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【体重差で違う犬の健康】チワワとセントバーナード、同じ犬なの? ~意識しよう犬の体重(フード選び編)~

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小さいチワワは1Kg、大きいセントバーナードは100Kg
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文|高栖匡躬

 犬種の体重差は何と100倍

皆さんは、体重が1Kgしかない、ティーカップチワワはご存知ですか?
公認犬種では無いので、犬種の名称は通称なのですが、ティーカップと言うだけに、ものすごく小さい”犬”です。
その対極には、時には体重100kgを越えるセントバーナードがいます。これはものすごく大きな”犬”ですね。

体重差は100倍もあることになります。

我々はこんなにも大きな開きのあるものを、両方とも同じ生き物として、”犬”と呼んでいるわけです。改めて考えると、妙な気持ちがします。

これから2回に分けて、大きい犬と小さい犬のお話をしてみたいと思います。
今回は、フード選び編です。

【目次】

 フードの分類は、わずか3種類

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筆者は以前に、あるシステムのマーケティングに関わったことがあります。
そこではサーバーシステムを構築する為に、調査会社を使って、米国にいる全犬種に対して、色々なサプリメントの感受性を試験しました。
(公開されていないものなので、詳細はお伝えできないのですが)

すると同じ犬でも、犬種ごとに内臓の働きが違うことが分かりました。これは最初から予想されていたことですが、調査によってそれが確認できたということです。
特に大きいのは、体重による差違でした。

これが何を意味するかと言うと、内臓に作用するもの――つまりフードやサプリメント、医薬品――は、犬種(とりわけ体重の差)ごとに異なる働きをする可能性があるということです。

この話を前提にして、フード選びについて考えてみます。
一般的に犬用の食べ物は、小型犬用、中型犬用、大型犬用と3分類されています。
(されていないものも沢山あります)
定義としては以下のようになります。

小型犬が10kg未満。
中型犬が10k以上、25kg未満
大型犬25kg以上

本来ならば超小型犬と超大型犬というくくりもあるのですが、ドッグフードの区分けで言うと、そこに特化した商品がないので、超小型犬は小型犬に分類され、超大型犬は大型犬に分類されることになります。 

 

 小型、中型、大型の中でも大きな体重差

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さて、この区別を1つずつ見て行きます。 

中型犬では一番小さな10kgの個体と、最も大きな25㎏の個体の体重差は2.5倍ですね。
大型犬の体重は最大120kgにもなるので、最小の25㎏の個体との差は5倍ほどです。
一番体重の幅が広いのは小型犬です。ティーカップチワワは最小で300ℊとの事なので、個体間の体重差はなんと33倍もあるわけです。

さすがに300ℊの個体は例外的なもののように思います。よってこれは省くとして、ティーカップチワワの標準的な体重1kgで考えても、小型犬の中で10倍の個体差があるということです。

体重で内臓の働きが違うというのに、10倍も開きのあるものを、1つの商品でカバーするには無理があるとように思われます。

(小型犬は顕著な例ですが、大型犬だって最大と最小で5倍、中型犬だって2.5倍も違います。人間に照らして見れば、如何に大きな差であるか想像がつくと思います)

本来ならば犬種と体重ごとに、もっと商品を細分化するのが理想的なのでしょう。
しかし、メーカーがすぐに対応できるものではないし、そんなことをするとフードは今よりもずっと、高いものになってしまうでしょう。現実的とは思えません。

ではどうすれば良いか?
我々ができることは、今ある枠の中で、工夫をすることだけです。
小型犬、中型犬、大型犬用のフードの区別だけで満足せず、更に一歩踏み込んで、我が家の愛犬に最適なものを、沢山のフードの中から探してみるのが良いと思います。

個体差が大きいと言う事は、それだけ工夫の余地が沢山残っているということでもあります。

 

 狭すぎるフードの選択肢

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さて、こんな風に考えてみると、現在インターネットで得られるフード選びの情報は、どうもおかしいと言う事に気が付きます。

フード関係の記事の大半は、”(全犬種共通の)最高のフードを探す”ことを目的にしているように見えます。特にフードをランキングしているサイトでは、それが顕著に表れています。自然素材を使っていて、添加物や保存料が含まれておらず、喰いつきの良いフードが最高と謳われているのです。

大抵のサイトは、判を押したように同じような、3つくらいのプレミアムフードにお薦めが集約されます。全てのサイトを眺めても、合計で10も選択肢が無いことに気が付くでしょう。

本当にそれで良いのでしょうか?
ここまで書いてきたように、犬には多様性があるのです。
たった数種類の選択肢しか存在しないのは、あまりにも考えが偏っているように感じられて仕方がありません。

犬種、遺伝、生い立ち、飼育環境、そして体重差。
様々な要素が絡み合うわけですから、恐らくは犬一匹ずつで、最適なフードは違っているでしょうし、違ってしかるべきなように思います。
飼い主の経済状態だって無視できない要素です。

恐らく、フード選びには唯一の答えがなく、沢山の商品を試しながら、我が家なりの答えを見つけていくものなのでしょう。

よその子に最適なものが、うちの子にも最適とは限らないのです。

 

 フード選びには、ぜひ時間の尺度も考えて

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体重の話から離れて恐縮ですが、最後にもう一つだけ大切な事を。
フード選びには、時間の尺度を取り入れることも重要だと思います。

今、最高なフードを与えることが、将来どういう結果をもたらすかも考える必要があるように思うのです。最高なフードというものが仮にあるとすると、今それを与えると、それを越える選択肢がなくなるということでもあります。

犬の生涯を通してフードを考えると、老犬になり終末期の一番苦しい、食欲の無い時期こそ、嗜好性の高い食べ物が必要になってきます。
若い健康なうちから、美味しいもの(喰いつきの良いもの)ばかりを食べさせていると、本当に切実に食べて欲しい時に、与えるものがなくなってしまうのです。

どうか広い視野で、愛犬の生涯を俯瞰されることをお薦めします。
 

――本記事は続編(医薬編)に続きます――

文:高栖匡躬
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 ▶ 高栖 匡躬:猫の記事 ご紹介

――次話――

今回のフード編に引き続き、次回は医療編。
個体ごとに体重差が大きいのが、犬。
医療分野でも、体重ごとに異なるものがあります。
それは薬の用量や、病気の発症率、治療法など。
体重は単に重さを表すだけでなく、体の仕組みも表すこともあるのです。

週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

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