ピーチーの闘病記:肺がん・看取り編
ピーチーが劇症肝炎を患い、九死に一生を得てからの日々は、我が家にとってはボーナスタイムでした。
年に2回だけ、誕生日とクリスマスのお祝いだった大好物のウニは、毎月の月誕生日に上げるようになりました。
「今月も生きてくれてありがとう」
心からそう思いました。
生きてくれること。一か月生き延びてくれることが、どんなに奇跡的なことか――
元気な頃には、思いもしませんでした。
1年先は見通しようもありませんでしたが、こうやって1か月1か月を感謝して、お祝いしていったら、いつのまにか1年が過ぎるんじゃないか――、とも思っていました。
当時のブログより - 酸素の使い分け
皆さん、今日でピーチーは、14歳と7か月になりました。
ピーチーの具合は相変わらずです。と言うか、肺が悪いことを除けば、比較的元気だと言っていいです。もしも肺がカートリッジ式になっていたら、そこだけ交換すれば、ピーチーは新品同様って感じです。
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ピーチーは酸素テントの中で寝ていても、起き上がりたくなると、自分からアピールしてきます。ちょっとファスナーを開けると、上の写真のように、身を乗り出します。
こんなときは、大体がオシッコをしたいか、水が飲みたいかです。
テントから出してやったところ、予想通りに水飲み場&トイレのある洗面場へ。
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どちらに行くのかと見ていたら、洗面器の方。
美味しそうに水を飲んで、ペロリと舌を出しました。
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今、酸素は2通りの方法で使っています。
1つは目酸素テント
これは体ごとテントにはいり、その中に酸素を満たしてやる方法。
2つ目は自作酸素吸引マスク
これはマスクで口と鼻を覆って、そこに酸素を直接流してやる方法です。
酸素マスクは、昨日自作したものが結構使い勝手が良さそうなので、穴を空けて固定用のゴムを付けてやりました。
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こんな感じになります。
どうだ、つけ心地は?
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酸素は僅か3日の経験ですが、段々と最適な使用方法に絞り込んでいます。
ベンチュリーマスクは直接酸素が届くので、こちらの方がピーチーは楽みたいです。それと、テントのビニール越しでなく、直接飼い主と触れ合う事ができるので、ピーチーが安心します。
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昨日からピーチーを一人で寝させるのではなく、吸引マスクを使って、飼い主の布団で一緒に寝ることにしました。
ご飯を食べるときや、飼い主が一緒にいられない時には酸素ブースを使います。
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酸素ブースを使ってみた感想ですが、ピーチーは中型犬用のサイズを使っていますが、大型犬用でもよかったと思いました。寝たきりの状態ならば、ジャストサイズで良いのですが。まだ動けていて、その中で食事などの世話をする場合は、空間が狭いと何かと大変です。
飼い主が上半身を入れて体を持ち上げるくらいのスペースが欲しいです。
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これが中型犬サイズ
スケール感が分かりますか?
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これは酸素テントの中で、ロールケーキを食べている時の写真。寝転んで食べているのはたまたまで、まだ寝たきりではありません。
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苦しい時には、寝転んだ状態で食事をします。
まあ仕方ないか
美味いか?
