ゆうすけの闘病記:精巣腫瘍
容態が変化してから
ここからは、ゆうすけの容態が変化してからの記録です。
病気に対してはもう手の打ちようがなくなり、闘病というよりも、どんな介護をしていたを記していきます。
手の打ちようがないと言っても、諦めて投げ出したわけではありません。
病気を治してやるための闘病でなくなっただけで、一緒に楽しく過ごすための闘いはここから始まります。
11月5日(日)- 気管支拡張剤
ゆうすけの寝る時の息が、一週間ほど続けて荒くなっていたので、相談も兼ねて動物病院へ。
「腹式呼吸になってますね。気管支拡張剤を出しておきます」
と、動物病院の先生。
もう、この時点では、積極的に癌をどうこうというより、いかにゆうすけに残された時間を安らかに過ごしてもらうかを考えていました。
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出してもらった気管支拡張剤が効いたのか、久しぶりに寝息が穏やかなものになりました。しかし、夜中に咳き込みはじめる。
今まで、咳き込むことはなかったので、気管支拡張剤の影響か?
うーん、呼吸が荒くなってすぐに動物病院へ行くべきだったか。。。
あと、右目から常に目やにが出て、目の色もおかしい感じ。
確認はしていないが、右目の奥にも癌が転移しているのでは。。。
11月6日(月)- 声に変化
吠える声に明らかに変化が。。。
少し掠れた感じで、咳き込みすぎたダメージがあるかも。。。
動物病院に電話して、気管支拡張剤の影響かと確認するが、咳が出る副作用はないとのこと。
11月8日(水)
気管支拡張剤を飲むと吐くので、気管支拡張剤は息が荒い時だけ与えることに。
大好きなはずの納豆を、食べにくそうにしている。
11月9日(木)- 最後のご馳走
――夕方、最後のデート――
「今日は、あいちゃんに会えたよ。楽しかったのかな? なかなか帰りたがらなくてねえ」
夕方の散歩に行っていた、母が言っていた。
手術後最長の散歩時間で、たくさんクンクンしたみたい。
今にして思えば、最後のデートだとなんとなく気づいていたのかな?
(上の写真の白い子が、あいちゃん)
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――夜、最後のご馳走――
カリカリを食べるスピードが明らかに落ちる。
夜には、お誕生日のお祝いを前倒しして、いいお肉をしゃぶしゃぶで食べさせました。
この判断は、自分をほめてあげたいです。
というのも、まともに食事をしたのは、これが最後になったから……
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いいお肉で、しゃぶしゃぶ
これが、最後のご馳走
11月10日(金)- 食事を受け付けない
食事を受け付けなくなる。
ひとかけらの玉子焼きと、ひとかけらのチーズ
どちらも大好物なものをなんとか食べるも、夜には全部吐いてしまう。
玉子焼きもチーズも消化されてなく、
嘔吐物は透明で、やたらとネバネバしてた。
11月11日(土)- 一縷の望み
食事を食べない=投薬もできないので、動物病院へ
食欲増進剤などを点滴してもらう。
点滴が効けば、食欲が回復するとのことで、一縷の望みを託していましたが、結局食欲が回復することはありませんでした。
実は、この土曜日の段階で、ほぼ手の打ちようは・・・と言われていて、
食欲が戻っても、お薬はごはんが美味しくなくなるだけなので飲ませなくても・・・
と、悲しい宣告を受けておりました。
なんとか水と、少しだけミルクを飲む。
11月12日(日)- 苦しそう
相変わらず息苦しそう。
食事をしてないのに、ちょこっとだけウンチが出る。
それをほめてあげたら、ドヤ顔で応えてくれる。
いいドヤ顔だったので、数少ない闘病中の写真を撮る。
これが最後の写真になる。
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これがそのドヤ顔です。
明らかに弱っているのですが、
そんな中でも笑顔を見せてくれました。
11月13日(月)- チャレンジ
昼休みに動物病院へ電話して、食欲が戻らない旨を伝えました。
すると看護師さんは、「点滴は毎日でも大丈夫です!」と、諦めかけていた私を鼓舞するかのように、力強く言ってくれました。
私は最後にゆうすけに、何か美味しい物を食べてもらいたいと、一瞬でも食欲を戻すことを目標に、『犬 末期がん 食欲戻る』みたいな感じの検索をしました。
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仕事から帰ると、母が、やはりゆうすけは何も食べず、息も苦しそうにしているとのこと。そして、一番気になったのが、伏せるとしんどそうで、ずっと立ったままだったということでした。
