愛犬の闘病:悲しみと悩み、似てはいるけれど
悩みについて考えてみる
今回は”悩み”について考えてみたいと思います。我々は何か困難な状況に直面すると、”悩み”と一口に表現してしまいがちに思います。筆者もその一人です。
改めて考えてみると、”悩み”と括った思いの中には、”悲しみ”とか、”戸惑い”とか、時には”怒り”のような感情まで含まれているように思います。
それを”悩み”だと考えると、捉えどころがなく、解決のしようのないもののように思うのですが、”悩み”の中身を分解して、1つ1つ考えてみたら、意外にそのうちの幾つかは、解決してしまいそうにも思います。
●
本記事を書くことにしたのには切っ掛けがありました。
公開済みの過去記事の中で、『悩みの値段』と、『悩みの賞味期限』 について、読者の方からご意見をいただいたからです。
●
両記事には主に以下のことを書きました。
・時に悩みは無限の大きさにも見える。
・悩みを客観視的に見れば、それは有限になり、解消に近づけられる。
・悩みは時間的にも無限ではなく、それは誰もが経験上知っている。
・これまでの悩みを解決してきたのは、外ならぬ自分である。
・今の悩みは何時か必ず消える。それを消すのも自分である。
・そう考えることで、今の悩みに対して前向きになれるのではないか?
●
本記事と次回記事では2回に渡って、読者の方からいただいたご意見に沿って、”悩み”の再考察をしてみたいと思います。
扱う題材の性格上、本記事は少々回りくどい説明があります。ご容赦を。
【目次】
- 愛犬の闘病:悲しみと悩み、似てはいるけれど
- 悩みについて考えてみる
- 【ご意見】愛犬の命が掛かった悩みを、ほどほどになんて出来ない
- 【ご意見】悲しみは深く人それぞれ。ひとくくりには語れない
- 悩みって何?
- 悲しみと悩みは、別のもの
- 悲しみは、乗り越えられるもの
- もしも神様がいるのなら
- 本話の関連記事です(看護と介護)
- 悩みの中で特に多いのが、ペットロスですね。
【ご意見】愛犬の命が掛かった悩みを、ほどほどになんて出来ない
ご意見をいただいた記事はこれです。
悩みは絶対的なものではなく、常に相対的。ならば今抱えている悩みを、悩み以外の他のものと比較(対比)してみると、悩みは和らぐのではないか?
そんな手段を使ってでも、悩みはほどほどにしておいた方が良い。特に愛犬の闘病に於いては。――という提言。
愛犬の命が掛かった悩みを、ほどほどになんて出来ない。
(お金で解決できる悩みならいざしらず)
いただいたご意見を考察するのは後にして、引き続き、次のご意見を先に挙げます。
【ご意見】悲しみは深く人それぞれ。ひとくくりには語れない
ご意見をいただいた記事はこれです。
人間は悩みを自然に消化(昇華)していくもの。それはせいぜい1年くらい。何故なならは、あなたは去年の今の悩み事を覚えていないはず。
永遠の悩など無いと分かれば、限られた時間を、愛犬のために費やすことだってできるはず。――という提言。
愛犬を亡くす悲しみは人それぞれで、ひとくくりには語れない。
簡単に解消できるものではない。
●
悩みに関する上記2つのご意見は、きっと同じように感じられる方が多いように思います。
以下に、ご意見について考察してみたいと思います。
”悩み”を分解して考えていくと、一括りに”悩み”と考えていたものが、すぐに解決できそうなものと、そうでないものに分類かれることがお分かりになると思います。
悩みって何?
上記つのご意見は、同じ課題が根底にあるもののように思います。
ポイントは、 ”悩み” をどうとらえるかという事ではないでしょうか。
さて、”悩み” とは何だろうかと、考えてみた事はありますか?
改めて考えると、”悩み” は一口に説明ができないもののように思います。
幾つもの不安が混じりあった、とても曖昧なものを、我々は”悩み”と呼んでいるのではないでしょうか?