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実は、ボロボロとこぼすのは、ピーチーの責任ではありません。狭い空間なので、ご飯を上げるときの手の向きが、なかなか自由にならないのです。
食欲が落ちる
ところでピーチーですが、昨夜の時点でとても嗜好性の高かった、ロールケーキへの反応も鈍くなりました。
そこでブログでアドバイスをいただいた、『ラム・グリーン・トライプ』を試したところ、こちらには反応あり、しばらく食べてくれました。
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『ラム・グリーン・トライプ』
これがまた、臭いのですよ
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このフードは相当に嗜好性が高いのものなですが、変な添加物は入っていません。ラムの内臓の内容物を加工したもので、ピーチーの主治医も扱っています。
しかし、重大な欠点が一つ。
フリーズドライの状態では、ちょっと匂いがする程度ですが、水で戻すととても臭いです。うちの奥さんは堆肥の匂いと言っています。
僕も奥さんと同じく田舎の出身。堆肥と言われたら、ごもっともと思ってしまいました。しかし、病状が悪化して選択肢が絞られていく中で、このフードはとても心強い援軍です。
桜の花
最後にもうひとつ。
昨日はうちの奥さんが、ピーチーと一緒に良く散歩した公園に行きました。いつもお花見をしていた場所なので、もしも桜が咲いていたら、ピーチーをカートに乗せてお花見に行きたいのだといって、開花の具合を確認しに行ったんです。
うちでは、一家揃ってのお花見は、ピーチーが来て以来ずっと恒例行事でしたからね。
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でも、桜の開花はまだまだだったとの事。
しかし、一本だけ咲いていた桜の木の下に、誰かが折ったらしい枝が落ちていたそうです。それを拾って持って帰ってくれました。
だから昨日は、一家揃って、室内でのお花見ができました。
去年までは、楽しそうに駆け回っていたのにね、ピーチー。
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桜と一緒に写っているのは、ピーチーの大好きな木の棒です。
桜だけだとつまらないので、前衛生け花風に添えて見ました。
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来た! 前衛芸術!
作品名:『春の訪れと、わたくしの木の棒』
作者:ピーチー
――うちの子が旅立つまでのこと(10/18)つづく――
文:高栖匡躬
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――次話――
この日の夜。恐れていたことが起きました。
ピーチーが、大好物のウニを食べなかったのです。
いつでもどんな時でも、目を輝かせたウニ。
――とうとうその日が。
そして――
ピーチーを14年診てくれた主治医からは――
安楽死を示唆する言葉が。
――前話――
この日、2度目のブログを更新しました。
刻々と状況が変わるピーチー。
”生きている”ピーチーを、記録しなければと思っていました。
この日の午後は、ピーチーと14年間通い続けた公園に行きました。
ピーチーが大好きだった、”木の棒”を取りにいったのです。
もう一緒に来ることはないと思うと、寂しくなりました。
ここから――
時間がとてもゆっくりと流れ始めました。
とても濃密な時間でした。
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――本章の1話目です――
いつも元気一杯だったピーチー。
大病をしてから、体調に浮き沈み。
この数日も「ちょっと変」と思い、「”多分”、いつものこと」とも思っていた。
”多分”は段々と弱々しくなり、少しだけ嫌な予感も。
「今日は病院だな」と思ったのがこの日。
――この連載のはじまりです――
はじまりは、ほんの小さな予兆でした。
体の震え。ときどき息が粗い。食欲不振。
ピーチーは大病を大きくは2度経験してから、体調が悪いときがたまにありました。既往症もありました。
またかな? と思ったのが始まりでした。
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他の闘病記もご覧ください。
胆管閉塞闘病記|闘病ブログ
ある日突然、我が家のピーチーを襲ったのは急性膵炎
危険な状態でしたが、幾つも幸運が重なって無事回復しました。
「良かった」と胸を撫でおろす飼い主。
――しかし、そうではありませんでした。
それは本当の闘病の始まりだったのです。
劇症肝炎闘病記|闘病ブログ
筆者の愛犬ピーチーは2014年8月16日の早朝6時、救命救急に駆け込みました。
40度を越える高熱。ぐったりとして動けない。
ただごとではないと思いました。
振り返ると、異常を感じたのは8月10日の夜。
突然の体の震えと、食欲不振が恐らく前兆だったのでしょう。
このときは、掛かりつけの病院で、熱中症と診断。
その時には、肝臓の諸数値は正常値でした。
そして6日たち、16日の朝を迎えます。
この日から、命を賭けた闘病が始まったのでした。
自己免疫不全闘病記|闘病ブログ
2015年のある日、我が家の愛犬ピーチーを病魔が襲いました。
最初は夏バテかなと思い、次に熱中症を疑いました。
かかりつけの獣医師も、熱中症との診たてでその治療を。
しかしピーチーの状態は悪化の一途。
ただならぬ状態に、未明の救命救急に飛び込み、そこで発覚したのが重度の肝炎でした。
結局後になって、それが自己免疫不全が引き起こしたと分かるのですが、まさか免疫の暴走が劇症肝炎を引き起こすなど、想像もしていませんでした。
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肺がんの医療記事です
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