ペットの食べ物は、今の選択が将来につながっているのです
カテゴリー:コラム
作者:高栖匡躬
愛犬愛猫の食事に悩む方は多いと思います。それは、この種の記事やブログがネット上に数えきれないほどあることからも明らかです。
しかしそれらの記事は、信用できるものなのでしょうか?
【食べムラ】【食欲不振】【拒食】【偏食】【小食】【老犬(シニア犬)の食欲減退】は、本来ならば、分けて語られてしかるべきなのに、多くの記事では、意味が曖昧な【食べムラ】に一括りにされていて、解釈に誤解を生じやすくなってしまっていあます。更にそれらの記事は、愛犬猫の食べ物を選ぶ視点が、あまりにも近視眼的であるように思います。
毎日食べる大切なものなのだから、『食いつきが良い』とか、『毛艶がようなる』というような目先の効果ばかりを見ないで、もっと広い視野で、愛犬・愛猫の一生をプランするように選んであげるべきものだはないかと思うのです。
また「食べる」ばかりが注目されますが、「食べない」ことにも意味があります。
本記事は、これまでとは少し違う視点で食べものを語った8連載を、まとめ読みにしたものです。【目次】
- ペットの食べ物は、今の選択が将来につながっているのです
- 闘病中は大好物を守らなきゃ
- あらためて”食”を考えてみる
- 今の ”食” が、将来の ”食” を決めることになる
- あとがきにかえて
- 参考資料としてのツイート
- 闘病記の中に見る、ペットの食事
- ドッグフードの記事には間違った情報が沢山
闘病中は大好物を守らなきゃ
大好物が嫌いになる瞬間
【投薬】【食事】【療法食】
どの家でも愛犬、愛猫に大好物ってありますよね。
若い頃にはそれが沢山あって、歳をとって段々を減っていく。
大好物は本当に強い味方です。
病気をし、介護の段階になると、それが身に染みてわかってきます。
大好物の大切さは、その時まではわからないものなんです。
愛犬猫が元気な時に、我々は大好物を無駄遣いをしがちです。
どうか覚えておいてください。
大好物は簡単に、大嫌いに変わるんです。
これから3話に渡って、大好物が減っていく過程を書こうと思います。
それは、我が家と、我が家の大切な愛犬ピーチーに起きたことです。
介護は、食べ物と一緒に過ごすことでもあります。
いつかそれが分かる時がくるでしょう。
我々は、愛犬愛猫を――
僅かに残された大好物で喜ばせてやりながら、最後まで見送ることになります。
だから――、大切にしましょうね。
――大好物。
●
嫌いになるのはスパイラル
【投薬】【食事】【療法食】
前話はピーチーが、気付け薬のアイスが嫌いになる過程を書きました。
今回は投薬でいつも使っていた豆腐と、療養食2種が嫌いになる過程を描きます。
それぞれが違う理由――
どれも、闘病時には容易に起こりうることです。
どうかご注意を。
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食事と薬の切り分けは、飼い主の覚悟次第
【投薬】【食事】【療法食】
3話連載の、一番重要なポイント。
大好物を守るには、大好きなご飯と、大嫌いな薬を切り分ける必要があります。その具体的な方法とポリシーを、体験を元に書きました。
誤解している記事や情報が多いと感じます。
大事なのは飼い主の割り切りと、覚悟です。
(追記)
”闘病時に大好物を守る”という主旨の連載は、今回で終了です。
――が、まだ書いていないテーマが沢山あります。
老犬(シニア犬)の食事についての考え方。
食べることが必ずしも良い事でない。
食べないことのメリットなど。
これらは別記事として、連載は続きます。
あらためて”食”を考えてみる
食べ物では言葉の意味にムラがある
【食べムラ】【食欲不振】【拒食】【偏食】【小食】【食欲減退】
”食べる”にまつわる言葉は、似ていても、意味が違ってることがあります。
【食べムラ】【食欲不振】【拒食】【偏食】【小食】【老犬(シニア犬)の食欲減退】
ネットの記事は混乱しがち。
読む方でそれを理解していないと、間違った解釈になりそうです。
今の ”食” が、将来の ”食” を決めることになる
まずは食べムラ(我儘による)のない子に育てよう
【食べムラ】【食欲不振】
既存の食べムラ対策の記事には、不満を感じます。
なぜ食べさせるのか? その理由が書かれていないからです。
そして、時間の視点も欠けています。
今、選んだ食べものは、もしかすると将来の幸せを作るのかもしれません。
逆にそれが、将来の悩みの種になるのかもしれません。
なぜ食べムラ対策には、こんな簡単な視点が欠如しているのか?