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――すぐに動物病院へ――
体重を量った時点での、明らかな異変――
金曜から何も食べていないというのに、1キロ近く体重が増えておりました。。。
私は、とにかく最後に何か食べてもらいたいという自分の思いを伝え、そのために検査をしてもらいたいと伝えました。
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――そしてレントゲン――
レントゲンを見て、レントゲンがどういうものかを思い出すのに、獣医さんの説明を待つ必要がありました。
「画像を見ていただいてお分かりのように真っ白です。肺で空気を取り込めているのは、ほんのわずかです」
と、獣医さん。
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レントゲンって、普通は黒く映るんですよね。
ゆうすけの最後のレントゲン写真は、全体真っ白でした。
獣医さんの説明では、胸水、腹水がたまりきっているとのこと。
増えた体重はおそらくそれが原因だとも。
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――チャレンジ――
もう一度、点滴をしてもらいました。
今度は効いてくれることを祈りながら・・・
そして、最後のチャレンジをしたいとお願いをしました。
先の『犬 末期がん 食欲戻る』の検索で、胸水を抜いて、一瞬、食欲が戻った事例があるというのを見ていたからです。
私はそれを、ゆうすけにも試して欲しいと伝えました。
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獣医さんはその可能性を否定せず、「呼吸が楽になる可能性もありますから」と、処置に同意してくれました。
飼い主の身勝手かもしれません。
しかし、私はゆうすけに、最後に何か口にして欲しかった。
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飼い主のわがままで、一縷の望みを託して胸水を抜いたのですが、癌が全身に広がっていたため、十分に胸水を抜くことができなかったとのことでした。
また抜いた胸水からも、癌細胞が確認できたとのことでした。
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――帰宅――
家に帰ってからも、ゆうすけの息苦しさは変わらず。
辛いですが、もちろんゆうすけの方が辛い。
あとは、点滴が奇跡的に効いてくれるのを祈るだけ……
――しかし、奇跡は起こりませんでした。
――ゆうすけの闘病記(2/3)つづく――
作:ゆうすけパパ
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――次話――
食いしん坊だったあの子に、最後に何か食べさせてあげたい。
――しかし、「その時」はやってきます。
ゆっくりと飼い主のもとに歩き、その腕の中で眠りにつく。
別れは切ないのだけれど、見えなかった絆が、はっきりとそこにあると感じられる時。
――前話――
僅かな異変に気付いてから、1か月半で旅立ってしまったゆうすけ。
犬の病気はドッグイヤーで進行する。
一生懸命に生きてくれたから、大きな後悔は無いよ。
でも――
ちょっとだけ、心残りはあるんだ。
残された時間を共に生きた、犬と飼い主の記録です。
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
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闘病に関するヒントです
ペットの抗がん剤治療を迷っている方へ
抗がん剤というと、厳しい副作用が頭に浮かびませんか?
しかしそれは人間の場合で、動物の場合は少し様相が違います。
何のための治療なのか?
目的が人間と動物では違うからです。
使ってやろうかな? もしかしたら、そんな風に思えるかもしれません。
動物の抗がん剤治療 - 副作用はどうなのか?
愛犬ピーチーが去ってからも、色々な闘病記を読みました。
そこで思ったこと。
「もしかして犬の抗がん剤って、副作用が厳しくないの?」
それから調べました。
結果は――
副作用はある。しかし使い方が違うから現れ方が違う。
なるほど、そういうことか。
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出典
※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。