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【まとめ】ステロイド剤とその減薬 ~マイナス面が独り歩き~【無暗に怖がらなくていい】

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ステロイド剤とその減薬について
ステロイドの適正な使い方

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カテゴリー:コラム
作者:高栖 匡躬 

このコラムはステロイド剤のメリットとデメリットについて触れた、全3話のシリーズです。

ステロイド剤は【炎症の軽減】【免疫の抑制】などを目的に処方される、一般的な薬です。使っている犬や猫は、多いと思います。
我が家のピーチーもそうでした。
ピーチーの場合は筋金入りで、生後半年でアレルギー性皮膚炎とわかり、それから14年間、月1の病院通いで、ずっと飲みつづけました。

自己免疫不全で劇症肝炎を発症した際は、普通は経験しないであろう、大量投与を行った時期さえありました。

ステロイド剤を使い続けた経験者として、とても気になることが1つあります。
それは世の中で、この薬に対するマイナスイメージが強いことです。飼い主さんの中には、禁断の薬のように捉えている方もいます。

しかし適切な量を、適正な使い方をすれば、怖いものではありません。
一生飲み続けられるものでもあります。

このコラムでお伝えしようとしているのは、『必要以上に恐れる必要は無い』という事ます。
決して安全な薬であると言うつもりはありませんが、怖がってばかりでは、最適な治療のチャンスも逃しますし、愛犬や愛猫のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を奪ってしまうと思うのです。

【目次】

ステロイド剤と減薬について

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第1話|ありふれた薬なのに、情報が極端に少ない

ステロイド剤は一般的な薬であるにも関わらず、必要以上に嫌われているように感じます。その原因として、適切な使用方法が行われておらず、そのために無用の副作用を被る場合が多いのだと想像できます。

実際に飼い主さんたちが書いた体験談(闘病記)を読むと、動物医療の専門家である獣医師でさえ、ステロイド剤の功罪を良く知らないで使っている場合が多いように思えるのです。

ステロイド剤は、適切な処方法が良く知られていないだけではありません。
薬を減らす減薬や、断薬については、もっと知られていません。
処方量を減らすときには、ステロイド剤特有の『離脱症状』が現れ、ひどい時には命を奪われます。

要は、ステロイド剤は飲むのも工夫、減らすのも工夫なのです。

第1話の追記|むしろ積極的に

頭から怖がるのは、ちょっとどうかなって思いますね。
私はむしろ、使うべき時は積極的に選択肢に入れればいいと思ってます。
うちでは平均寿命を15年として、その間を快適に過ごして欲しいという考え方で使いました。結局大病で大量投与したので、その計画は崩れましたが。
QOLとの天秤ですね。

第2話|実は獣医師だって、そんなに詳しくない

ピーチーの治療で行ったのは、ステロイドの大量投与。
即効性がある反面で、副作用が顕著に出てきます。
薬を減らすときの『離脱症状』も、より大きなものです。
失敗もありました。
そこで分かったのは、医師も良く知らないんだということでした。

第2話の追記|我が家の場合は

ステロイド剤は症例ごとに効き方も副作用も違うので、使い方が難しいんですね。
だけど、そこに工夫の余地があります。
その”工夫”の域まで踏み込んでくれる医師が少ないのだと思います。
愛犬の治療で使い、実感したことがあります。
それは、飼い主側でできることは、飼い主がやらなければならないということです。

第2話の追記|副作用の一例

ピーチーの場合、副作用が一番大きく現れたのは、筋力の低下と、激やせでした。
フットボール型のブルテリアの顔が、ボルゾイみたいになりました。
本人はきっとしんどかったでしょうが、頑張りました。

第2話の追記|獣医師に望むこと

使いすぎはダメだということは、確かに皆さんご存知ですよね。
しかし具体的な方法論になると、考えが固定的な感じがします。
獣医師にもそれを感じます。

処方も減薬も、色々と方法があるのだから、
『幾つもの選択肢の中から、その子に会う最適な方法を見つける』
という姿勢で、治療にの臨んで欲しいんですね。
無理な要望じゃないと思うんです。