うちの子を看取って、実感したことです。
●
食べムラを躾けることの意味と意義
【食べムラ】【躾】
愛犬に美味しいものをたべさせてやりたい。喜ばせてやりたい。
飼い主ならがそう思いますね。
では、それはいつのことでしょう?
今? 将来?
病気でも、食事の時間を楽しみにさせたい。
介護になっても、食べる喜びを感じさせたい。
そう思うのならば、今できることがあります。
●
粗食のススメと、ネット情報に見られる誤解
【粗食】【食べムラ】【食欲不振】
食べムラを防ぎ、将来の闘病、介護の食事を楽しいままにするには、
【粗食】をキープすることが大切だと思います。
これは、警察犬の学校で学んだ大切なことです。
”食べれば良い”というものではありません。
”食”は、犬の一生を通して、飼い主が設計するものです。
最期まで、愛犬が楽しく過ごすために。
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食べない事にも意味がある
【絶食】【食欲不振】【食欲減退】
8話連載の最終回です。
食べるだけでなく、食べない事も大切なのです。
食べないことの意味を知ると、食事が変わるかもしれません。
基本は長い視野で食事を考えること。
良いフードにばかり目が行きがちですが、
【粗食】も【食べないこと】も大事なのです。
あとがきにかえて
当初は【間違いだらけの食べムラ】と言う題名で、ネットで見かける【食べムラ記事】に警鐘を鳴らす意味で書こうとしたのですが、書き始めてみると、食べ物全般に関するネット記事の誤解や、重要な視点の欠如を突っ込んで行くごとにページが増えて、遂には8回もの連載となりました。
【食べムラ】はその言葉自体に定義が無く、ネット上の記事は、愛犬猫が我儘で餌を食べない事と、何らかの原因があっての【食欲不振】を混同しているものが多く見受けれられます。
これほど誤解が多いと、恐らくは情報を発信する側と、それを受け取る読者側でも意識の擦れ違いは大きいと思いました。
疑いの目で見始めると、食べ物の記事は筆者の知る情報、常識とかけ離れたものもありました。なによりも気になったのは、食べ物を選ぶ際に、愛犬猫の一生を見通して決めるとう視点が決定的に欠けていたことです。
「おかしい」という疑問を、1つ1つ潰すように書きました。
この記事が、お役にたてば幸甚です。
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参考資料としてのツイート
この記事を作成するにあたり、きっかけとなったTwitterのやりとりがあります。
筆者が質問を投げて、読者の方に回答をいただいたものです。
記事にはできませんでしたが、とても興味の湧くやりとりでした。
折角なので、そのやり取りを下記に残しておきます。
2つのブロックに分けてあり、前半が筆者からの質問で、後半がその質問への回答です。
参考1|この記事を制作するきっかけとなった質問ツイート
知っていたら、教えてください|その1
今、フォロワーさんからのリクエストで、食べムラの記事を書いているところです。ところが、改めて考えると、『食べムラ』って何?
調べても定義が無い!
これまでの自分の印象はこんな感じ。
【食べムラ】
食べたり食べなかったり。
主に嗜好に左右されるもの。
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知っていたら、教えてください|その2
しかし、食べムラで検索すると、食欲不振について書かれている記事が意外に多い。ええっ?
【食べムラ】と【食欲不振】って違うんじゃないの? 日本語的に!
分けて語らないと、間違ったメッセージを送る事になるよね?
――で、記事が書けなくて、困っています。
▼
知っていたら、教えてください|その3
私の理解が正しければ、
【食べムラ】
きちんと躾をして、我がままをさせないようにしないといけない。
いつか病気をしたとき、食べムラがあると困るよ。
【食欲不振】
食べない方が良い事も多い。
食べられるものを探すより、まずは原因究明を!
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知っていたら、教えてください|その4
【拒食】
拒食を疑うのは、3日目から。
それまでは健康の範囲内。
(野生の状態なら、何日も食べないで獲物を狙っている)
――と、こんな感じで理解していて、うちの子にもそんな対応してきました。
2日くらいは、様子を見るのが良いように思うんですけどね。
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知っていたら、教えてください|その5
【様子を見る】
誤解の無いように言うと、様子を見るのは放っておくのとは違います。
いつも以上に観察が必要。
元気はある(走る/歩く)? 体温は正常? 水は飲む? 変な行動は?
