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【シニア犬/老犬】皆さんは、どちらの呼び方が好きですか? ~飼い主の気持ちで印象が変わる言葉~

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文:高栖匡躬 

高齢の犬のことを、英語ではSenior Dogと書きますね。
日本では『老犬』、あるいは『シニア犬』と呼ばれます。

どちらで呼ぶかは、好みが分かれるところですが、筆者は『老犬』が好きです。
しかし自分の家の愛犬を、『老犬』と言われることを嫌う飼い主さんも多いようです。

今日は、『老犬』と『シニア犬』について考えてみたいと思います。

 

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シニア犬という言葉を良く聞くようになったのは、割と最近になってから、恐らくここ10年ほどのことだと思います。筆者の愛犬ピーチーが、一般的に高齢犬といわれる7歳を迎えたのは、2008年ですが、その頃にはシニア犬という言葉を聞いた覚えがありません。

その後、『シニア犬』という言葉を耳にする事になるのですが、はじめてそれを聞いたときには、「妙な言い方だな」と思った記憶があります。

シニアと言う言葉には、”高齢”という意味だけでなく、"年上" とか "年長"(高齢ではなく、単に年が上)とか、"上級" という意味もあります。そして上級の場合は、少し上というよりも "最上級"とか、"首席"と言うニュアンスが含まれています。

恐らく『シニア犬』という呼び方が好みの飼い主さんは、「うちの子が高齢とは考えたくない」という気持ちが強いのかなと思います。

その考えを更に深く読み取ると、「まだまだ一緒に楽しく暮らすしたい」、或いは、「いつかくる別れのことを考えたくもない」という思いが、強く心の中にあるように感じます。

一般的には高齢犬と呼ばれる時期になっていることは認めるけれど、「他の犬たちより年上なだけだよ」とか、「若い犬にだって、まだまだ負けないよ」と考える方も多いでしょう。

プロゴルフの世界では、50歳以上のゴルファーでシニア・ツアーが組まれていますが、そんな事もシニアという言葉のイメージを良くしているように思います。

 

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一方、『老犬』という言い方が好きな方には、愛犬が高齢であることを認め、むしろそれを積極的に楽しもうとする姿勢が見えます。

動きが緩慢になったり、まっすぐに歩けなくなったり、いつも寝ていたり――
そんな変化を悲しむのではなく、愛犬の特徴として受け入れた上で、むしろ「うちの子の老いっぷりを見てやってくれ」と、誇らしげにそれを語ろうとしているようにも見えます。

Withdogで配信している『老犬アルバム』は正にその考え方を形にしたものですね。
飼い主がうちの子の老いっぷり自慢をする企画です。

タイトルに『老犬』が謳われているにも関わらず、皆さんが参加を希望されています。そしていただいた老犬への一言や、応募の時に添えられているコメントからは、老いをはっきりと意識しながら、それを楽しんでいる姿が浮かんできます。

 

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筆者がシニア犬の言葉をはじめて聞いて、「妙な言い方だな」と感じたのは、きっと筆者が”老犬が好き派”に属していて、老いをオブラートに包んだ言い方に、違和感を感じてしまったからでしょう。

しかし愛犬ピーチーを看取った今なら、『老いを認めたくない』という飼い主さんの気持ちも良くわかります。

因みにピーチーはとても落ち着きのない子で、何をやるにも全力投球でした。
全力でご飯を食べるし、散歩も”歩”ではなくいつも全力で走るので、自転車でなければとても追いつきませんでした。家の裏手を流れる川の土手を、かなりのスピードで自転車を飛ばしたものです。

ピーチーが7歳の頃は、まだ子犬に間違われることさえあって、高齢という発想自体がありませんでした。急に年齢を実感し始めたのは、癲癇を発症した13歳になってからです。

元気溌剌から一転して、急にヨボヨボがやって来たので、シニア犬と考える間も無かったとも言えます。

 

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ピーチーの体の変化に照らして、老化を段階にすると以下のような感じです。

①年齢的には高齢らしいけれど、若い頃となにも変わらないなあ
②なんとなく衰えを感じるけれど、まだまだ元気
③最近一つ一つできないことが増えていく。歳をとったんだなあ。
④別れはそんなに遠くないだろうな。1日でも長く、一緒に頑張ろうな。

飼い主の視点として①~④を眺めると、当時の筆者はこう感じていたのでしょう。

①は老犬もシニア犬も、どちらもピンとこない。
②③は老犬、シニア犬が、好みで別れる時期
④なんとなく、シニア犬という言い方がマッチしない。

 

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改めて考えると、老犬は、老兵に通じる語感があるように思います。
老兵は『私は昔は強かったのに』という悲哀と共に、『私は今も兵士である』というプライドが共存した言葉ですよね。

何となく、老犬、シニア犬の好みって、飼い主の人生感とか、生き方とか、死生観とも無縁でないようにも思います。

さて、皆さんは『シニア犬派』ですか? それとも『老犬派』ですか?

 

文:高栖匡躬
 

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週刊Withdog&Withcat
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。

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