第2話の追記|二次診療の必要性

犬や猫の場合、1人のかかりつけの主治医に一生を診てもらうことが多いように思います。よほどひどい獣医師に当らない限り、他を知らないってことも有り得ますよね。
うちの子は色々な病気をしたので、大学病院や高度医療センター、先端医療センターなどで、二次診療を随分受けて、医師の違いを知りました。
もちろん、何から何まで、高度医療や先端医療である必要なはいと思います。

ピーチーが14年間通った主治医は、とても良い人でした。
ホームドクター+(必要に応じて)専門医の組み合わせが良いと思います。きっと。

第3話|ピーチーの減薬経過と、免疫抑制剤

ピーチーの過去(14年)の処方経過と、劇症肝炎治療時の、大量投与の経過をまとめました。
飲んだ量は本当に大量で、人間の体重に換算すると毎日56錠も飲む計算。
当然、副作用も、離脱症状も極端でした。
ステロイド剤の、ケーススタディとなる情報と思います。

第3話の追記|免疫を落とすことのジレンマ 1

我が家の場合、自己免疫不全でしたので、免疫を落とす必要がありました。
本来は免疫は体を守ってくれるもの。
それを一生懸命薬を飲ませて落とすのが、とても切ない思いでした。
薬を飲ませながら、自分は何をやってんだろうと自問することもしばしば――
免疫に『お前、しっかりやれよ』と言ってやりたかったですね。

第3話の追記|免疫を落とすことのジレンマ 2

ステロイドは使い方が簡単ではありませんからねえ。
その子その子で、最適な答えが違うんだと思って、獣医さんが取り組んでくれると良いのですが。
例えばガンの場合ですと、炎症を取り除くのと、副作用で免疫が落ちるのとの天秤ですね。

 あとがき

自己免疫不全について

ステロイド剤は闘病系ブログでは、ありふれた話題です。
炎症を抑えたり、痒みを抑えたりするので、色々な病気で使われます。
愛犬ピーチーも最初は痒み止めで使いました。

免疫が落ちる事が副作用ですが、免疫を落とすという目的で使う場合もあります。
自己免疫不全ではそうですね。

ステロイドはピーチーの一生を通し、痒みから救ってくれた薬ですし、時にはは命まで救ってくれた薬です。
だから『必要以上に嫌う必要は無い』という事は、繰り返しお伝えしたいことです。

この薬は同じ用量でも飲み方で効果が違い、工夫の余地があります。
少量でも効く方法があるのです。
恐れて後ろ向きになるのではなく、積極的に使用方法を探るべきだと思います。

記事内にも書きましたが、実は専門家である獣医師も、この薬を良く知らないように思います。効かなければ量を増やすばかりで、効く方法を探ろうとしない方が多いように思うのです。

1錠で効かなくなった場合、1.5錠に増やす?
それとも1錠でも効くように工夫する?
実はそれは、飼い主側でも工夫ができることでもあるのです。

――高栖匡躬 ――

作:高栖匡躬
解説:高栖匡躬 
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 自己免疫不全についてのまとめ読みです

自己免疫不全に思う|まとめ読み

難聴、癲癇、多発性関節炎、劇症肝炎、多臓器の炎症
愛犬ピーチーは、これらが一つの理由で起きました。
免疫系の暴走、自己免疫不全。
医師から『原因不明』『お歳ですから』と言われる病気には、
これが潜んでいるように思えます。
体験談です。

 免疫抑制剤についてのまとめ読みです

免疫抑制剤に思う|ステロイドからの切替

愛犬ピーチーは、ステロイドの大量投与で命を拾いました。
しかし副作用が無視できず、免疫抑制剤に切り替えを――
そのときの苦労や失敗談を、コラムにしました。
こういう情報は、獣医さんも知りませんでした。
何故かって?
――経験していないから。

 

 

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