元気があって、平熱で、水を飲んで、変な行動をしない間は様子を見ます。
▼
知っていたら、教えてください|追記
今、獣医さんに【食べムラ】の意見を聞いているところ。
その前に、皆さんがどう考えているかは、ぜひ教えてください。
【食べムラ】の記事は、その結果を聞いてからかな。
まずは、問題のないところで、闘病時の食事のことと、投薬の仕方だけ先に記事にします。
因みにうちの子が食欲不振になったのは、恥ずかしながらいつも自分のウンチを食べた時。
暗いところで、ブルブルと体を震わせ、丸くなって……
最初は何事かと思い、病院へ。
やがて理由が判明
しまいには「お前、また食ったな?」と言われるようになりました。
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参考2|質問ツイートに対する回答
下記は、筆者が【食べムラ】の意味について読者の方々に質問をした際、いただいたコメントやDMを解釈した上で、行った回答です。
この回答に従って、本連載記事は生まれました。
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食べムラと食欲不振-1
一昨日は、【食べムラ】と【食欲不振】の疑問に対して、沢山のコメントをありがとうございました。何となく、頭の中で整理が出来てきました。
【食べムラ】は最後に現れる現象の1つで、【食欲不振】がその前にあって、それには【原因】があるのだと今は理解しています。
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食べムラと食欲不振-2
分かりやすく書くと、【原因】→【食欲不振】→【食べムラ】ということ。
で、【食欲不振】の無い【食べムラ】は、ただのワガママになるのだと思います。
だから、【食べムラ】があったら、まずはその理由が【食欲不振】であるかどうかを見極める。
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食べムラと食欲不振-3
【食欲不振】が理由ならば、【原因】を探して解決(時には治療)をする。
【食欲不振】が理由でなければ、躾をするという流れですね。
ごちゃごちゃと分かりにくいですよね。きっと。
でも、記事を書くには整理しないと書けないもので、ゴメンナサイ。
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食べムラと食欲不振-4
意見を聞いていた、信頼する獣医さんからも、ご返事がありました。
犬猫の健康に問題が無い場合は、食べなかったとしても2~3日は様子を見ると言うか、我慢比べをするように、飼い主さんにはアドバイスをするそうです。
これ、詳しくは記事の方に書きます。
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食べムラと食欲不振-5
ネット上の情報は、食べること、食べさせることにばかり注目をしていますね。
何故か、食べないメリットが置き去りです。
人間も動物も、具合が悪くなると食欲がなくなりますね。
それには理由があります。
記事を読んでいただくと、無理に食べさせようと思わなくなるはずです。
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食べムラと食欲不振-6
まずは闘病中の食事と、投薬の話を記事にしました。
明日から3回に分けて公開しようと思います。
実際に、我が家で実践した事で、愛犬ピーチーの闘病記に書いたことを抜き出しています。
間違ったやり方も、ネット上に公開されているので、少しは参考になればと。
おしまい
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食べムラと食欲不振-追記
【食べムラ】【食欲不振】【食欲減退】【拒食】【偏食】
これらは、似て非なる言葉ですね。
幼犬、成犬、老犬、病気の時と、対応も随分と違います。
食事の記事は、言葉を使い分けないと、間違ったメッセージになります。
だから、記事全体を書くのは少し時間を下さいね。
作:高栖匡躬
解説:高栖匡躬
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闘病記の中に見る、ペットの食事
闘病期間中の食事にまつわる記事です。
愛犬の闘病が末期になると、飼い主は人間の食べ物を与えますね。
それまでは健康を気遣って、絶対に食べさせなかったものを。
療養食が食べられなくなり、犬のおやつが食べられなくなり――
だから、仕方なく――
「何でも良いから食べて欲しい」
その願いがが半分。
そして――
残りの半分は、「もう回復を諦めなければならない」という寂しさだったり、無念だったり、悲しみだったり。
はじめてのごちそうに、犬の顔はパッと輝きますよね。
それがまた切なくて――
覚えておいてね。
それはね、飼い主の愛情の味なんだよ。
闘病中の食事、心配ですね。飼い主の思いは皆同じです。
作者のまるさんが今回心配しているのは、闘病中の食事。
療養食は美味しくないんですね。それは人間と同じです。
恐らく、闘病する飼い主さんは、似たような経験をしているはず。
限られた選択肢の中での工夫。
元気なときには、想像もできなかった苦労。
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ドッグフードの記事には間違った情報が沢山
疑問だらけのドッグフード|4話連載
ネット上にはドッグフードの記事が沢山ありますね。
穀物は有害? 野菜は有害? 本当に?
全部真に受けたら、食べるものが無くなるんだけど。
記事が推薦するフードは、愛犬に良いものなの?
ドッグフードの常識、疑ってみよう|3話連載
ネット情報が伝えるフードの情報は、落ち着いて考えると矛盾だらけ。
一体何が正しいのか分からないですね。
常識として語られていることを、一つ一つ疑問点として取り上げてみようと思います。