうですか?
上の記事例のように、「食べムラ シニア犬」のような、マイナーワード同士の掛け合わせになりがちなことが、想像がつくのではないでしょうか?
マイナーワードの組み合わせで、良記事を選ぶには
マイナーなワードの組み合わせは、検索結果は玉石混交です。
問題のある記事が、いきなり上位に現れる事もしばしばあるのです。
しかし、その記事を信用するかしないかは、検索をした飼い主の判断にゆだねられています。
マイナーワードで効率よく良記事にたどり着くためには、ちょっとしたコツがあります。下記がその対応策です。
ワードの組み合わせを変えてみる
マイナーワードのどちらか片方を、もっと一般的なワードにして検索し、その検索結果を比較してみると良いと思います。マイナーワードの場合は、これをやると検索順位が大きく変動しがちです。
下記に例を示します。
”シニア犬”を、上位ワードの”老犬”、”犬”に変更してみる
”食べムラ”を、上位のワードの”食欲不振”、”フード”に変更してみる
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このように、「食べムラ シニア犬」だけでなく、「食べムラ 老犬」「食べムラ 犬」「食欲不振 シニア犬」「フード シニア犬」の検索を別々に行い、その結果を比較しながら、広い視野で記事の傾向見ると良いと思います。
マイナーワードの検索でも、メジャーワードの検索でも、どちらでも上位に表示される記事があれば、それをそれ以外の記事を評価する基準にできます。
またマイナーワードでは、用語の使い方自体に誤りがある場合もあるので、多くの記事を見る事で、間違った理解をすることを避ける事もできます。
最近のGoogle検索は
最近のGoogle検索は、AIが採用されて、内容まで評価していると言われています。
確かに、最近の検索結果を見ると、一昔前までのように、明らかに質の低い記事が上位に来ることはなくなりました。
かつては技術的な介入の余地があり、少し仕組みを知っていれば、記事の順位を上げる事が出来たのです。(これはSEOという手法です)
現在は小手先の技法は通用しなくなったばかりか、妙なことをすると逆に検索順位が下がってしまいかねません。この傾向は、僅かここ2、3年のことです。
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ほんの少し前までは、検索上位の記事はWEBエンジニアが作っていました。
しかし今は、書き手(ライター)の技量に委ねられます。良い記事を書くほど、検索順位は上がり、逆に内容をないがしろにした記事は、上位に来ることができません。
常識的にに考えて、AIは単語ではなく文章を理解しようとするでしょう。つまりきちんとした文章(論理的で理路整然と書かれたもの)でないと、”意味不明”ということになってしまうわけです。読者にとって分かりにくい文章は、必然的に順位が下がるという仕組みですね。
これらは情報を探す我々にとって、とても良い傾向だと思います。
「日本語検索の品質向上にむけて」(抜粋)(2017年2月3日)
ウェブサイトの品質の評価方法に改善を改善。検索結果のより上位に自ページを表示させることに主眼を置く品質の低いサイトの順位が下がり、オリジナルで有用なコンテンツを持つ高品質なサイトが、より上位に表示されるように。
出典:Googleウェブマスター向け公式ブログ
検索は無駄なく行いたい
検索は計画的にやらないと、時間ばかりを使って、同じことを何度もやったり、過去に見たはずの記事が探せないということが良く起きます。
特に今回のような検索は、愛犬、愛猫が病気になって、気持ちが動顛したなかでやる事が多いものなので、間違いや誤解も多くなりがちです。
ちょっとしたコツで、検索の効率はあがりますので、ぜひ試してみてください。
そして得た知識を愛犬を試す前に、その情報が正しいものかどうかをもういちど考えてみてください。
実際に愛犬に試みた後では、検索結果のようにやり直すわけにはいきませんからね。
少しでもこの記事が、闘病の助けになれば幸いです。
追記:余談ですが検索結果の例を
この記事を書きながら、自分でも「食べムラ シニア犬」の検索をしてみました。
すると何と――
筆者の書いた記事が、検索の1ページ目のトップに……
(上記で例に挙げた記事です)
狙ったわけではないのですが――、驚きです。
そもそもこの記事は、ネット記事での「食べムラ」という言葉の使い方が、統一されていないという疑問(或いは不満)から書き始めたものでした。
こんなことって、あるんですね(笑)
まあ、マイナーワードの順位はコロコロ変わるものなので、きっとこの1位もすぐに変わってしまうことでしょう。
文:高栖匡躬
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この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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検索で利用されやすい記事の例です――
ペットの食事に関する検索(2例)
愛犬猫が元気な時に、我々は大好物を無駄遣いをしがちです。
どうか覚えておいてください。
大好物は簡単に、大嫌いに変わるんです。
これから3話に渡って、大好物が減っていく過程を書こうと思います。
それは、我が家と、我が家の大切な愛犬ピーチーに起きたことです。
既存の食べムラ対策の記事には、不満を感じます。
なぜ食べさせるのか? その理由が書かれていないからです。
そして、時間の視点も欠けています。
今、選んだ食べものは、もしかすると将来の幸せを作るのかもしれません。
逆にそれが、将来の悩みの種になるのかもしれません。
闘病記の検索
犬に多い皮膚病のひとつ。
病名を検索してみると、
『それ自体が、犬を死に至らせるものではない』
――とされているのだが、とても軽視できるものではない。
重度に発展すると、とんでもないことに。