ゆうすけの闘病記:精巣腫瘍 
ついにその時が……
食いしん坊だったゆうすけ。
最後に何か、食べさせてあげたい。
そう思って手を尽くしたのですが、願いはかないませんでした。
そして、ついにその時はやって来てしまいます。
11月13日(月)夜 - いつもの場所で
いつもの私の部屋。
いつものゆうすけのベッド。
息苦しそうに、部屋を一回りするゆうすけ。
「眠れないか。お父さんのところにおいで」
そう声をかけると、ゆうすけはゆっくりと、ベッドに向けて歩いてきてくれました。
私の中でも、何かがあったかもしれませんし、ゆうすけの中でも、何かがあったのでしょう。
ゆうすけのベッドへ、僕は右腕を腕枕のように敷くと、ゆうすけは、私の腕の中で眠ろうと試みてくれました。
いえ――
私の腕の中で、永遠の眠りにつこうとしてくれたのです。
息苦しそうに、ハァハァと必死に呼吸をしながら、その呼吸が少しずつ弱くなるのを感じます。
右腕でゆうすけを抱きしめ、左手で頭をなで、背中をさすります。
何度も何度も。
どのくらいの時が経ったのでしょう。
異変に気が付いた母も側で見守ってくれています。ゆうすけの命が尽きようとしているのは、明らかでした。
もう、がんばれとは言えませんでした。
「ありがとう!」
声にならない嗚咽を発しながら、ゆうすけをただ抱きしめていました。
ゆうすけも、声にならない声を発して何かを伝えようとしてくれたように思えます。
そして、少しずつ、命の鼓動が小さくなっていきます。
もう、どうやっても、元気なゆうすけが戻ってくることはありません。
それであれば、少しでも安らかに旅立って欲しい。
それが、私の唯一最後の願いでした。
その唯一の願いは、ゆうすけが叶えてくれました。
ゆうすけは最後の力を振り絞り、穏やかな呼吸で眠るように、私の腕の中で旅立ちました。
幸運にも、私は、
ゆうすけが旅立った瞬間を確かに感じ取ることができました。
最後の最後、
私とゆうすけは、思いが通じ合えていたと、何者に対しても胸を張って言う事が出来ると思っています。
母に時間を確認したら0時7分。日付は14日の火曜日になっていました。
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これがゆうすけの最後の写真です。
亡くなる1日前に撮りました。
闘病中のしんどそうな表情は残したくなかったのですが、
いい顔をしてくれていたので、
思わず撮りました。
レントゲンで肺のほとんどが真っ白になるくらいに息苦しい中、
「トイレにいきたい( =・ω・)」
と伝えてくれて、
ちゃんとできたので、ほめてあげると、
必死に口角を上げて、
ほめられた嬉しさを伝えてくれたのです。
最後に - 全てに感謝
闘病の全体を通じて感じたことを記しておきます。
まず、必要以上に副作用を恐れすぎたかな・・・と思います。
あと、後手後手に回った感じも。
とにかく症状が少しでも悪化したと思ったら、色々試すべきです。
現状維持できていたら、症状は進んでいないはずですので。。。
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一つ絶対にお勧めしておきたいのは、ペット保険です。
私は幸いにもいい業者さんだったのか、ほとんどの治療費で支払い拒否などなく、精一杯の治療をゆうすけにしてやることはできたと思います。
ペット保険と動物病院には、結果こそ残念でしたが、感謝しています。
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最後に闘病をして、末期になると安楽死を考える事があると思います。
日曜あたりからのゆうすけの様子は、見ていて本当に胸が痛かったです。
日曜からの状態が一週間続けば、安楽死を視野に入れるところでした。
実際、考えましたし、動物病院の先生にもそれとなく匂わせて相談したこともあります。月曜、最後の通院時のときのことです。
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「最後、どうしようもなくなったら、楽にしてあげるお手伝いは出来ます」
と先生は、それが選択肢ではあることを、暗に示してくれました。
なので、愛犬の辛い様子を見て、その決断をするというのは、分かる気がします。
苦痛を取り除いてあげるのだから。
ただ、その決断は本当に重いものでしょう。
間違いなく苦悩すると思います。
それが苦痛を取り除いてあげるための、決断だったとしてもです。
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なので、その前にゆうすけが旅立ったのは、僕を苦しめないようにと思ったんじゃないでしょうか。。。
ゆうすけには、最後の最後まで、本当に感謝ばかりです。
――ゆうすけの闘病記(1/3)おわり――
――お別れした後のお話に続きます――
作:ゆうすけパパ
▶ 作者の一言
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――次話|別れの後で思うこと――
愛犬ゆうすけとの別れから5か月。
慰霊祭の日、遺骨を納骨堂に納めるかどうか迷う飼い主。
しかし――、そこで不思議な事が起きます。
愛犬に思いを馳せる飼い主。
色んなことがありました。
楽しい思い出ばかり。
そう、愛犬はいつまでも一緒なんだよ。
――前話――
残された時間を、楽しく過ごそうとする飼い主。
楽しくする事にも、
努力や決意が必要なんです。介護って。
そして――
最後の散歩、最後の食事と、最後の~が増えて行く。
切ないけど、それを受け止めるのが飼い主。
それでも楽しんでやるのが飼い主。
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この記事は、下記のまとめ読みでもご覧になれます。
この記事は、下記の週刊Withdog&Withcatに掲載されています。
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――この連載の1話目です――
僅かな異変に気付いてから、1か月半で旅立ってしまったゆうすけ。
犬の病気はドッグイヤーで進行する。
一生懸命に生きてくれたから、大きな後悔は無いよ。
でも――
ちょっとだけ、心残りはあるんだ。
残された時間を共に生きた、犬と飼い主の記録です。
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同じ作者の記事です - ゆうすけ幸せだったか?
沢山笑顔を見せてくれたゆうすけ。
腕枕で旅立って行ったゆうすけ。
経験させてやれなかったことが沢山ある。
心残りも、その数だけあるんだ。
うちで良かったのかな?
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闘病に関するヒントです
ペットの抗がん剤治療を迷っている方へ
抗がん剤というと、厳しい副作用が頭に浮かびませんか?
しかしそれは人間の場合で、動物の場合は少し様相が違います。
何のための治療なのか?
目的が人間と動物では違うからです。
使ってやろうかな? もしかしたら、そんな風に思えるかもしれません。
動物の抗がん剤治療 - 副作用はどうなのか?
愛犬ピーチーが去ってからも、色々な闘病記を読みました。
そこで思ったこと。
「もしかして犬の抗がん剤って、副作用が厳しくないの?」
それから調べました。
結果は――
副作用はある。しかし使い方が違うから現れ方が違う。
なるほど、そういうことか。
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出典
※本記事は著作者の許可を得て、下記のブログを元に再構成されたものです。