例えば、愛犬の(重い病気との)闘病では、悩みの中身は、たった一つではありません。下記のような幾つもの不安が組み合わさっているのだと思います。
・いつかは別れがくるという不安
・今の介護は、間違っているんじゃないかという不安
・いつまでその介護が続くんだろうと言う不安
・高額な治療費への不安
・その子がいなくなったら、どんな生活になるのかという不安
……
……
そして、悩みは実体がなく曖昧な分、どこまでも際限なく大きくなり得るもののように感じます。
悲しみと悩みは、別のもの
ここでもう一つ考えてみたいのは、 ”悲しみ” です。
”悩み” ととても近い言葉なので、まるで悩みの中の一部のように感じがちなのですが、”悲しみ” と ”悩み” は、別物として考えられるように思います。
例えば、こんな風にです。
悲しみと悩み
愛犬が死んでしまった → 事実(現実) → 悲しみ
愛犬が死んでしまうかもしれない → (将来への)不安 → 悩み
”悲しみ” は現実なので、直視ができるものなのですが、”悩み” は曖昧なものなので、直視のし様がないように思います。
もっと踏み込んで言えば、”悲しみ” は現実なので、対応ができるのだけれど、 ”悩みは” は捉えどころがないものなので、対処できにくいとも言えます。
悲しみは、乗り越えられるもの
”悲しみ” と一口に言っても、千差万別なので、ここでは死別の悲しみに焦点を絞ります。恐らく死別の悲しみというのは、悲しみの中でも、もっとも大きいもののように思います。
人間は一生の内で、何度も死別を経験します。愛犬だけではありません。両親や親類や親しい友人などとの別れです。
筆者の経験では、これまでに何度も死別の悲しみを乗り越えてきています。皆さんもそうではないでしょうか?
悲しみは、乗り越えられるものなのだと思います。
●
乗り越えるというのは、忘れるという意味ではありません。
後でも書こうと思いますが、悲しみは忘れられるものではないですね。
もう一度自分に照らせば、悲しみは心の奥の方にきちんと残っていて、増えても減ってもいません。ただ、いつでもそれを取り出したり、仕舞ったりできるようになります。
多分、それが乗り越えるという事のように思います。
もしも神様がいるのなら
別の考え方をしてみましょう。
もしも神様がいるのだとしたら、人間を造る時に、一生で何度も経験するはずの死別が、乗り越えられないようにするわけがないように思います。
どうか悩みと悲しみを、分けて考えてみてください。
今、闘病をしている方は、解決できそうにない、形の無い大きな不安が、意外に整理できてくるのではないでしょうか?
●
また愛犬を看取り、ペットロスの中にある方にとっては、心に負ったダメージの中身が見えてくるように思います。これから癒えていくものと、これからも癒えそうにないものが見えてくれば、今よりは心が軽くなるのではないでしょうか?
~この話は、次話に続きます~
―― 悩みって何だろう?(1/2)つづく――
文:高栖匡躬
▶プロフィール
▶ 作者の一言
▶ 高栖 匡躬:犬の記事 ご紹介
▶ 高栖 匡躬:猫の記事 ご紹介
Follow @peachy_love
●
――次話――
”悩み”の中に含まれているもの。
”悲しみ”、”寂しさ”、そして”後悔”
”悲しみ”は時間に癒され、いつか”寂しさ”に変わり、意外に楽しめる。
しかし――
”後悔”だけはいただけない。
ずっと苦しむだけだから。
”悩み”の中身を、分けて考えたら良いんじゃないかな、悩んでいないで。
●
この記事は、下記のまとめ読みでも読むことが出来ます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
●
本話の関連記事です(看護と介護)
はじめは無限に見える看護や介護。しかし、ちゃんと終わりはあるのです。
愛犬の闘病で悩む飼い主さんは多い。
それは見えない不安が、心にのしかかるから。
これからどうなる? いつまで続く? 医療費は?
見えないものは仕方ない。しかし、見えているものはある。
不安に怯えるのではく、どうか前向きに。
愛犬のために、あなたのために。
闘病は長期戦。どうか肩の力を抜いて
犬猫の闘病は長くなりがち。
今回は「頑張って」という、励ましについて考えました。
「頑張って」はありがたい言葉ですが、当事者には重圧でもあります。
好意だけをいただいて、今は積極的に『頑張らない』という選択も必要です。
全力で立ち向かうときのために……
悩みの中で特に多いのが、ペットロスですね。
ペットとの別れは悲しいもの。しかし満足のできる別れもあるのです。
ペットロスは誰もが経験するものです。
それで悩む方が多いものでもあります。
筆者のペットロスは、比較的軽かったと思います。
むしろ――、それを楽しんだのかも。
なぜそうだったか?
それを考えた記事です。
ちょっとは参考になるかもしれません。